DX事例

子育て支援ひろばにクラウドサービス導入利用者の利便性向上とスタッフの業務効率化を実現

一般社団法人ここみは、静岡県浜松市で子育て支援ひろばを運営している団体で、ひろばの利便性の向上、個人情報管理のしやすさなどから、利用者管理システム「子育て支援のミカタ」を、IT企業と共同開発・導入しました。

本記事では、一般社団法人ここみがクラウドサービスを導入した経緯や、課題をどのように克服したのか、また利用者やスタッフからどのような影響があったのかを探ります。

一般社団法人ここみの概要

■法人名:一般社団法人ここみ

■事業内容:子育て支援ひろばの運営、妊産婦サポート、子育てに関する講座の企画・運営

■設立:2008年10月(2020年1月法人化)

■公式Webサイト:https://npa-kokomi.jimdofree.com/

「子育て支援のミカタ」開発の背景

浜松市にある子育て支援ひろばは、25ヶ所の常設ひろばと25ヶ所の出張ひろばで展開されています。このうち、一般社団法人ここみでは3つの常設ひろばと3つの出張ひろばを浜松市から委託を受けて運営していますが、利用者登録や利用記録管理のプロセスにおいて、さまざまな課題を感じていました。

子育て支援ひろばを利用するとき、初回利用時に登録申込書を手書きで記入しますが、浜松市内にあるすべてのひろばを利用するとなると、手書きの登録用紙を50回書くことになります。また、年度が変わると再度記入が必要です。例えば3月31日に初めて利用しても、4月1日にも利用すると2日続けて登録用紙を記入する必要があります。

一方、ひろばのスタッフは、その日の受付簿(紙)から来場者数を数え、手入力で転記するため、カウントミスが発生したり、カウントにも時間がかかっていました。また、来場者の過去の来場履歴を把握するには、都度紙の受付簿を確認しなければなりません。

子育て支援ひろばの利用者とスタッフが笑顔でいるために

利用者とスタッフ、双方で生じていたこれらの課題を解決するため、一般社団法人ここみはIT企業と共同で「子育て支援のミカタ」を開発しました。

利用者が自身のスマートフォンで個人情報などの必要事項を登録すれば、家族No.(ナンバー)が発行され、以後は専用QRコードを読み取るだけで、一般社団法人ここみが運営する6箇所(3つの常設ひろばと3つの出張ひろば)のひろばの入退館手続きが簡単にできるようになりました。

「子育て支援のミカタ」の導入により、利用者はひろばでの煩雑な手続きから、また、利用データの自動集計ができるようになったことで、スタッフは手作業で行っていた時間のかかる集計作業から、それぞれ解放されました。

「子育て支援のミカタ」の導入は、ペーパーレス化によるコスト削減、集計作業時間の削減によるスタッフの働き方改善、相談記録による支援の質向上など、多方面にわたるメリットをもたらしました。

導入初期には、デジタルを苦手とするスタッフのために、YouTubeに説明動画を限定公開でアップし、技術的な問題にはLINE WORKSに質問専用グループを作って共有しました。利用者とスタッフからポジティブなフィードバックがあったこと、運営側の作業負担が少なくなったことで、徐々にシステムへの信頼と満足度が高まりました。

「子育て支援のミカタ」が思い描く未来

今後、一般社団法人ここみがIT企業と共同開発した「子育て支援のミカタ」は、子育て支援ひろばのICT活用の促進に貢献することを期待しています。また、相談記録を活用し子育て支援の質の向上を図り、虐待防止や産後うつの予防につなげること。相談記録をもとに、子育て家庭が本当に必要としている子育て支援のニーズの発掘と自治体の子育て施策に活かせることを目指しています。

また、自治体単位で導入が進むことで子育て支援活動を広げていき、子育てしやすい社会づくりに貢献していきたいと考えています。 ​​