日本DX大賞 受賞企業に学ぶ DX事例30選

DXの成功事例を読むと、多くの読者はこう感じるのではないでしょうか。「うちとは規模が違う」「予算がない」「そもそも何から手をつければいいのか」。

本記事で紹介する30の事例は、そうした疑問に対する具体的な回答です。日本DX大賞の大賞・優秀賞受賞企業を中心に、パソコンすら使えなかった町工場から、2,000億円の失敗を経て再起した大手カード会社まで、変革の出発点も規模もさまざまな事例を厳選しました。共通するのは、ツール導入で終わらず、組織の動き方そのものが変わったという点です。

この記事でわかること

  • 日本DX大賞 歴代大賞受賞企業の取り組みと成果
  • 業種・規模を問わず再現できるDX推進の具体的アプローチ
  • 投資対効果が数値で示された変革事例の共通パターン
  • DX推進で直面する組織・人材面の課題とその乗り越え方

事例1: 株式会社トクヤマ - デジタルツインと経営シミュレーターで年間2.5億円の燃料費削減

課題

総合化学メーカーのトクヤマは、主力製造拠点の徳山製造所に10以上の化学プラントを保有しています。プラント間が複雑に連携する構造のため、1箇所でCO2を削減しても別のプラントに影響が及び、排出量削減と収益性向上を両立する「全体最適化」が困難でした。

取り組み内容

2022年4月、社長をプロジェクトオーナーに据えた全社DXプロジェクト「トクヤマDX(TDX)」を開始。25のプロジェクトのうち、中核となる「製造DXプロジェクト」では、プラント群をバーチャル空間で再現する「デジタルツイン」と、複雑なプラント稼働を最適化する経営シミュレーター「T-FORCE」を内製で開発しました。外部ベンダーへの委託も検討しましたが、高度に統合された製造所の内部構造を理解してもらうことが困難であったため、自社開発を選択しています。

成果

  • 年間6,500トン超のCO2削減(デジタルツインによる装置改良)
  • 年間2.5億円の燃料費削減(T-FORCEによる全体最適化)
  • シミュレーションベースで年間4万トンのCO2削減ポテンシャルを発見

この事例のポイント

なぜ外注しなかったのか。自社プラントの複雑な連携構造を外部に説明しきれなかったからです。結果的にこの制約が、現場の知見が直接反映されたツールを生みました。CO2削減と収益確保の二律背反を、シミュレーションで初めて打破した事例です。

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事例2: 三井住友カード - 総合金融サービス「Olive」で200万アカウント突破

課題

キャッシュレス決済比率が39%に達する一方、銀行口座・クレジットカード・証券・保険など金融サービスが企業ごとに分断されていました。一方で銀行の店頭口座開設はコロナ禍で大幅に減少し、デジタルシフトへの対応が急務となっていました。

取り組み内容

三井住友銀行と連携し、銀行口座・決済・証券・保険を1つのアカウントに統合する「Olive」を開発。Visa社との共同開発により、クレジット・デビット・ポイント払いを1枚のカードで切り替える世界初の仕組みを実現しました。開発には部署や企業の垣根を越えた「スクワッド」方式を採用し、アジャイル型で推進しています。

成果

  • 2023年3月リリース後、2024年2月に200万アカウント突破
  • 支店が少ないエリアでの新規口座開設が前年比2.6倍に増加
  • 60代以上を含む幅広い年齢層への利用拡大に成功

この事例のポイント

銀行・カード・証券・保険を1つのアカウントに統合するだけでなく、支店を「Olive LOUNGE」として体験の場に転換。デジタルとリアルの両面から顧客体験を再設計しています。

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事例3: 都城市 - 3年連続日本DX大賞を受賞した自治体DXの先駆者

課題

人口約16万人の地方都市として、急激な人口減少による労働力不足と自治体業務の多様化・高度化が同時に進行。採用難も深刻化し、デジタル技術による業務効率化が喫緊の課題でした。

