ゆるやかすぎず、きつすぎず。新しい県人会のカタチ
こんにちは、日本中小企業情報化支援協議会の武政です。
今回インタビューを受けていただいたのは株式会社ビズリーチ地方創生支援室に所属されており、またフェイスブック新潟県人会の代表を務めていらっしゃる南雲克雅さんです。
南雲さんにビズリーチのことやフェイスブック新潟県人会のことについてお伺いしました。
平日は福島で大忙しの南雲さん
Q:普段のワークスタイルを教えてください。
A:本業は、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を運営している株式会社ビズリーチで仕事をしております。全国各地の企業は、ビズリーチに登録している即戦力人材に直接アプローチすることができます。
それにより、今までマッチングが難しかった地方企業と首都圏のプロフェッショナル人材をつなげることができるようになりました。
そして私の所属は地方創生支援室です。この部署はまさに地方創生のための活動をするもので、現在では福島県を中心に活動しています。主には、経済産業省から委託された事業で、東日本大震災によって被災された地域の事業者の採用支援を行っております。採用が難しい地域もありますが、私は週に4~5日は福島に滞在し事業者の採用課題と向き合っています。
私はビズリーチ以外にも活動を行っていることがあります。それは私と数人の仲間とで立ち上げたフェイスブック新潟県人会という組織です。私は代表として活動しており、現在SNSでの新潟の情報発信やメンバーの管理、交流会イベントの幹事などをしております。
従来の県人会への問題意識
Q:フェイスブック新潟県人会をつくられた経緯について教えてください。
A:私は2008年に東京新潟県人会に入会しました。会自体は発足から106年、平均年齢60歳以上、年会費5000円、交流会参加費12000円と、若者には新規加入するには少し敷居の高い団体でした。なぜ私が東京新潟県人会に入ったのかというと、私はその頃個人事業をはじめており、新潟つながりで仕事を探したいとおもったのがきっかけでした。しかし、県人会に入って大きな課題を感じました。それは個人情報の扱いの厳しさです。例えば、「○○に強い新潟出身の方を紹介してほしい」と県人会の事務局に相談したことがあったのですが、個人情報の関係で教えることができないと言われ、つながることができなかったのです。そこで私は、神楽坂の新潟料理の居酒屋で、既存の新潟県人会とは別の流れで、もう少しゆるやかなつながりを求めて東京プチ新潟県人会を作ることにしました。東京プチ新潟県人会を始めたのは2009年で当初交流会にも3人しか参加者がいない状況でした。その頃、ゆるやかなつながりのために用いたものはtwitterです。2011年には交流会で20名規模開催ができるようになっていました。しかし、そのタイミングで東日本大震災が起こります。震災をきっかけに私は「匿名のゆるやかなつながり」から「人と人との実名のつながり」を世の中が求めていると感じるようになりました。その考えを、目黒にある新潟料理屋で高校の先輩に相談したところ、Facebookを使って新潟県人会を運営することを勧められます。2011年5月29日にその先輩と一緒にフェイスブック新潟県人会を立ち上げました。現在では約1万2000人ほどのコミュニティグループとなっております。
Q:フェイスブック県人会の活動内容について教えてください。
主な活動はSNSで新潟県の地元の方でも知らないような魅力的な情報の発信や交流会の主催などです。またフェイスブックに様々なグループがございます。例えば、お酒があまり飲めない新潟県人が集まって美味しいものを食べる美食部、ダイエット部、ランニング部、風景写真部、婚活部、地域別支部などなど様々なグループがございます。交流会に参加した人だけが招待されるプレミアグループもございます。私はそれぞれのグループの管理人として全てに参加しています。
本名でのつながりを求めて
Q:フェイスブックをベースで活動している理由を教えてください。
フェイスブックを使っている理由は匿名ではなく本名同士でつながることができるからです。最初はゆるいつながりを求めてtwitterを使って活動を始めたのですが、twitterでは匿名を使ってつながることが多く、交流会などのリアルな場においてはなかなか多くのつながりをつくることができませんでした。そこで、本名を明かすことが絶対であるFacebookを活用するようになりました。しかし今は脱Facebook化を図ろうとも考えております。時代によって使いやすいツールは変わってくるものです。今後はフェイスブック新潟県人会独自のホームページを作ることも視野に入れております。
Q:会員を集めるために苦労したことはございますか?
