インタビュー

「心温まるカフェ」を目指して

interview

こんにちは、日本中小企業情報化支援協議会の武政です。
今回インタビューを受けていただいたのは九州大学文学部2年生の坂本真奈さんです。坂本さんは九州大学の近くにあるコ・ワーキングスペースがやがや門の代表をされております。坂本さんにがやがや門が地域の一員となるためにどのような活動をされているのかお聞きしました。

 

武政:がやがや門の活動内容や学生が取り組んでいることについて教えていただけますか?

坂本さん:
がやがや門は、ランチの時間帯は場所を提供するコ・ワーキングスペースです。毎日、「日替わりカフェ」という形で外部からカフェの方が入ってくださっています。また、夜の時間帯はがやがや門に所属している学生がイベントを開催しています。
学生が取り組む活動内容としては、イベントの企画・運営を中心に、ビラ配りなどの広報や、古民家のメンテナンス、会計などを行っています。日によっては昼間のカフェの手伝いをさせていただくこともあります。

地域活性化のヒントを探して

武政:がやがや門の活動に参加したきっかけを教えていただけますか?

坂本さん:
私は愛媛県愛南町出身です。愛南町も例にもれず過疎化が進み、町に活気がないように感じていました。なので、地域活性化の取り組みにはもともと興味を持っていました。大学に入りたての新歓の時期にがやがや門の活動を知り、この活動を通して地域活性化のヒントを得ようと思い、がやがや門の活動に参加することに決めました。

武政:どのような方々ががやがや門を利用されるのですか?

坂本さん:
学生や地域の方、少し離れたところにお住いの方など様々な方がお見えになります。イベントにはFacebookやTwitterの宣伝をご覧になった方が、日替わりカフェにはチラシや口コミ、カフェオーナー様による宣伝等で興味を持ってくださった方がよくいらっしゃいます。がやがや門の近くの方にももっとたくさん来ていただきたいのですが、やはり学生の集まりというイメージが強いようで、少し入りづらいとの意見も未だに耳にするのが実情です。そういうイメージを払拭してもっと幅広い層の方々が気軽に集まれるような場所にしたいですね。また、カフェのお客様となると学生がやや少ないので、少しの空き時間でも行きたくなるような魅力のある場所にしたいとは常々考えています。

武政:がやがや門ではどういったイベントを開催されているのですか?

坂本さん:
月に1回のバケツプリンの会や隔週で開催している白飯会というのがあります。バケツプリンの会はがやがや門の目玉企画で、本当に大きなバケツプリンをみんなで思いっきり食べる夢がいっぱいの企画です。白飯会は白飯をがやがや門で用意し、お客さんやメンバーがおかずを持ってきて、みんなで食べるというイベントです。また、季節に合わせて餅パーティーやハロウィンパーティー、クリスマスパーティー等を催したり、カレー部というサークルに所属していて普段から本格的なカレーを作ることもある学生を中心にカレーの会を行ったりもしました。これらはすべてメンバーひとりひとりの発想から生まれた計画です。他にも居酒屋風のおもてなしをするイベントや小学生に勉強を教える会など、様々な年齢の方が楽しめるようなイベントをしています。居酒屋のイベントは最近新たに始めたのですが、たくさんの大人のお客様に足を運んでいただけたので大成功だったのではないかと思います。地域の方の「お酒があると入りやすいかも」といった御意見を拾い上げて形にすることが出来たことが、成功に繋がったのだと感じています。

 

武政:日替わりカフェの集客方法を教えてください。

坂本さん:
学生がビラを作って、地域の方にポスティングしたり、イベントの際にビラを配ったりしています。あとはTwitter、Facebookでの情報発信、がやがや門のホームページの更新などです。

 

武政:なぜ築90年の空き家を活用しようと思われたのですか?

坂本さん:
初めから築90年の空き家を活用したいと思って探していたわけではありませんが、古民家はもともと学生団体である「糸島空き家プロジェクト」
「糸島空き家プロジェクト」
の方々がリフォームして、現在のようなオシャレな古民家になり、せっかくだからこの素敵なスペースを使って何かやろうということになり、がやがや門の活動が始まりました。

 

メンバーはみんながやがや門が大好き

武政:がやがや門での活動とアルバイトには違いがありますか?

坂本さん:
全く違うと思います。がやがや門で活動しているみんなは、がやがや門のことが本当に好きなのです。だからこそ、もっとここをよくしたいと思い、積極的に行動しているのだと思います。
アルバイトでは経験できないことも経験することができます。ここでは、自分たちで企画から、広報、会計をすべてやらなければいけません。大学生のうちからこのような経験ができる場はなかなかないのではないでしょうか。
また、がやがや門に来てくださる方々と、「お客様と店員」という形ではなく、「一人一人の人」としてつながることができます。地域の方々がとても温かく接してくださるため、ますますがやがや門で活動するのが好きになるのだと思います。

武政;運営する上で苦労されたことはございますか?