取り組み内容

市長を最高デジタル責任者(CDO)とするデジタル統括本部を設置し、デジタル統括課・財政課・総合政策課・各部局が連携する「カルテット体制」を構築。全国初の自治体専用生成AIプラットフォーム「zevo」の導入、マイナンバーカードのインフラ化、実証事業のための予算枠「DXチャレンジプロジェクト」など、次々と施策を積み重ねてきました。

成果

  • マイナンバーカード交付率95%を全国の市区に先駆けて達成
  • ビジネスチャットと生成AIのセット利用で年間約1,000万円のコスト削減
  • ふるさと納税事務処理の大幅な効率化

この事例のポイント

3年連続で大賞を受賞した自治体は他にありません。毎年新たな施策を積み重ねる持続力に加え、財政課をプロジェクトのプレイヤーとして巻き込む体制が、施策実行のスピードを支えています。

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事例4: 株式会社みんなの銀行 - ゼロから作った日本初のデジタルバンク

課題

従来型の銀行サービスではデジタルネイティブ世代のニーズに応えきれず、銀行離れが進行。物理的な店舗に依存するビジネスモデルの限界が見えていた中、ふくおかフィナンシャルグループは既存システムの改修ではなく、まったく新しい銀行の設立に踏み切りました。

取り組み内容

日本初のGoogleクラウド上にコアバンキングシステムを構築し、1年半で稼働を実現。スマートフォンだけで口座開設から送金、貯蓄、ローンまで完結するサービスを提供。ユーザーフィードバックを取り込む「みんなの声委員会」を取締役会の下に設け、年間18回のアプリバージョンアップを実施しています。

成果

  • 2年間でアプリ200万ダウンロード突破
  • ユーザーの7割が30代以下のデジタルネイティブ世代
  • 全国47都道府県からの利用を達成

この事例のポイント

既存システムの改修ではなく、白紙から新しい銀行を作るという選択。レガシーに縛られないからこそ、ユーザーの7割が30代以下というサービス設計が実現しました。

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事例5: 群馬県 - 「日本最先端クラスのデジタル県」を目指す全庁DX

課題

県民サービスの向上と職員の業務効率化を同時に達成するため、県全体のDX推進が必要でした。防災、人材育成、行政手続きなど多岐にわたる課題へのデジタル対応が求められていました。

取り組み内容

「ぐんまDX加速化プログラム」を策定し、LINE上のデジタル避難訓練ツールによる防災意識向上、職員のデジタルリスキリング、官民連携プラットフォームの構築など、多角的なDX施策を展開。県民が日常的に使うLINEを基盤にすることで、アプリの追加インストールなしに行政サービスへアクセスできる仕組みを構築しました。

成果

  • LINE上のデジタル避難訓練で県民の防災行動を促進
  • 職員のデジタルリスキリングプログラムの確立

この事例のポイント

新しいアプリのインストールを住民に求めず、すでに手元にあるLINEを基盤に選んだ実用性が高く評価されました。

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事例6: 株式会社グッデイ - 地方ホームセンターが挑んだ「人」のDX

課題

九州を中心に65店舗を展開するホームセンターとして、古いオンプレミスシステムからの脱却と、データドリブン経営への転換が求められていました。IT部門に依存するのではなく、現場社員自身がデータを活用できる体制の構築が課題でした。

取り組み内容

オンプレミスシステムからクラウドへの全面移行に加え、IT人材の内製化を推進。社員自身がBIツールを使ってデータ分析を行い、店舗運営に活かす文化を醸成しました。

成果

  • クラウドベースの内製開発体制を確立
  • 現場社員によるデータ活用の定着

この事例のポイント

IT部門に頼らず、店舗スタッフ自身がBIツールでデータを分析する文化を醸成。DXの本質が技術ではなく「人」にあることを体現しています。

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事例7: 株式会社後藤組 - 「全員DX」でkintoneアプリ2,000件超を達成

課題

30歳以下の社員比率が62%と若い建設会社ですが、1人で現場をこなせる技術者の数は年々減少。若手社員の育成が経営課題となっていました。2019年にDX推進を開始するも、担当者1人がkintoneでアプリを作る一方通行型では限界があり、社長から「アプリ作成禁止」の指示が出されました。

