DX事例

日本DX大賞出場企業から学ぶ自治体DX事例8選

「日本DX大賞」は、企業や自治体のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の推進事例、官民または産官学連携におけるDXの推進事例から優れたDX事例を見つけ出し、広く共有する場として、2022年6月に実施いたしました。

本記事では、日本DX大賞の行政機関部門に登壇した自治体から選んだ8団体の、DX事例をご紹介いたします。

都道府県におけるDX事例

【群馬県】目指せ!日本最先端クラスのデジタル県!!「ぐんまDX加速化プログラム」

群馬県では、2021年度から2023年度までの3年間で、県を挙げたデジタル化推進に集中的に取り組んでいます。2020年度には全国の自治体に先駆けて、県庁内にDX推進を主業務とする「デジタルトランスフォーメーション戦略課(DX戦略課)」を創設しました。DX戦略課員には担当部局があり、DX推進をバックアップしています。

また、サイクルを3ヶ月ごとに回す高速PDCAを採用。年度単位で事業を行なう行政では異例とも言えるこの方式により、県内の全ての自治体が一丸となって「2023年度までに日本最先端クラスのデジタル県になる」という明確な目標達成に向けて活動しています。

群馬県「目指せ!日本最先端クラスのデジタル県!!「ぐんまDX加速化プログラム」

【神奈川県】新型コロナウイルス感染症対策の神奈川モデル

2020年2月に横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号内で、700人にも上る新型コロナ感染者が発生しました。神奈川県では全国の自治体と連携し、患者を他県に搬送するオペレーションを実施しました。

翌3月から、急激に増加する新型コロナ感染者の受け入れ体制の整備と人工呼吸器・ECMOの手配、医療提供体制の構築を大規模かつ急ピッチで進めると同時に、既存のパッケージシステムやデジタルツールの導入を決定。外部の民間人材やプロのエンジニアも巻き込みながら、緊急時の医療提供体制「神奈川モデル」を作り上げていきました。このときのノウハウを活かし、平時の行政にもDXを反映させ、意思決定に必要な情報収集や、意思決定した結果の伝達など、県民と直接つながる基盤を構築しました。

神奈川県「新型コロナウイルス感染症対策の神奈川モデル

【愛媛県】愛媛県官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」

愛媛県では、2021年(令和3年)に「愛媛県デジタル総合戦略」を策定。この中で掲げている基本方針のひとつである「官民共創」を促す場として、官民共創プラットフォーム「エールラボえひめ」を創設しました。

エールラボえひめでは、自分の周囲にある愛媛県の課題を解決したい個人や団体、県内外の自治体から募集した会員が、コミュニティの中にプロジェクトを立ち上げていく方式で運営しており、2022年12月現在、41のコミュニティと64のプロジェクトが登録されています。対話する場の活性化を促し、プロジェクト実行への伴走支援やデジタル技術活用のアドバイスができる人材をコミュニティ内に置き、会員の活動をサポートしています。

愛媛県「愛媛県官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」

市町村におけるDX事例

【岡山県笠岡市】コロナ禍での新しいコミュニケーションのあり方~シティプロモーション事業におけるデジタルトランスフォーメーション~

岡山県笠岡市では、市のイメージアップを図るため、2019(令和元)年度から本格的にシティプロモーション事業をスタートしました。

その一環として、笠岡市の公式インスタアカウント「カサオカスケッチ」を開設。「市内と近隣市町在住の30代女性」という、ターゲット層が主に利用するインスタグラムをフルに活用しつつ、VR(バーチャルリアリティ)を使った空き家内覧やふるさと納税の利用者と生産者との交流をオンラインで実施。笠岡市の取り組みを紹介するメディアの増加に伴い、ふるさと納税への寄付件数も増加しました。

岡山県笠岡市「コロナ禍での新しいコミュニケーションのあり方~シティプロモーション事業におけるデジタルトランスフォーメーション~

【兵庫県加古川市】加古川市版「Decidim」~新しい市民参加型合意形成のカタチ~

兵庫県加古川市では、一般社団法人Code for Japanと「加古川市におけるスマートシティの推進に関する協定」を締結。全国に先駆けて日本版Decidim(デシディム)を導入しました。10代から20代の参加者が非常に多いことが特徴です。

