DX事例

【イーデザイン損保】DXによって実現した今までと違う自動車保険『&e(アンディー)』

日本DX大賞は、日本のDX推進を加速するために、自治体や民間企業などが取り組んだ事例を発掘し共有するためのコンテストです。2022年6月21日に行われた「中小規模法人部門」より、イーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)の事例をご紹介します。

イーデザイン損保では、デジタルトランスフォーメーションによって自動車保険における全く新しい顧客体験を生み出しました。

このようなサービスが生み出された背景や、導入後の成果を紹介します。

イーデザイン損保概要

■法人名:イーデザイン損害保険株式会社
■事業内容:損害保険業
■設立:2009年1月26日
■公式Webサイト:https://www.edsp.co.jp/
■&e(アンディー)」公式サイト:https://www.e-design.net/

自動車保険そのものの存在価値を再定義

『&e(アンディー)』は、2021年11月に発売を開始した、DX型の新しい自動車保険です。

当社では常に「お客さま」×「体験」を中核に技術の活用をしてきましたが、それだけには留まらず、マネジメント変革も行うことで自動車保険そのものの存在価値を再定義する取り組みに挑戦しました。

我々が着目しているのは、お客さまを中心とした環境です。その環境をさらにブレイクダウンして考えると「顧客接点」「業務」「IT」「ITを使う人・組織」に分かれます。

中核として捉えているのは、「CX(顧客体験)」つまり「お客さまの体験をどうすることが最上なのか?」ということです。お客さまの体験を最良にしていくためには、単なる保険の提供だけに留まるべきではない、と考えました。ユーザーファーストの視点でアプローチや提供フローを刷新し、「UX(ユーザー体験)」全体を変革させ、新たな価値の提供が必要だと考えたのです。

それを実現するための手段が、「DX」です。「DX」とは、ただ技術を適用するだけでは
不十分です。

「人材の採用・評価」や「組織運営の在り方」も絡めることで「CX(顧客体験)」や「UX(ユーザー体験)が変わり、「MX(マネジメント変革)」が起き、DXが成し遂げられると考えました。

さらに、中核に位置づけられた「パーパス」がビジネス体験全体を変え、ビジネスモデル
全体が変容(BX=Business Transformation)していく、という全体戦略です。 

これら5つの「X」が複雑かつ多層的に絡み合うことで、大きな価値を提供する。
これが、我々が挑戦したDXの取り組みです。

イーデザイン損保が取り組む背景

イーデザイン損保は東京海上グループの一員としてダイレクト損保事業を担っています。

2021年4月に、「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創
する」と、ミッションを再定義いたしました。これにより、社員全員が単に目の前の利益、目の前の課題だけでなく中長期的にお客さまの課題に対して全力で取り組む状態を組織全体で作ってまいりました。

さらに2021年11月以降は、東京海上グループのR&D(研究開発)拠点の機能も担っていくことになりました。グループ全体の知見を積極的に活用し、なおかつ、爆速で新たな取り組みに挑戦して体現し、グループ全体に貢献する取り組みです。

従来の自動車保険は、「事故の補償」という価値を提供し、「事故に備える」ことに主眼を置いたサービスです。しかしその中で「契約が面倒」「トラブルに遭った時しか役に立たない」「自分の運転には自信があるが、家族の運転が心配」「トラブルに遭った時、混乱してうまく状況を伝えられない、どうしていいかわからない」など、ユーザー視点でいくつかの課題がありました。

それでは、今後の自動車保険とは、どうあるべきなのでしょうか?
「事故の補償をする」―この、基礎となる部分に今後はデジタル技術がどんどん入り込んで進化していくはずです。

しかし、ただそれだけの顧客体験では、おそらくユーザーの満足を得られないと我々は考えています。

つまり「事故に遭う前」「走行時」「走行前」そのようなフェーズにも技術を活用し、
お客さまの体験をどんどん拡張していき、従来のような「事故の補償」にとどまらない、
全く新しいDXされた顧客体験を、我々が自ら作っていく必要があると考えたのです。

DXによって生まれた『&e(アンディー)』のサービス詳細

従来の仕組みではダメだと考え、オープンでフレキシビリティの高いITプラットフォームを選定し、さまざまな会社と共創しやすい環境を1.5年かけて構築しました。

そしてこれからは、「事故に備える保険」「事故を防ぐ保険」この両輪の発想が重要だと考えました。

DXによって生まれた『&e(アンディー)』は、事故時のみを補償する保険ではありません。ドライバー、その家族、街、企業、社会が連携して、知らず知らずのうちに、事故の
ない社会に近づいていき、安心・安全な街を、ユーザーと共創する自動車保険です。

『&e(アンディー)』サービス詳細

・まずはスマホで『&e(アンディー)』のWebサイトにアクセス、申込後数日で手のひらサイズの小さなIoTセンサーが届く

・届いたIoTセンサーを車内に設置し、専用スマホアプリとペアリング

・運転の挙動をセンサーとアプリで解析、運転するたびに自分の「Tripレポート」が届く
運転スコアや、どんな危険挙動があったのか、自分の「運転傾向」が分かる

・スマホアプリを介して安全運転をするヒントが詰まった「運転テーマ」が配信される。「運転テーマ」を意識した走行ができると「ハート(ポイント)」が届き、スコアとして
貯めるとコーヒー、スイーツなどの商品と交換できる

・事故時の衝撃をIoTセンサーが検知すると、アプリにプッシュ通知が届き、ワンタップで
事故連絡完了、オペレーターにもいつでも連絡できる

・『&e(アンディー)』のサービスを通して収集されたさまざまな運転データは事故のない社会を創るために活用される。データを基に、事故の起こりやすい場所をお知らせするなど、保険ユーザーをつなげてデータを収集・蓄積する。ユーザー全体で安全運転の輪が広がると、自治体への寄付金が上乗せされ、安全で快適なまちづくりに貢献できる

我々は『&e(アンディー)』のサービス提供を通じて、事故のない社会の実現に挑戦し続けています。

『&e(アンディー)』の開発背景にある、マネジメントトランスフォーメーション

『&e(アンディー)』のサービス実現の背景では、同時に組織変革(マネジメントトランスフォーメーション)も進めました。

●「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を再定義し、意識改革

●グループ会社のR&D機能を担う組織として位置づける

●副業人材や専門人材などパートナーの高度な知見を活かして爆速推進

こうして『&e(アンディー)』のサービスは2021年11月にスモールスタート、
2022年4月下旬から主力商品を従来商品から『&e(アンディー)』に変更する本格展開が始まりました。

CMを開始すると、年間約20万件ペースの契約をいただくまでに成長しています。

安全運転プログラムの結果、91%のお客さまが「安全運転意識が高まった」と回答しています。親子で道路上の危険箇所を見える化する「もしかもマップ」に関しては、実施1ヶ月間で90自治体からの情報提供や利用者からの投稿が寄せられ、57,014ピン(2022年6月現在)を地図上にプロットできました。

すべての起点はパーパス

当社のDXの取り組みにより、『&e(アンディー)』という新たな自動車保険が誕生しました。

パーパス(当社の存在価値)を中核に、CX(顧客体験)とMX(マネジメントトランスフォーメーション)をつなげていく、これこそが、約3年かけて実現させた我々の価値であり、新たなチャレンジです。