取り組み内容

「全員DX」を掲げ、社員全員がkintoneでアプリを自作する文化を構築。全社員参加のデータドリブン(DX)大会、月3回以上のDX勉強会、kintone認定資格の取得奨励という3本柱で推進しました。

成果

  • 約5年間でkintoneアプリ総数2,000件超を達成
  • 残業時間20%以上削減(一人あたり年間約76.8時間の可処分時間増加)
  • 若手社員の3年後定着率が64.3%から83.3%に向上
  • 建築資材フリーマーケットアプリで年間400kgの廃プラスチック削減

この事例のポイント

一度は「担当者1人が作る」方式で行き詰まり、社長から「アプリ作成禁止」が出たことが転機になりました。全員がアプリを作る文化に変えた結果、若手の定着率まで上がっています。

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事例8: 株式会社フジワラテクノアート - 微生物インダストリーのDX

課題

醸造・発酵食品の装置製造を手がけるフジワラテクノアートは、案件ごとにフルオーダーメイドで設備を製造する事業特性上、情報伝達のほとんどが「紙」に依存。2018年時点でシステムは販売管理と営業活動記録の2つのみで、データ活用が進まない状況でした。

取り組み内容

現状業務を畳2畳分の大判の紙に図式化し、全社員から約100項目の課題を付箋で洗い出すところからスタート。提案依頼書を5社に送付して比較検討するなど、ITベンダー選定を慎重に行いながら、3年間で21のITツール・システムを導入しました。IT専門部署を設けず、全社員が業務と並行して推進しています。

成果

  • 3年間で21のITツール・システムを導入
  • 設計・製造・アフターサービスの一気通貫デジタル化
  • IT専門部署なしでの全社推進を実現

この事例のポイント

「フルオーダーメイド=デジタル化は無理」と思われがちな業態で、畳2畳分の業務図と100枚の付箋から始まったDX。IT専門部署を置かず、全社員が並行して推進した点も特徴的です。

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事例9: 株式会社スタジアム - 公立高校の就職指導をDXで変革

課題

毎年16万人の高校生が卒業後に就職する中、55%は1社だけを検討して入社。10段階評価で0点をつける就職者が24%に上るなど、就職先とのミスマッチが深刻でした。就職指導の現場は紙と手作業に依存し、教員の負担も大きい状況でした。

取り組み内容

2021年5月から埼玉県立川越初雁高校と協働し、就職指導のデジタル化に着手。職員会議への参加や求人票の仕分け作業にも一緒に取り組み、現場と二人三脚で開発。その成果をクラウド型サービスに展開し、学校側の導入費用はゼロとするビジネスモデルを構築しました。

成果

  • 教員の就職指導業務を約8割(50時間程度)削減
  • リリース後半年で約300校が導入
  • 大阪府教育委員会との連携協定締結

この事例のポイント

スタートアップが職員室で求人票の仕分けまで一緒にやる。その現場密着の姿勢が、半年で300校に広がるサービスを生みました。学校側の導入費用ゼロという設計も普及を後押ししています。

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事例10: 株式会社鈴花 - 老舗着物店がDXで売上前年比超えを実現

課題

西日本を中心に約80店舗を展開する老舗着物店。従業員の平均年齢は60歳超、顧客の年齢層も高い中、着物の着用頻度の低下やインターネット販売の盛況など、業界を取り巻く環境は年々厳しさを増していました。

取り組み内容

2022年にDXプロジェクトを立ち上げ、顧客のデジタル接点構築・社内アプリの内製開発・データ分析の3本柱で推進。販売員だけが知る顧客情報をMicrosoft Power Appsで電子カルテ化し、どの社員でも高品質な接客ができる仕組みを構築しました。

成果

  • 2023年1月のDX本格運用開始後、売上が前年比を上回る
  • LINE顧客の売上前年比113%を達成
  • 全従業員参加の全店リモート会議をZoomで毎月実施

この事例のポイント

従業員の平均年齢60歳超。「デジタルは無理」と考えそうな組織で、売上が前年を超えた事実は重い。販売員の頭の中にしかなかった顧客情報を電子カルテ化したことが、接客品質の属人化解消につながっています。