「加古川市スマートシティ構想」の素案に対する意見募集、公民館と子育てプラザの複合施設の名称公募、まちづくりへの意見募集などに活用された他、オフラインでのワークショップも実施することで、これまで拾い上げることが難しかった若い世代や子育て世代の方々の意見も取り入れることができました。

加古川市「「加古川市版Decidim」~新しい市民参加型合意形成のカタチ~

【熊本県小国町】小さく始めて大きく育てるこつこつと現場発のDX推進

熊本県小国町では、町長をリーダーとしたDX推進チームを立ち上げ、アステリア株式会社から紹介されたノーコードツール「Platio(プラティオ)」を使って、さまざまなアプリを作成・運用しました。

まずはテンプレートにあった検温アプリの試験運用からスタートし、検温報告機能を取り込んだタイムカードのようなアプリ(出退勤アプリ)や豪雨災害を受けて被災状況や避難場所マップが分かる被災状況報告アプリ、投票所の投票者数や公用車管理などのアプリを作成・導入した結果、役場職員から提案があったり、役場の取り組みを受けて町内の団体でも活用したりするようになりました。この取り組みで、熊本県小国町は日本DX大賞の行政機関部門において、大賞を受賞しています。

熊本県小国町「小さく始めて大きく育てる こつこつと現場発のDX推進

【宮崎県都城市】デジタル時代のパスポート!マイナンバーカードインフラ化プロジェクト

宮崎県都城市はマイナンバーカードのインフラ化を掲げ、マイナンバーカードの普及促進と利活用を同時並行で推進し、カードを申請しやすい環境の整備とカードの利便性向上に取り組んでいます。2022年6月時点で、マイナンバーカード交付率は市区別日本一を達成しています。

マイナンバーカードには欠かせない写真をタブレット端末で撮影し、そのまま申請書に反映するなど、マイナンバーカードのオンライン申請、自宅や人が集まりそうな場所、企業などに出向いての出張申請の支援体制を整備。また、電子母子手帳や各種証明書のコンビニでの交付など、マイナンバーカードをさまざまなシーンで使ってもらうための施策を実施しています。

宮崎県都城市「デジタル時代のパスポート!マイナンバーカードインフラ化プロジェクト

【山形県南陽市】職員が内製で取り組む「行かなくても済む市役所」への改革

山形県南陽市では、「行かなくても済む市役所」をテーマに、DX推進を内製で始めました。もともと職員向けに月に2度RPAの勉強会を開いていて、職員に一定のITスキルが身についていること、市民サービス提供へのスピード感などが背景にあります。

市民は各種手続きに必要な証明書を受け取るために市役所に出向きますが、やはり24時間、市民がいつでも都合の良いときに証明書を受け取れることが理想です。そこで、証明書の交付には郵便請求サービスを、交付に発生する費用はキャッシュレス決済を使えるようにしました。キャッシュレス決済とマイナンバーカードでの本人確認に必要なシステムの構築は、外部のベンダーに依頼。キャッシュレス決済はその後、役場の窓口での支払いにも導入されました。この他、市役所のホームページを開くと、AIのチャットボットが質問に答えてくれるサービスや、市役所に相談したいことがあるけど出向きにくい人のためのオンライン相談なども提供しています。

山形県南陽市「職員が内製で取り組む『行かなくても済む市役所』への改革

日本デジタルトランスフォーメーション推進協会について

一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会では、職員向けの勉強会や講師派遣、自治体広報DXの支援など、DX推進するためのさまざまな体制を整えております。DXを進める上で、DX人材の育成やDX推進体制の構築、地域課題解決のためのパートナー探しなどで支援をご希望の自治体担当者様は、下記リンク先をご参照ください。

https://jdxa.org/government-dx/

また現在、地域のDX推進を加速させたい、自治体のDX推進に取り組みたい自治体様を募集しております。興味・関心のある自治体様は、以下の「入会案内」ページをご一読いただき、「協力会員に申し込む」ボタンよりお気軽にお申し込みください。

https://jdxa.org/members/