DX事例

【合同会社DMM.com】デジタル技術を活用し、地域に根付いた持続可能な地域貢献を行う「DX推進×地方創生プロジェクト」

発表者:合同会社DMM.com イノベーション本部 地方創生事業部 事業部長 片山 尊 様

日本DX大賞は、日本のDX推進を加速するために、自治体や民間企業などが取り組んだ事例を発掘し共有するためのコンテストです。

2022年7月現在、日本の総人口は1億2,484万人です。このうち、三大都市圏といわれる
東京、大阪、名古屋の各エリアの人口流入は著しい反面、それ以外の地方の人口減少は年々加速しており、今後もこの傾向は変わりません。地方の人口減少が続けば、経済規模は縮小し、そのまま住民の生活水準の低下を招きます。

この事態に歯止めをかけるべく、国は地方創生に力を入れており、さまざまな施策を打ち出しています。その一つが「地域活性化起業人(※)」制度です。合同会社DMM.comではこの制度を活用し、自治体のDX推進を多方面で支援しています。

2022年6月22日に行われた「支援機関部門」より、合同会社DMM.comの事例をご紹介します。

■法人名:合同会社DMM.com
■事業内容:動画配信、FX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリント、その他
■設立:1999年11月17日
■公式Webサイト:https://dmm-corp.com/

DMM地方創生事業

 DMM 地方創生(https://sousei.dmm.com/)では、DMM.comが掲げる「誰もが 見たくなる 未来。」というビジョンを受け継ぎ、誰もが見たくなる日本の未来の実現を目指し、全国の自治体様とともに地方創生事業に取り組んでいます。これまでに、DX、スポーツ、
観光、インバウンド誘致などの分野における課題解決や事業推進で、50自治体8つの団体様の伴走支援を行っています。

その中でも今回は、地域におけるDX推進事例を2つご紹介いたします。

福岡県大川市の事例

弊社と大川市(https://www.city.okawa.lg.jp/)様は、中長期を見据えたDX戦略を推進するため、「地域活性化起業人(※)」の派遣協定を締結し、大川市様と一丸となってDX文脈のあらゆる課題をスピーディーかつ確実に解決できる体制を構築してきました。

まずDX推進策の第一弾として、スマートフォンからできる行政サービス手続きサービス「Graffer®︎スマート申請」と公式LINEを活用した自治体広報サービスを導入しました。

LINEを使った自治体広報については、導入決定から3カ月でリリースできました。
地域活性化企業人制度を活用した伴走体制に加え、LINE社が提供するオープンソースプログラムのソリューションを含めた幅広い情報収集力が、スピーディーな課題解決策の提供に
繋がったと考えております。

大川市様のLINEのアカウント登録者数、いわゆる友だちの数はリリースしたばかりということもあり、利用の度合いも含めてまだそこまで多くないのが現状です。

これからの計画を立てていくにあたり、「ただサービスをリリースしていけばいいというものではなく、いいサービスを利用してもらうための周知をしたり、どうやって使えばいいか説明をしたりすることも必要である」という共通認識を大川市様と持っており、DX推進戦略計画にもそれが反映されています。

大川市様には現在、DMMから1名の社員(片山)が毎月伺って、市役所の中で仕事をしていますが、いろんな課題が浮き彫りになってきたときには、本社にいるメンバーも巻き込んで、プロジェクトごとにメンバーを入れ替えて進めていく体制を取っております。新しい施策を実施する上での予算に関しては、プロジェクトによりけりですけれども、大川市様の場合、基本的には弊社ではなく大川市様側で予算を都度組んでいただき、それを受けてDX推進戦略計画を立てて、各プロジェクトに活用しています。

※地域活性化起業人制度:自治体が受けられる特別交付税措置の一つで、官民が連携して地域の発展を目指す総務省の制度。自治体はさまざまな地域課題解決などのために、東京・関西・名古屋の三大都市圏にある民間企業の社員を一定期間受け入れ(在籍派遣)、地域独自の魅力・価値の向上につながる業務に従事してもらい、逆に派遣された社員は派遣元企業で培った専門知識や業務経験、人脈、ノウハウを、派遣先での自治体の業務に活用し、地域活性化に貢献する。

岩手県滝沢市の事例

弊社は、滝沢市様が主催する「タキザワイノベーションチャレンジ」という学生向けの創業支援活動を2年にわたってご支援いたしました。

当初、新型コロナウイルス感染症の蔓延により予定していた学生の創業支援活動、対面でのアドバイスやメンタリング、多くの企業を集めて学生ピッチイベントなどの実施が難しくなったといった課題を抱えていらっしゃいました。

これらの解決策といたしまして、プロジェクト進捗管理フローの設計とプロや先輩、メンターへの相談環境の構築を、Slackを用いることで実現させました。

また創業支援活動の総括として開催した、企業と学生をつなぐピッチイベントもライブ配信して、企業様と学生をマッチングさせる環境を提供。社会情勢に左右されない学生の創業支援体制を実現できました。これらオンラインでの学生の創業支援体制を提供できた理由には、弊社が全社を挙げて導入したリモートワーク(リモートワーク率は全社で90%)の
ノウハウ活用が活きたと思っております。

「タキザワイノベーションチャレンジ」のイベント運営や仕切りの部分をDMMがお手伝いして、今年で3年目になります。このイベントで出会った地元の学生と企業さんでチームを組んでいただき、実証実験に進んでいただくことを想定していますが、社会実装まで進んだテーマはまだないのが現状です。今後も実証実験や社会実装含め、引き続き支援していきます。

その他の地域におけるデジタル活用事例

弊社発祥の地でもある石川県加賀市では、山代温泉通りの夜を彩ったプロジェクションマッピングイベント(「やましろナイトプロムナード2021秋」)のプロデュースを手掛けました。

また、Web3.0技術を活用した子供たちへの新しい学び・交流の場の提供を福岡県北九州市様と取り組み(「メタバースに入って小中学生が作った3DCGを見てみよう!こどもバーチャル展示会」)、さらに今年6月に弊社が主催した「NEXT地方創生.オンライン展示会」の開催で、弊社の得意分野であるエンタメとDXを題材に、多くの民間企業様と自治体様をマッチングさせる機会提供を行いました。

最後に

DMM 地方創生事業は今年で4年目になりますが、DXを推進する上で大切にしているのは、自治体様との密なコミュニケーションです。オンラインでの打ち合わせも増えていますが、ITの会社と自治体様の相互理解、自治体ごとに異なる地域性への理解を深めるためにも、
とにかく直接お会いして話をするようにしています。

派遣された自治体の職員として働いてる感覚で机を並べて仕事をすることで、お互いのバックグラウンドを理解し合えるだけでなく、スムーズなやり取りと、深い信頼関係の構築を可能にしました。「自治体で新しい取り組みをするのはハードルが高そう」と感じられる点に関しては、ハードルに感じてしまう部分はどこなのかなど、自治体様が抱えている不安などを丁寧に伺いながらハードルを越える方法を一緒に考えています。自治体様から業務を発注してもらうという意識ではなく、自治体様に伴走するという意識を常に持って自治体での業務に従事しています。