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事例11: 松本興産 - 自作アプリで業務効率70%改善、コスト1,500万円削減

課題

労働人口が都心部の1600分の1という埼玉県小鹿野町に本社を置く自動車部品メーカー。人手不足、業務の属人化、紙ベースの管理など「6重苦」を抱えていました。

取り組み内容

社長自ら現場の社員と共にゼロからアプリを開発。月400万個の製品目視検査業務をタブレット入力に置き換えるところから着手し、アプリにゲーム要素を組み込むことで社員のモチベーション向上も図りました。独自の「風船会計」で社員の会計思考を育成する取り組みも並行して実施しています。

成果

  • 業務効率70%改善を達成
  • 検査アプリの導入で約1,500万円のコスト削減
  • 従業員の自発的なデジタル活用が定着

この事例のポイント

都心の1600分の1という労働人口のエリアで、外部ベンダーに頼る余裕はない。社員自身がアプリを作り、ゲーム要素で利用を定着させた工夫がコスト削減に直結しました。

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事例12: 損害保険ジャパン - 画像認識AIで自動車事故査定を革新

課題

自動車事故後の損害査定は専門の査定員が現場で目視確認する必要があり、査定完了までの時間が顧客満足度の低下につながっていました。査定員の確保と育成にも長い時間を要していました。

取り組み内容

英国のAI企業Tractable社と提携し、事故車両の写真からAIが損害額を自動推定するシステムを開発。画像認識AIがボディの凹み・傷・塗装の剥がれなどを判別し、修理費用を算出します。自社だけでなく保険業界全体のエコシステム構築を視野に入れた展開を進めています。

成果

  • 査定プロセスの大幅な時間短縮を達成
  • 査定精度の安定化(人による判断のばらつきを低減)
  • 保険金支払いまでの所要日数短縮による顧客満足度向上

この事例のポイント

自社の効率化にとどまらず、保険業界全体のエコシステム変革を視野に入れた展開が特徴。AIを「査定員の代替」ではなく「業務品質の底上げ」に位置づけています。

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事例13: 日本テレビ - 自社開発AIでテレビ番組制作を革新

課題

テレビ業界は視聴者の行動変化やデジタルメディアの台頭に直面し、コンテンツ制作の効率化と新しい表現手法の開発が求められていました。東京五輪でリアルタイムに動作するAIが必要になるも、市場に適切な製品がなく、外部開発もコスト面で折り合いませんでした。

取り組み内容

自社開発のAIシステム「AiD(エイディ)」を構築。入力された動画をAIが解析し、データ化やCGの自動付加を行います。クラウド接続不要のローカル処理により、リアルタイムかつ迅速な動作を実現。ディレクターの業務支援を主目的として開発され、多くの番組制作に活用されています。

成果

  • AI活用による番組制作の効率化と新たな映像表現の実現
  • クラウド不要のリアルタイム処理を達成

この事例のポイント

市場に製品がなければ自分で作る。クリエイティブ領域で「人間の創造性の拡張」にAIを活かした好例です。

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事例14: 株式会社エアークローゼット - 対話型AIスタイリングで顧客体験を進化

課題

月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」は会員登録者数130万人を突破しましたが、プロスタイリストによるパーソナライズの質を維持しながらスケールする仕組みが必要でした。

取り組み内容

ChatGPTのAPIを活用し、顧客との対話を通じてニーズを深く理解しながら最適なコーディネートを提案する対話型スタイリングAIを開発。数十万着の在庫からの選定を、AIとスタイリストの協業で実現しています。

成果

  • 業務効率化と顧客体験の向上を同時に達成
  • AIとスタイリストの協業モデルを確立

この事例のポイント

130万人の会員に対してパーソナライズの質をどう維持するか。AIとスタイリストの「共創」という役割分担がその解になりました。

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事例15: 株式会社天地人 - 衛星データとAIで水道インフラを救う

