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三田理化工業がkintoneで実現した業務変革とは?売上成長率プラス転換の裏側に迫る

三田理化工業株式会社は、NICUなどに入院している新生児へのミルク提供をサポートする「調乳システム」の提供、洗浄機の設計〜メンテナンス、消耗品の提供を主力事業とする企業です。クラウド技術の導入を決断した2017年当時、社内は深刻な問題に直面していました。

本記事では、kintoneの活用により積極的に業務変革に取り組んだ、三田理化工業株式会社の事例をご紹介します。

三田理化工業の業務改革への挑戦と転機

2017年、三田理化工業では4年連続で売上が減少し、社員の5人に1人が離職し人手が足りないという状況にありました。

また、顧客から機械の故障の連絡を受けると修理を行いますが、修理が終わると報告書を何枚も作成しなければなりません。そのため、サービス部門では残業が増え、作業の抜け漏れも多発しました。結果、修理に十分な時間が取れなくなり、機械の故障時間が長くなり、顧客満足度も業界シェアも低下してしまいました。

こうした状況に真正面から向き合い、抜本的な改革をしようとしましたが、売上高の減少の原因を探ろうにも、顧客や市場などのデータが残っていないなどの理由から、思うような結果が出せませんでした。

攻めの営業スタイルへの転換

まず、複数のExcelファイルに同じような修理情報を入力する作業を楽にするところからkintoneを導入。

情シスが不在だったので、ノーコードツールで誰でも触れること、幅広い用途で使えること、スモールスタートできることがその理由でした。

kintoneを導入した結果、修理担当者の入力作業が楽になっただけではなく、ビジネスモデルが大きく変化しました。顧客情報や修理履歴、進捗状況などを全てデータにしたことで、顧客への点検案内を出せるようになりました。

点検が増え、機械の故障頻度や時間、修理対応も減少し、顧客満足度も業界のシェアも上がりました。

また、点検比率がkintone導入前は28%だったのが51%、2023年度は60%近くまで上昇しています。今まで顧客から依頼を受けて動くことがほとんどだった修理部隊が、営業としても行動するようになり、安定して収益を出せる部隊に進化したのです。

この成功体験をもとに、kintoneを全ての事業所や工場に導入していきました。

クラウドツール活用による業務プロセス革新

三田理化工業は、kintoneをはじめSlack、Google Workspace、楽楽精算、ジンジャー勤怠などのクラウドツールを積極的に業務に取り入れることで、業務プロセスの見直しと最適化を進め、生産性を大幅に向上させました。

消耗品事業においては、大量の受注残、注文から納品までに2ヶ月かかっていたことが課題でした。そこでkintoneでロット管理をし、GoogleのスプレッドシートとSlackでリアルタイムに情報共有を行い、スムーズに生産管理できるようにしたことで、病院に安定供給できるようになり翌日出荷を実現。また、以前は工場で年間500時間発生していた残業がなくなり、再生医療分野で使われる洗浄滅菌済みの注射薬の容器の製造・販売にも進出しています。

その他にも品質管理のためにマニュアルや紙の書類、クレームの対応も全てkintoneに置き換えることでクレーム対応の日数が1/3になり、ISO 9001の取得。文書の作成数が前年の2倍になって改定が回るようになり、品質改善も進んでいます。

企業風土へのポジティブな影響

三田理化工業のデジタル化への取り組みは、会社内にさまざまな目覚ましい成果をもたらしました。

定量的な成果としては、売上成長率はプラスに転換し、利益率も向上しています。また離職率も2017年と比較して1/10になり、残業も大幅に減りました。

一方、定性的な成果としてはkintoneをフックにしたアトツギの業務理解が進み、業務もどんどん改善していきました。また、クラウドサービス導入のハードルが下がりました。さらに、kintoneのWebCMへの出演により会社の認知度やロイヤリティ、ブランドイメージの向上、社員の自信にも繋がり、クラウドサービスの導入のスピードを加速させています。

まとめ:デジタル革新が切り拓く未来への扉

今後、三田理化工業はさらなる飛躍を目指しています。2019年に「道なきところに、道をつくる。」というスローガンを立ち上げました。デジタル技術を駆使して業務改善に努めながら、新しい価値をどんどん生み出せる会社になる。それが、三田理化工業の目指す未来の姿なのです。