A:会員を集めるために苦労したことは特にないです。活動してる上で苦労していることといえば、SNSで毎日発信する情報のネタが切れかかることや、交流会などのイベントの参加人数調整です。イベントの人数設定に関しては、最近では何人ぐらい増えて何人ぐらいキャンセルが出るということが感覚的にわかってきて問題はだいぶ解消されてきました。
時には会員を選定することも必要
Q:ゆるいつながりで活動していく上での注意点はございますか?
まず、フェイスブック県人会はゆるいつながりではないです。Facebookでつながりながらも、あくまでリアルに会うことを大事にしております。「バーチャルからリアルへ」という言葉を常に自らの中に課しています。また会員の間でのルールも設けており、きつすぎず、ゆるすぎずをモットーに活動しております。ゆるやかなつながりのコミュニティは、ややもすると様々な方が集まりますので、マイナスの影響を与えかねない方は、県人会のグループに入れない。締めるところは締める、ということは徹底しております。そうでなければ1万2000人もの規模にまで拡大することはなかったと思いますし、質を長い期間維持しながら会を束ねることは難しいと考えています。
長いものには巻かれない
Q:フェイスブック新潟県人会で大事にしていることはございますか?
一番大事にしていることは、長いものには巻かれないということです。社会的地位の高い方であっても、一般の方であっても、どんな方がいらっしゃっても特別扱いはしないということです。特定の団体・個人の利権を生んだり派閥を作ったり…ということがとても嫌いなので、できるだけ偏らないように、フラットな関係作りを心掛けています。
他にも新潟出身の方が経営されている飲食店を交流会では必ず利用するようにしております。有名なお店やすでによく知られているお店ではなく、あまりまだ人に知られてないような新潟県人が経営している飲食店を利用したり、新しく開店した新潟料理店などをイベントの参加者に宣伝したりします。そうすることで、新潟出身で頑張っている方々や、その先にある生産者の方々に光を当てたいと思っています。
あとSNSの情報発信でもただ単に他の新潟関連のページで取り上げられているURLを紹介するだけでなく、自分の足で行ったり、見たり、味わったりしたものを載せるということも心がけております。発信する情報の質が落ちていかないように常に確認しながら、読み手の立場に立った運営を心がけております。
ゆくゆくは社団法人に
Q:フェイスブック新潟県人会の今後の目標を教えていただけますか?
首都圏にできるだけ特化するということです。以前、新潟県の県庁の方にお会いした際に、「いま、新潟で何が一番の課題ですか?」と質問をしました。すると「首都圏に出て行った若者が首都圏のどこにいるのかわからない。それは何十年と解決策が見いだせていない」というお答えをいただきました。私は、その新潟が長年抱える問題を解決するために、現在運営しているフェイスブック新潟県人会を、より首都圏に特化したものにする必要があると感じました。そこで「首都圏新潟県人会」を立ち上げ、首都圏に住んでいる新潟県人を可視化し、地元新潟県とのパイプ役になりたいと考えています。この動きは、現状本業が忙しいというのもありますが、なるべく若者に任せたいと思っております。若者を集めるためには、27〜30歳くらいの若者が主に活動するのがベストだと思います。実際私が新しい新潟県人会を開始したのは28歳。今後、できればこの首都圏新潟県人会を一般社団法人として組織化できればとも考えております。
南雲さん、貴重なお時間を有難うございました!
お知らせ
12月23日(金)には首都圏新潟県人会の忘年会もあるようです。
新潟にゆかりのある方はぜひ忘年会から繋がってみてはいかがでしょうか?
フェイスブック新潟県人 facebookページ
執筆者:
一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会 武政