課題

日本の水道管の総延長は約74万km。法定耐用年数40年を超過した管路は16万kmに達し、年間2万件超の漏水事故が発生しています。全ての老朽管を更新するには約32兆円の費用と150年以上の期間が必要とされていました。

取り組み内容

衛星データとAIを組み合わせた水道管劣化診断サービス「宇宙水道局」を開発。宇宙から取得する地表面温度や地盤データをAIで解析し、水道管の劣化リスクが高いエリアを特定。従来の調査では把握困難だった地中の状況を、非破壊で診断する仕組みを構築しました。

成果

  • 全国の自治体への導入が進行中
  • 優先的に更新すべき管路の特定精度が向上

この事例のポイント

水道管の劣化を宇宙から診る。一見突飛な発想ですが、32兆円・150年かかるとされる更新計画を効率化する現実的なアプローチです。

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事例16: 株式会社クレディセゾン - 内製開発チームがゼロから変革を主導

課題

基幹システムの更改に2008年から2018年まで10年間を要し、2,000億円以上のコストが発生。外部ベンダーに依存する体制では、変化する市場に対応できない状況に陥っていました。

取り組み内容

2019年にCTOを迎え、エンジニアを一から採用して内製開発チームを立ち上げ。最初のプロジェクト「セゾンのお月玉」では、毎月1万人に1万円が当たるデジタルガチャを開発し、早期に成果を出すことで社内の支持を獲得しました。その後、バイモーダルIT戦略として攻め(内製)と守り(外部委託)の使い分けを確立しています。

成果

  • X(旧Twitter)フォロワーが半年で20万人超に急増
  • 休眠会員のカード利用再開を促進
  • 内製開発チームによる迅速なサービス展開を実現

この事例のポイント

基幹システム刷新に10年・2,000億円を費やした経験から、内製化へ舵を切りました。最初の「セゾンのお月玉」で小さな成功を見せ、社内の信頼を獲得したのが転機です。

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事例17: アフラック生命保険 - 「ADaaS」で保険相談の壁を取り払う

課題

保険の必要性は感じつつも、「契約を強要されるのでは」という不安から相談をためらう顧客が多く、対面型セールスモデルの限界が顕在化していました。

取り組み内容

リアルとデジタルを融合した「ADaaS(Aflac Digital as a Service)」を開発。顧客が自分のペースで保険を検討・相談できるデジタルプラットフォームを構築。アジャイル開発とデザイン思考を採用し、顧客視点でのサービス設計を徹底しました。

成果

  • 導入から約1年でデジタルチャネル経由の保険相談が大幅に増加
  • 顧客接点の多角化に成功

この事例のポイント

「契約を強要されるのでは」という不安を取り除き、顧客が自分のペースで検討できる仕組みに。営業モデルの前提を変えたDXです。

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事例18: あいおいニッセイ同和損保 - テレマティクスとDXソリューションで保険の常識を変える

課題

従来の自動車保険は年齢や等級で画一的に保険料を設定しており、安全運転をしている人にとって公平感のない仕組みでした。また、事故を「補償する」だけでなく「予防する」保険への転換が求められていました。

取り組み内容

テレマティクス技術で収集した運転データに基づく保険料算定に加え、事故予防のためのDXソリューションパッケージを開発。全国約300の営業店と約5万の保険代理店のネットワークを活かし、契約者のニーズに応じたソリューションを提供しています。

成果

  • データドリブンな保険料算定モデルの実用化
  • 事故予防型ソリューションの展開

この事例のポイント

安全運転をしている人が報われる保険料体系と、事故を「補償する」から「予防する」への転換。保険の前提そのものを変えようとしています。

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事例19: 佐賀市 - 住民参加型の公式スーパーアプリを開発

課題

行政サービスのデジタル化を進めるにあたり、住民・地域・企業・行政が一体となる仕組みが不足していました。

取り組み内容

住民参加型の開発プロセスで佐賀市公式スーパーアプリを開発。年4回以上のバージョンアップを実施し、マイナンバーカードの公的個人認証を活用した「デジタル市民証」機能もリリースしました。