坂本さん:
最も苦労しているのは、どのようにしたら継続してお客さんに来ていただくことができるのかということです。やはり収益を出すためには、イベントをたくさん開催しなければいけないのですが、開催するイベントがマンネリ化してしまい、なかなかイベントに参加してもらえなかったりもします。また、学生が行なっている活動なので、どうしても長期休みの時にメンバーが実家に帰ってしまい、イベントの回数が減ってしまいます。加えて、代替わりの際に、その代の学生と仲の良かったお客さんが、その学生たちがいなくなってしまうのでがやがや門に来てくださらなくなるといった問題もあります。
がやがや門のコンセプトは「地域と学生の交流拠点」なのですが、そのコンセプトがなかなか達成できていない点を課題に感じています。本当は地域の方が気軽に来てくださるような場所にしたいんです。
九州大学は1年生の時は元岡にある伊都キャンパスですが、2年からキャンパスがバラバラになってしまうため、1年生の頃に来ていた九大生の足が遠のくことも悩みです。同時にメンバーもキャンパスがバラバラになってしまうため集まりづらくなってしまうのです。

武政:がやがや門を通じて学生と地域がどのような形で繋がっているのですか?

坂本さん:
日替わりカフェやイベントなどで地域の方々にがやがや門に足を運んでいただいたり、私たちメンバーが地元のイベントに参加させていただいたりしてつながりを広げています。地元のイベントの例として、出方(でかた)と呼ばれる地域独自の大掃除のお手伝いがあります。その後、飲み会まで参加させていただいたりするのがとてもいい交流の機会です。そこで知り合いになった方が、家でのご飯に招いてくださったりなんてこともあります。
メンバーが地元の地区運動会に参加して、運動会を盛り上げたり、地域のお祭りで屋台に出店したりもします。
元岡商工会の方々も私たちの活動を応援してくださっており、商工会の交流会に参加させていただき、交流会の場でアドバイスをいただくことも多くあります。

 

武政:がやがや門の活動に関して学生ならではの視点は何かございますか?

坂本さん:
視点というか、学生だからこそできることがたくさんあると思います。がやがや門の活動も学生がやっているからこそ地域の皆さんが応援してくださってる部分があると思うし、九大生と関わりたいという地域の方々もいらっしゃいます。
学生だから比較的時間的な制約も少ないことと、学生だからこそ失敗しても最悪大丈夫という気持ちで思い切ってチャレンジすることができることもメリットだと思います。

 

人とのつながりが生まれる場にしたい

武政:がやがや門の活動でこだわっていることは何ですか?

坂本さん:
従来のカフェなどではない独自の場所を目指しています。それを作るために一番大事にしていることは人とのつながりです。人との新しい関わりや温かい人間関係ができる、これをがやがや門の魅力にしたいのです。そのためにがやがや門が、お客さん同士でお話ししたり、メンバーもお客さんに積極的に話しかけたりと、人とのつながりが生まれるような雰囲気のある場にしようと心がけています。
また、お客さんでもメンバーでも、誰かがやりたいと思っていることを全員でサポートできるような組織になればなと思っています。

 

「地域と学生の交流拠点」を目指す

武政:今後の目標を教えていただけますか?

坂本さん:
今年を振り返って、もっと企画やアプローチはできることがあったなと思い悔やんでいます。私は2016年10月に代表になったのですが、わからないこともいろいろありました。ですがこの2ヶ月くらいの活動を通して、地域に受け入れられる場が結構あるなと自分自身気づき始め、私の役割は何なのかを考えてみました。歴代の代表の方々はがやがや門の土台作りをしてくださりました。日替わりカフェの仕組みや、お店のマニュアル作り、地域の方々とのつながりなどです。そのおかげで私の代では、活動できる幅が広がったのではないかと感じております。そのためこれからは、先輩たちが目標にしていた、「地域と学生の交流拠点」というコンセプトを達成するために、様々なイベントを企画していきたいです。
がやがや門にとってはいい知らせもあり、2018年からは九州大学のキャンパスが伊都に完全移転するので、メンバー以外の学生ががやがや門に来てくれるようになればなと思っております。これを機に地元の方々とも今まで以上に長い付き合いができるようになればなとも思っています。

坂本さん貴重なお時間を有難うございました。

お知らせ

本企画では地域で頑張る方の取材を行なっております。JASISAからの取材を受けたいという方はぜひお問い合わせください。


執筆者:
一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会 武政