DX事例

【株式会社学研メディカルサポート】教育を止めるな!コロナ禍でも医療従事者の教育に寄り添うe-ラーニング事業

日本DX大賞は、日本のDX推進を加速するために、自治体や民間企業などが取り組んだ事例を発掘し共有するためのコンテストです。2022年6月20日に行われた「大規模法人部門」
より、株式会社学研メディカルサポートの事例をご紹介します。

教育出版の学研グループはデジタル戦略の一環で、看護師向けのe-ラーニングサービスを
提供しており、コロナ禍における医療従事者の教育・学びをサポートしています。その開発背景と活用状況を紹介します。

株式会社学研メディカルサポートの概要

■法人名:株式会社学研メディカルサポート
■事業内容:医療・看護・介護分野への教育コンテンツ配信事業
■設立:2011年4月
■公式Webサイト:https://gakken-meds.jp/

コロナ禍の医療従事者に学びの機会を提供

看護師・医療従事者は「最も勉強する集団」だと言われています。その理由は、医療技術が絶え間なく進歩すること、そして何よりも、患者様の命を預かっているからです。

その看護師・医療従事者たちに新型コロナウィルスの脅威という未曾有の事態が襲いかかりました。看護師たちは感染防止に関する最新情報やメンタル面のフォロー、そして最新技術の取得など学習の機会を必要としていました。それを実現できたのが、デジタルコンテンツを活用したe-ラーニングです。

日本全国に現在、約8300の病院がありますが、そのうち2230の病院で学研のe-ラーニングを導入いただいており、利用者数は60万人を超えています。コロナ禍においても、教育の機会を提供することができました。

学研グループについて

学研グループは、今から77年前に教育出版社としてスタートしました。「学研」と言うと、教材付きの学習誌「科学」「学習」をご存知の方も多いと思います。最高部数は1979年、
小学生の数が1,200万人であった時に、月間670万部を販売していました。

現在は教育だけでなく、福祉領域においても事業展開をしています。我々、株式会社学研メディカルサポートは2011年に発足し、グループ内のデジタルトランスフォーメーションプロジェクトとして、「紙」×「デジタル」の融合をテーマに看護師向けのe-ラーニングの配信をスタートいたしました。

経営ビジョンとして「医療・看護分野の教育支援活動を中核として、世界の医療水準の向上に寄与し、人類の健康福祉に貢献します」を掲げており、社内には以下の3部門があります。

●営業部:現場への新規促進、アフターフォロー
●制作部:コンテンツ制作配信、映像の撮影加工
●管理部:上記2部門を支え、業務改革・顧客対応

常に部門間連携を大切にし、現場の最新ニーズを共有できる体制を取っています。

なぜ看護師の教育にe-ラーニングがフィットしたのか

看護師の教育にe-ラーニングがフィットした理由は、現場でのさまざまな悩みを解決できるからです。例えば「院内研修の準備の負担を軽減」「いつでもどこでも学習できる」
「教育の均衡が図れる」といったポイントが挙げられます。

e-ラーニングというと「使い方が分からない」「視聴環境が悪い」といった意見もよく伺います。そこで、普及のために最も注力しているポイントが、導入後のフォローです。

営業社員が各病院を直接訪問し、使い方の説明や、視聴状況の分かるデータの共有、看護師の評価につながる部分まで、丁寧に話をさせていただいております。Zoomを介したWeb
フォローと、リアル訪問のハイブリッドで、年に3〜4回フォローさせていただくことで、
お陰様で平均視聴率は80%を超えています。

「講義」と「ビジュアルによる技術解説」

主なサービス内容は「講義型のe-ラーニング」「ビジュアルで技術を学ぶe-ラーニング」
です。対象は看護師だけでなく、病院で働くすべての方に提供できる内容となっています。
加えて「介護」「訪問看護」に関する教育も提供しています。

主要サービス①「学研ナーシングサポート」

約2200以上の病院で利用いただいている、著名な講師陣による講義を配信するe-ラーニングサービスです。市場優位性として「全350テーマを超えるコンテンツの豊富さ」
「毎年200コンテンツを差し替える更新の多さ」が挙げられます。

また、24時間いつでもどこでも学習でき、院内研修に必要な資料(テストやアンケート)
をプリントアウトできるほか、現場実践につながるワークシートも実装しています。

学習履歴管理も可能で、キャリアプランに組み込めるプログラム構成となっているため、
看護部の人事評価や組織構築に役立ちます。e-ラーニングというと個人学習のイメージが
強いと思いますが、院内での集団研修にも活用されています。

看護部の管理者(教育担当者)と、院内の各スタッフが双方向に繋がることも可能です。
研修課題として予め割り当てたテーマの視聴状況や、テストの点数などを見ることができ、スキル向上、組織力向上に貢献できる仕組みになっています。

主要サービス②「ビジュアルナーシングメソッド」

看護技術を手順書と動画で学習できるe-ラーニングです。
全360テーマ、「手順書」「技術動画」「確認テスト」「評価表」の4ステップで看護技術が身に付き、現場で安心安全に実施できるようプログラム化しています。

導入病院の声(中部徳洲会病院)

導入事例として、中部徳洲会病院様のお声をご紹介します。

「導入背景は

・院内研修がなかなか定着しない
・研修担当者の負担が大きい
・コロナ禍において院内研修を廃止、あるいは人数制限が生じた

というものでした。
これらの課題に対し、学研e-ラーニングには次の利点を感じています。

・臨床現場で必要な研修内容が網羅されている
・時間の制約がなく、看護師のライフスタイルに応じて、各人の時間を有効活用した研修を実施できる(働き方改革の観点)
・アフターフォローが非常に充実し、臨床現場が求める最新の医療情報が瞬時に提供される

導入の結果として研修の幅が広がり、効率的に運用できるようになりました」

今後の展望

株式会社学研メディカルサポートとして今後は、国内で構築したe-ラーニングの知見を
海外にも展開することで、日本のデジタル事業の発展に貢献していきたいと考えています。