成果

  • デジタル市民証登録者の約半数が50代以上
  • 住民同士の「教え合い」文化が醸成
  • 複数の自治体がデジタル田園都市国家構想交付金を活用して同様のアプリを導入予定

この事例のポイント

デジタル市民証の登録者の約半数が50代以上。「行政が作って住民が使う」ではなく「みんなで創る」開発プロセスが、幅広い利用につながりました。

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事例20: 佐賀県 - 産業DXで人材流出を逆転させる

課題

地方から都市部への人材流出が続く中、県内産業のDX推進により地域の競争力を高め、人材の定着を図る必要がありました。

取り組み内容

「そのモヤモヤを、明日のワクワクに」をスローガンに、県内企業のDX支援体制を構築。アナログな手法を使っている企業がデジタルツールで一気に飛躍する「リープフロッグ的発展」の可能性に着目し、DX人材育成・マッチングや導入支援を一体的に推進しています。

成果

  • 県内企業のDX推進支援体制の確立
  • DX人材育成プログラムの構築

この事例のポイント

個別企業ではなく、県全体を「面」でDX推進するアプローチ。人材流出という地方共通の課題に、産業DXで正面から向き合っています。

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事例21: 福島市 - 高齢者にやさしいデジタル化と自治体ビジネスへの展開

課題

デジタル化を推進する一方で、高齢者などデジタルに不慣れな住民が取り残されるリスクがありました。

取り組み内容

市長就任2週間後に市長・幹部会議のペーパーレス化をショック療法として実施し、全庁的なデジタル化を推進。「かえるチャレンジ」で職員一人ひとりの改善提案を促し、内製化の機運を醸成。得られたノウハウは他自治体への提供や自治体ビジネスにも展開しています。特に医療・救急分野ではオンライン診療の導入で、休日の小児医療や高齢者施設の負荷軽減に貢献しています。

成果

  • シェアサイクル登録者数・公式LINEシニア登録者率・スマートフォン保有率の上昇
  • オンライン診療の導入による医療アクセス改善
  • 他自治体への展開モデルの構築

この事例のポイント

就任2週間でペーパーレス化を断行したトップの推進力と、高齢者向けのUI/UX設計やオンライン診療導入など具体的な施策の積み重ね。ノウハウを他自治体に展開するビジネスモデルも構築しています。

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事例22: 指宿市 - 低コストで職員が自走する「指宿モデル」

課題

人口3.6万人の小規模自治体として、高額なシステム導入は困難。限られた財源と人材の中でDXを推進する方法が求められていました。

取り組み内容

国の「ぴったりサービス」を窓口業務に転用し、コンビニ交付の100分の1のコストでオンライン申請を実現。QRコード決済の導入も内製で進め、外部ベンダーへの依存を最小化しました。職員自身が主体的にデジタル化を進める文化を醸成しています。

成果

  • オンライン申請率36.2%を達成
  • 年間約405万円の人件費削減
  • コンビニ交付と比較して100分の1のコストでのサービス提供

この事例のポイント

コンビニ交付の100分の1のコストでオンライン申請を実現。「お金がないからDXできない」ではなく、「お金がないからこそ知恵を絞る」姿勢が結果につながっています。

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事例23: 株式会社ヤマップ - 登山者コミュニティでゴミ4トン削減とライチョウ調査

課題

登山中の道迷い遭難事故は年々増加傾向にあり、登山道のゴミ問題や希少動物の生態系への影響も社会課題となっていました。

取り組み内容

登山アプリ「YAMAP」を核に、GPSログ共有による遭難防止、ユーザー参加型のゴミ拾い活動「DOMO」、ライチョウの生態調査をコミュニティの力で実現。企業利益と社会貢献をデジタルプラットフォームで両立させるモデルを構築しました。

成果

  • 推定4トンのゴミ削減を達成
  • ライチョウの目撃データ蓄積による生態調査への貢献

この事例のポイント

登山者自身がゴミを拾い、ライチョウを記録する。ユーザーが社会課題の当事者になれる仕組みをデジタルで構築しました。

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事例24: 株式会社誠和。 - 廃棄物をエネルギーに変える農工連携DX

