DX事例

建設業界のDXを先導する:ホーセック株式会社の経営ノウハウのクラウド化への挑戦

ホーセック株式会社は、全ての業務をICT化することを目指して、「建設タウン」というを2008年に開発しました。「建設タウン」の活用により、原価の削減や社員の年収増加に成功。業界特有の多重化する業務管理や情報の見える化に真正面から取り組み、経営ノウハウのすべてをクラウド化することで、業界のイノベーションを先導しています。

本記事では、ホーセック株式会社のDXへの取り組みについて詳しく探ります。

10年以上前のホーセック株式会社が直面していた、情報共有の課題とトラブルの連鎖

2008年~2009年、ホーセック株式会社では、現場でもバックオフィスでもさまざまな課題に直面していました。現場では、図面の修正が入ったことを知らされぬまま、古い図面で施工してしまった、社員の退社が相次ぎ慢性的な人手不足、幹部社員が現場のトラブル対応に追われている、現場管理では進捗出面管理もできていないなどの問題が常態化していました。

一方、バックオフィスでも、単純なミスや請求漏れや入金確認漏れが多発、バージョンの古いツールで組み立てたシステムが使えなくなり、システムを構築したエンジニアも退職していた、サーバーの都合上現場からインターネットを経由して使いたいファイルにアクセスできないといった問題が多発していました。

こうした課題が蓄積されていった結果、2009年のホーセック株式会社の売上高は前年比の半分にまで落ち込んでしまったのです。

クラウドシステム「建設タウン」の誕生――業務のクラウド管理への取り組み

これらの課題全てを解決するため、全ての業務をICT化するために、ホーセック株式会社は、2008年からインターネットブラウザで使用できるクラウドシステム「建設タウン」の開発を自社で始めたのです。

「建設タウン」は、専門的かつ多様な建設業界の業務を「ポータル」「業務」「日報」「現場」「帳票」という5つの管理項目に分類し、クラウド上で一元管理することにより、円滑な社内情報共有と業務効率化を実現。

また、情報プラットフォームや給与ソフト、会計ソフト、納税システムなどとの連携が実現し、全ての業務を1つのクラウドシステムで一元管理できるようになりました。

経営理念の実現に向けた、全社的DXの柱

ホーセック株式会社では、人手不足や過当競争、技術革新などの外部環境の要素を考慮しつつも、市場を売り手市場として捉え、兼業、競合企業とは全社的な競争を避ける経営戦略を採用しています。「豊和」という経営理念を実現するため、「豊和」な企業文化や風土を育み、組織が拡大を続けるためにも、経営戦略と人材戦略、全ての業務のクラウド連携が必要でした。

そこで、「プロセス(「建設タウン」)」、「プロダクト(「Gembastation」、3Dスキャン)」、「コミュニケーション(Google Workspace)」の3つの柱を立てて、それぞれに最適なクラウドツールを配置し、APIで連携させるという方法でDXを推進。社員や現場の作業員がチャットツールを介したコミュニケーションを身につけることで、組織のDXの促進も目指せることも狙いの1つでした。

DXの成功のポイントと成果

ホーセック株式会社のDXを実現した効果として、「建設タウン」を開発した頃と比較すると、原価率は22%の削減、粗利は6倍の増加、1日の1人あたりの売上では74%の増収に成功。

社員の待遇改善も進み、社員1人あたりの作業日数も年間118日減少し、社員の平均年収もアップしました。残業に関しては、社員に1年間の残業時間を計画してもらい、個人個人の働き方を尊重し合う環境を構築しました。さらに、コミュニケーションツールとの連携により、情報の正確性と迅速性が向上し、業務の効率化が図られています。

まとめ:建設業界のDXを推進するホーセック株式会社の未来

ホーセック株式会社では今後も、90%以上の社員が自分の子供に建設業界の仕事を自信を持って勧められるよう、さまざまな改革を進めていきます。

また、「建設タウン」を介して、建設業界の社会的共通資本である情報をクラウド上で共有できるようにし、協力業者や業界団体と連携して、相互ネットワーク効果を実現するためのアライアンスコミュニティ構築を目指しています。