日本DX大賞は、日本のDX推進を加速するために、自治体や民間企業などが取り組んだ事例を発掘し共有するためのコンテストです。
2022年6月20日に行われた「大規模法人部門」より、株式会社GA technologiesの事例をご紹介します。
2013年の創業時より、不動産テックを展開している同社。「紙」「電話」「FAX」の使用が多い業界において、どのような手法で業務そして顧客体験に変革をもたらしたのでしょうか。その成果についてご紹介します。
株式会社GA technologiesの概要
■法人名:株式会社GA technologies
■事業内容:不動産業
■設立:2013年3月12日
■公式Webサイト:https://www.ga-tech.co.jp/
不動産領域のDX
株式会社GA technologiesは2013年創業で、まだ10年に満たない社歴の会社です。2018年に東証マザーズ(現グロース)に上場し、今期で10期目を迎えました。
創業以来「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る」をミッションに掲げ、「不動産テック(プロップテック)」に取り組んでいます。
当社には「DXチーム」や「DXプロジェクト」というものはありません。会社全体がDXに取り組む組織体そのものであり、グループ内の約1000名で推進しています。
また、2020年、2021年、2022年の3年連続で経産省・東証の「DX銘柄」に選定いただきました。東証マザーズ(現グロース)市場の不動産セクターにおいて3年連続の選出となったのは、当社のみです。不動産はアナログ比率の高い領域だと言われていますが、当社のDXの取り組みが評価されていると言えます。
オンライン完結型の不動産取引を実現
オンライン完結型の不動産取引を実現したDXの取り組みをご紹介します。
不動産取引マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」は、不動産売買・貸借・投資といった、ユーザーとして向き合うさまざまな切り口でのサービス提供を行っています。
DXの取り組み成果は非常に多岐に渡りますが、本日は代表的なものをご紹介します。
一つは「不動産取引に関わる業務のDX」、もう一つは「顧客体験のDX」です。
DXで仕入れ業務の工数が3分の1に圧縮
不動産業界は、紙の資料、FAX、電話などが業務上多く、アナログのやりとりが多いといえます。それらのやり取り一つ一つに、DXのメスを入れていく取り組みです。
販売する不動産物件を仕入れる際の情報は、今なおチラシや、手書きの物件広告で来るケースが非常に多く、フォーマットもバラバラです。
そのような情報をOCR(画像認識技術)で自動的に読み取り、データベース化する仕組みを構築しました。この仕組みによって画一的なデータベースにすることができ、顧客に提供する物件資料の制作も自動化できるようになりました。
アナログ資料をデジタイズし、顧客に提供するところまで一気にコンバートすることで、
物件の仕入れ業務の工数が3分の1に圧縮されました。
商談のDX 顧客ニーズに合わせた柔軟な提案を実現
続いて「業務」「顧客体験」双方のDXです。
不動産の商談・営業活動には、基本的に紙の資料が用いられるのが常ですが、当社では、
タブレットを活用したインタラクティブな提案・営業活動を行っています。これは単に、
紙がタブレットに置き換わったのではありません。
顧客一人ひとりに合わせたシミュレーションを作成できたり、先程紹介した社内データベースへダイレクトにアクセスして、顧客ニーズに合わせた物件をダイナミックにその場で提案できるという、商談における顧客体験のDXです。
顧客にとっては、ニーズに沿ったインタラクティブな提案を受けられることが非常に大きなメリットです。当社側のメリットとしては、商談前に営業マンが紙の資料を準備・印刷するプロセスとして1商談あたり「20分」かかっていたものが「ほぼゼロ」になりました。
オンライン完結で不動産取引におけるユーザー負担を軽減、利便性向上
不動産取引は「営業マンと何度も電話」「メールで確認」などアナログ色が強いと言えますが、当社で投資用不動産をお求めのお客様は「マイページ」へアクセスすることで、すべての取引の進行状況を確認できるようになっています。
単に、取引の進行を確認できるだけではありません。
不動産取引・契約にあたって必要な公的書類をオンライン提出できる仕組みを構築しました。銀行・証券等ではオンライン手続きが今や当たり前ですが、これを不動産領域で実現しました。
購入後の物件管理もスマホアプリ経由でできるなど、「買う瞬間」「買った後」すべての
顧客体験のDX推進をしています。
不動産取引そのもののDXにより「ユーザー負担軽減」「利便性向上」に繋げています。
売上にも成果が
このような取り組みが評価され、若いお客様、特に平均30歳前後のサラリーマンから高い支持を得ています。中古マンション投資で3年連続ナンバーワンに輝き、売上にも成果が表れました。
ペーパーレス化に関しては、年間約268万枚の紙の使用を削減できました。グループ全体で見るとさらに多くの削減ができており、SDGs推進という観点でのお客様の評価や、環境負荷低減にも繋がっています。
業界全体のDX推進を目指す
不動産領域のDXは日々刻々と進んでいます。
2022年5月18日には宅建業法の改正により不動産のオンライン取引が法律上解禁されました。法改正以前は、商談のオンラインは可能でしたが、最終契約書面は「紙」「ハンコ」が法的に必須でした。しかしこのたび、電子契約による不動産売買・賃貸契約が解禁されました。RENOSYは既に、そこへ対応できており、売買事例も発生しています。
業界のDXが進むことで取引量も増え、市場がさらに拡大していくことが見込まれます。するとデータベースが潤沢になり、顧客にとって、より価値のある取引に結びついていきます。
業界全体のDXを推進していく使命を感じながら、これからも取り組みを進めてまいります。
■関連サイト
日本DX大賞
https://dx-awards.jp
日本デジタルトランスフォーメーション推進協会
https://jdxa.org/
Re:Innovate Japan
https://re-innovate.jp/