課題

工場から排出されるCO2の処理コスト増大と、農業分野のエネルギーコスト高騰が並行して存在していました。

取り組み内容

佐賀市バイオマス産業推進課、佐賀県農業試験研究センターとの産学官連携で、清掃工場から排出されるCO2をハウス農業のCO2施肥に活用する「農工連携」の仕組みをデジタル技術で構築しました。

成果

  • CO2利活用量:約363トン/年
  • 清掃工場側の経済効果:約1,223万円/年
  • 農業者側の経済効果:約250万円/年
  • 佐賀市では4年間で50億円以上の経済効果を創出

この事例のポイント

工場のCO2を農業のハウス栽培に使う。業界の壁を越えた発想をデジタルで実現し、佐賀市全体で4年間50億円以上の経済効果を生み出しています。

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事例25: エン・ジャパン - 非エンジニアによるノーコード開発と組織変革

課題

急速に変化する人材市場に対応するため、IT部門だけでなく事業部門自身がスピーディーにシステムを構築・改善できる体制が求められていました。

取り組み内容

非エンジニアの事業部門メンバーがノーコードツールを活用して業務アプリケーションを自ら開発できる体制を構築。組織全体のデジタルリテラシー向上とボトムアップ型のDX推進を実現しました。

成果

  • 非エンジニアによる多数の業務アプリ開発を実現
  • 事業部門の自律的なDX推進体制を確立

この事例のポイント

非エンジニアの事業部門メンバーがノーコードで業務アプリを自作する体制を確立。IT部門のボトルネックを解消し、DX推進のスピードを上げています。

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事例26: NEC - サイバーセキュリティダッシュボードで組織文化を変革

課題

グローバルで約11万人の従業員と254の連結子会社を擁するNECは、20万を超えるITアセットを保有。多様な攻撃者に狙われやすい業態において、組織全体のセキュリティ意識を継続的に高め、行動変容につなげることが困難でした。

取り組み内容

全社のセキュリティ状況をリアルタイムで可視化する「サイバーセキュリティダッシュボード」を構築。経営層への月次報告や取締役会、投資家説明にも活用。攻撃メール訓練には生成AIを活用してメール作成工数を90%削減し、生成AIによるセキュリティニュース自動配信で制作費を約10分の1に抑えています。

成果

  • IT費用の10%以上のセキュリティ予算を確保
  • 攻撃メール作成工数90%削減(生成AI活用)
  • セキュリティニュース制作費を約10分の1に削減

この事例のポイント

セキュリティは「コスト」と見なされがちですが、ダッシュボードで投資対効果を経営層に示すことで、IT費用の10%以上の予算確保につなげました。生成AIによるコンテンツ制作の効率化も合わせて注目される事例です。

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事例27: 資生堂インタラクティブビューティー - デジタル技術で顧客体験を革新

課題

1872年創業の資生堂。消費者のニーズが多様化する中、従来の店頭接客だけでは顧客体験の向上に限界がありました。デジタル技術を全面的に活用した顧客体験の革新が急務でした。

取り組み内容

2021年にアクセンチュアとジョイントベンチャー「資生堂インタラクティブビューティー」を設立。グループ全体のデジタル・ITトランスフォーメーションを推進し、日本市場における新たな顧客体験の創出に取り組んでいます。EC・店頭・SNSを横断するデータ基盤の構築と、パーソナライズされたビューティ体験の提供を実現。

成果

  • デジタルを活用した新たな顧客体験モデルの構築
  • EC・店頭を横断したデータ活用基盤の確立
  • 日本DX大賞2024 BX部門で評価

この事例のポイント

老舗企業が外部パートナーと合弁会社を設立し、デジタル変革の専門組織を作った。本体の中でやるのではなく、別会社として切り出したスピード感が成功の鍵です。

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事例28: キリンホールディングス - 「キリンDX道場」で全社デジタル人材を育成

