日本DX大賞は、日本のDX推進を加速するために、自治体や民間企業などが取り組んだ事例を発掘し共有するためのコンテストです。
昨今、ビジネスを取り巻く環境変化へのスピードの強い危機感から、自社ビジネス変革の
必要性を感じDXの推進に取り組みを検討する企業が多くなっています。一方で、DXを推進するにあたって、プログラマーやエンジニア、ITに強い人材がいて、自前でITツールを開発できる環境が整っている企業は多くありません。こうした状況を打破できる技術革新の一つとして、プログラミング作業が可能な限り少なくて済むローコード開発に注目が集まっています。
2022年6月22日に行われた「支援機関部門」より、株式会社シーイーシーの事例をご紹介します。
株式会社シーイーシーの概要
■代表:代表取締役社長 大石 仁史
■設⽴:1968年
■事業内容:デジタルインダストリー事業、サービスインテグレーション事業
■公式Webサイト:https://www.cec-ltd.co.jp/
シーイーシーの提供するMicrosoft社製品を活用したソリューション
現在Microsoft社で提供している以下のアプリケーションは、ユーザーニーズを取り入れて日々機能が強化されています。
- Dynamics 365(業務アプリケーション)
- Power Platform(ローコード開発ツール)
- Azure(クラウドインフラデータ分析基盤)
- Microsoft 365(コミュニケーションツール)
弊社ではこれらの製品の導入だけではなく、企業の成長や事業の変化に合わせたツールの
活用方法、ICTのライフサイクル全体を支援するサービス、活用したお客様のDX戦略実現を提案・提供しています。
コロナ禍で直面した多くの課題に対して、ローコーティングツールで解決された伊藤忠丸紅鉄鋼様の事例をご紹介いたします。
伊藤忠丸紅鉄鋼の事例~ローコードツールを活用して実現した、ペーパーレス化事例~
新型コロナ対応で自治体・一般企業問わず仕事の仕方が変わったり、作業量が増加したり
したことから人為的なミスが発生しやすくなっているという声をよくお聞きします。
伊藤忠丸紅鉄鋼様も、顧客から届いた請求書の支払いまでの社内ワークフロー業務において、3つの課題を抱えていらっしゃいました。
- 紙ベースでの申請書の起票や承認処理を行うため、在宅勤務環境下においても出社が
発生 - 社内フローを回す上で承認停滞が起こり、支払い遅延が発生するリスク
- 目視で検証を行うため遅延ミスによる多重支払いが発生するリスク
これらの課題を解決するために、今回弊社にてローコードツールを活用したワークフロー
アプリの構築支援をさせていただきました。
解決策としては、次のようになりました。
- 紙ベースでの申請書の起票や承認処理を行うため、在宅勤務環境下においても出社が
発生→PCやモバイルアプリの画面上で、いつでもどこからでも申請承認処理を行えるようにしました。 - 社内フローを回す上で承認停滞が起こり、支払い遅延が発生するリスク→申請者側は現在の承認状況を確認できるだけでなく、承認が止まっているものについてはアラートメールを定期的に飛ばすことで、支払いを催促できるようにしました。
- 目視で検証を行うため、遅延やミスによる多重支払いが発生するリスク→経理担当者が検証時に目視で確認していた部分をシステムが自動でチェックする機能を持たすことで二重払いのリスクを予防する仕組みを作っております。
どのようにしてプロジェクトを進めたのか?
今回のプロジェクトの進め方としては、まずトライアルフェーズにて簡単なプロトタイプ
画面を作り、その画面を見ながらアジャイル式に要望のすり合わせを行いました。実際に
一部の部署のユーザーの方に触ってみていただき、そこで出てきた追加要項を次のフェーズで機能回収し、社内の評価が高まってきた段階で全社展開に踏み切り、グループ会社の社員様含む600名を超えるユーザー様での利用がスタートいたしました。
プロジェクトが始まるとき、どの作業にどのくらい時間がかかっていたのか伊藤忠丸紅鉄鋼様で実際に計測されました。その結果から、プロジェクト導入後の削減効果見込みも、お客様のほうで計算されました。
システム導入後の効果
ワークフローアプリは、ユーザーの方の入力負担を考え、デフォルトで情報が入るような
仕組みを作っただけでなく、スクロールが発生しない画面設計にしました。またこの画面上で過去に同じ請求書を処理していないか、自動でチェックをかけるような機能も備わっております。
今回、ローコード開発ツールによる申請・承認・書類保管業務のデジタル化を実現したことで、場所を問わない働き方を実現し、社内の意思決定プロセスの迅速化、有事の際の事業の継続性を確保できました。多重払いや支払い遅延リスクの抑制や電帳法対応により、業務品質レベルと企業の信用度が向上しました。ローコード開発ツールの社内展開により、社員のITスキル向上やDX推進、結果として年間2,000時間強の業務削減を実現できました。
また、万が一多重払い等のミスが発生するとお金に関係するため、ミスをしてしまった社員の方にとってもストレスが大きく、企業にとっても非常にリスクが大きいかと思います。
これを防げるようになったことは、従業員の方の心理的な負担軽減にもつながるという点で非常に高く評価をいただいております。
伊藤忠丸紅鉄鋼様は今後、さらに従業員の方の負担を軽減していくため、他の申請業務への横展開や一連の業務フローの中で基幹システム回りの連携部分の自動化なども進められております。また今後グループ全体でDXを推進していく上で、全社での情報共有を円滑に行うための基盤構築や、コミュニケーションの促進にも取り組まれている状況です。さらに今回の取り組みを他の業務にも展開していくため、自律型業務改革を推進していける社内の人材育成も進められております。
まとめ
DXは仕組みや業務を1度整備して終わりではなく、事業環境の変化に合わせて改善・変革し続けるべきものだと思っております。今回につきましては、弊社側でITの基盤を作らせていただきましたが、今後はお客様ご自身でデジタル化DX化を進めていけるように弊社で支援させていただくことを考えております。
シーイーシーは「小さく始めて大きく育てる」という支援ポリシーで、今後も変化に柔軟に対応し続けるICTサービスをお客様に提供することで、日本企業のDX推進に貢献してまいります。