DX事例

従業員3名の企業が可処分時間を年間252時間増やしたDXとは?

歯科医院専門のホームページ制作・管理業務を手掛ける有限会社イヴニングスターは、業務のデジタル化やクラウドサービスの積極的な採用によって、業務の効率化を目指しました。本記事では、イヴニングスターがどのようにして既存の課題を克服し、ビジネスモデルを進化させたのかを掘り下げていきます。

有限会社イヴニングスターの概要

■法人名:有限会社イヴニングスター

■事業内容:歯科医院のホームページ制作、DX導入支援

■設立:2005年7月

■公式Webサイト:https://dentist.wa-ha-ha.net/

背景と動機

有限会社イヴニングスターは、従業員が3名の企業で、小規模企業ならではの「経営資源の限られた状況」という課題に直面していました。マンパワー分の仕事しかこなせないため、受注量に上限がある。スタッフの採用や育成に割く時間が取れない。仕事を受注するとそれをこなすのに精一杯で営業に出られない。この3つの問題に共通するのは、時間がないことであり、イヴニングスターが抱える大きな課題の根幹をなしていたのです。

加えて、2名の従業員が揃って退職するかもしれないという危機が発生。遠方でも楽に業務ができるようにするため、社長の可処分時間を増やすためにも、DXを活用した業務プロセスの根本的な見直しに着手しました。

DX推進に必要なのは、従業員との関係とデジタルツールの選定

この過程でイヴニングスターが最初に取り組んだのは、スタッフとの関係づくりでした。業務時間はZoomをつないでおき、気軽に相談ができるようにしました。雑談の中でさり気なくデジタルやクラウドの話題を出していき、デジタル化やクラウド活用へ向けた組織の地ならしができたところで、デジタルツールの導入を開始しました。

イヴニングスターは、長期的に利益を上げ続ける組織に向かうため、基礎となる5つの柱を立てました。それに沿って、Google Workspace、Zoom、Chatwork、LINE、kintone、HubSpotなどのクラウドサービスを選択していきました。

業務のデジタル化とクラウドサービスの導入は、イヴニングスターにとって大きな成果をもたらしました。受注から作業までの業務フローを見直したことで、毎日平均1時間5分、年間で約252時間の可処分時間を増やすことに成功。

顧客との関係構築にはboxを活用して現状を可視化・共有し、HubSpotの導入によりニュースレターをデジタル配信したり、対面コンサルをZoomに切り替えたりしました。顧客とより深く関係を構築できるようになり、経費も削減できました。

業務改善から生まれたポジティブな変化

イヴニングスターがDXに取り組み始めて4ヶ月ぐらい経った頃から、徐々に成果が出ています。作業効率が向上しただけでなく、業務改善に取り組んでできた時間で歯科医院へ営業ができました。また、リモートワークの導入により、組織全体の柔軟性としなやかさが向上しました。その結果、デジタルやクラウドを導入することで、従業員から「日常業務の手順が減ってお仕事が楽になるので大歓迎」という肯定的なフィードバックが寄せられ、仕事の質と効率が改善されました。

結論と今後の展望

有限会社イヴニングスターは、従業員との関係づくりなど環境を整えてからDXに取り組みました。それにより、リソースが限られた環境でも、効率的な業務運営と持続可能な成長が実現可能であることを証明しました。

現在有限会社イヴニングスターでは、クラウド型のレセコンの導入、Googleフォームでの歯科医院の経営データ共有といった、歯科医院のデジタル化の提案もはじめています。また、サイボウズのkintoneを使った在庫管理などのアプリ開発を進めています。クラウドを活用して従業員や顧客との関係強化、サービスの質の向上を目指し、小規模の歯科医院が儲かる体質へ変革できるよう支援していくとのことです。