課題

DX推進に不可欠な全社員のデジタルリテラシー向上において、座学だけでは実践力が身につかない、企画構想力が不足するという課題がありました。

取り組み内容

レベル別の段階的プログラム「キリンDX道場」を立ち上げ。「白帯」「黒帯」「師範」の3段階で、全社員に門戸を開放。師範コースでは上司同席の成果発表会を設けるなど、実践と評価を一体化させています。

成果

  • 白帯1,600人、黒帯750人、師範150人が認定(2022年末時点)
  • 当初目標の白帯1,500人認定を1年前倒しで達成

この事例のポイント

白帯1,600人、黒帯750人、師範150人。手挙げ式で全社員に門戸を開放し、実践と評価を一体化させた育成モデルは再現性が高く、DX人材不足の解決策として参考になります。

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事例29: 旭化成 - オープンバッジで2,500名のデジタルプロ人財を育成

課題

7つのグループ会社を擁する総合化学メーカーとして、数万人の従業員のデジタルスキルを体系的に把握し、育成・活用する仕組みが必要でした。

取り組み内容

デジタルスキルの習得状況を「オープンバッジ」として可視化。現場による教材の内製化を推進し、「身近な事例集」の収集・共有や「Accomplishment表彰」など、成功体験を組織全体に広げる仕組みを構築しました。経営層の「変わるんだ!」というマインドセットと現場の「変われるんだ!」という実感を両輪で回しています。

成果

  • 3年で2,500名以上のデジタルプロ人財を育成
  • DXプロジェクトの成果創出が加速

この事例のポイント

経営層の「変わるんだ!」と現場の「変われるんだ!」を両輪で回す。オープンバッジによるスキルの可視化と、成功事例の全社共有がその仕掛けです。

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事例30: 大丸松坂屋百貨店 - サブスクで百貨店ビジネスを再発明

課題

百貨店業界は構造的な売上減少に直面。特にファッション分野では、大量生産・大量廃棄のビジネスモデルへの批判が高まり、「所有」から「利用」への消費意識の変化にも対応する必要がありました。

取り組み内容

サブスクリプション型ファッションレンタルサービス「AnotherADdress」を開発。200以上のブランド、常時3,000点以上のアイテムをオンラインで貸し出す仕組みを構築しました。百貨店の目利き力とデジタルプラットフォームを組み合わせ、サステナブルな消費体験を実現。

成果

  • 200以上のブランドとの提携を実現
  • 常時3,000点以上のアイテム展開
  • ファッションの新しい消費モデルとして注目

この事例のポイント

「百貨店は服を売る場所」という前提を捨てた。売るのではなく貸す。その転換は、デジタルなしには実現できません。

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まとめ: DX成功事例に共通する5つのポイント

30の事例に共通するパターンを整理します。

1. トップのコミットメントと明確なビジョン

トクヤマの「社長をプロジェクトオーナーに」、都城市の「市長をCDOに」、福島市の「就任2週間でペーパーレス化」。トップが旗振り役を担う事例ほど、変革のスピードが速い傾向があります。

2. 現場主導のボトムアップ型推進

後藤組の「全員DX」、松本興産の「自作アプリ」、指宿市の「職員自走モデル」に共通するのは、現場の担当者が自ら課題を見つけ、ツールを作る体制です。外部に任せきりの事例で大きな成果が出ているケースは、今回の30事例の中にはありません。

3. 小さく始めて大きく育てる

松本興産は自作アプリから、指宿市は国の既存サービスの転用から。クレディセゾンも「セゾンのお月玉」で内製の成果を見せてから全社展開しました。いきなり大きく始めた事例より、小さな成功を積み重ねた事例のほうが結果的に大きな変革につながっています。

4. 人と組織の変革を同時に推進

キリンの「DX道場」、旭化成の「オープンバッジ」、グッデイの「現場データ分析文化」。ツールを入れただけでは組織は変わりません。技術導入と人材育成を同時に動かした事例が、持続的な成果を上げています。

5. 社会課題の解決と事業成長の両立

ヤマップの環境保全、誠和。の農工連携、トクヤマのCO2削減、天地人の水道インフラDX。社会課題の解決と事業成長を両立する取り組みが、日本DX大賞でも高く評価される傾向にあります。


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