インタビュー

日本で一番魅力的なつながりを目指して

interview

こんにちは、日本中小企業情報化支援協議会の武政です。
今回インタビューを受けていただいたのは特定非営利活動法人学生ネットワークWANでの活動に積極的に取り組まれている田中沙織さんです。
WANのメンバーとして地域の魅力を伝える情報発信やイベントの企画・運営、プロジェクト支援に取り組んでいらっしゃいます。今回、田中さんにWANの活動内容や活動への「思い」についてお伺いしました。

日々様々なことにチャレンジ

武政:田中さんご自身について教えて下さい。

田中さん:
生まれはふぐが有名な山口県下関市で、現在は福岡県にある西南学院大学人間科学部心理学に所属しています。大学のゼミでは「大学生の就職意識」について研究しています。「大学生の就職意識の研究」というのは、大学生が就職についてどんな風に捉えているのか、抱いたイメージはなんの影響によって生まれたのかをインタビューによって「なぜ」の部分を深く掘り下げていくといく調査をしています。アルバイト経験は塾講師や飲食店での接客やキッチンを経て、現在は福岡のローカルテレビ局で事務のアルバイトをしています。朝から夜までという長時間のシフトなので学校が休みの日に働いています。そして、WANの活動には、時間は日によって違いますが、毎日取り組んでいます。

たくさんのすごい人たちに出会いたい!

武政:WANに入ろうと思ったきっかけを教えてください。

田中さん:
私は大学一年の時から一人暮らしを始めたのですが、一人の時間が増え、自分のことを考える時間が必然的に増えました。その時に、大学生活への物足りなさや社会人になることに対する漠然とした不安を感じました。そんな中、1年の終わりにあるイベントに参加して、ある同じ年代の大学生にとても刺激を受けました。その方は高齢化が進み北海道にある豪雪地方の雪かきの問題を解決するための画期的な仕組みを作っていました。内容は高校生が自分で雪かきするのが大変なお年寄りの家の雪かきをし、そのお礼にお年寄りが高校生に朝ご飯を作ってあげるというものです。この仕組みを作ったことにより、雪かきの問題だけでなく、お年寄りの孤独感の解消にも結果的につながっており、自分と同じ一大学生が地域の問題に真剣に取り組んでいることにとても感動しました。その方との出会いを機に私は様々なすごい人に会いたいと思うようになりました。そしてWANという団体に目が止まり、「学生のやりたいを応援する」を活動方針としているWANなら私のやりたいことが実現できそうだと思い、事務所に直接伺いました。

 

武政:WANの取り組んでいる活動内容について教えて下さい。

田中さん:
特定非営利活動法人学生ネットワークWANの「WAN」はWe create an attractive network  の略で、”日本で一番魅力的なつながり(ネットワーク)を作る”というビジョンを掲げて活動しています。インターネットを駆使して、世代・地域の壁をなくし、みんなが連携してそれぞれのやりたいことに協力できる社会を目指しています。WANは14年目の団体ですが、地方創生をテーマに活動し始めたのは、昨年からです。地方創生活動では地域を盛り上げるためのきっかけ作りの「場」を提供できればと考えております。主な活動内容は地域のファンを増やすためのコンテンツマーケティングです。詳しくは次の2点です。
1つ目はFacebookやTwitterを使った情報発信です。
現在、全国16か所の地方のメディアの運営を学生が主体で行っています(地方創生支援プロジェクト)
地方にいくら魅力的なところがあったとしても、価値を見出し、発信していかなければその価値は薄れてしまいます。私たちから見て、魅力的だと感じる地域資源も地元の人にとっては当たり前になってしまっている可能性もあります。そのため都市部にいる大学生の私たちが地方の魅力を再発掘し情報発信することによって、地元の人たちに、地域の魅力を再認識してもらえないか工夫しています。また地域の魅力を全国に伝え外部の方々にもその地域のファンになってもらえるようにも努めています。地域を盛り上げることは外部の私たちだけではできないことなので、地域の人と信頼関係を築いて、地元の方々と協力しながら続けていきたいですね。
2つ目は、地方でのコンテンツや「場」の提供です。
今年は、地域振興ワークショップやアイデアソン、インバウンドモニター体験会の企画・運営をしました。地域振興ワークショップでは、伊万里の地域資源を有効活用するために地域の方とグループワークをしました。アイデアソンでは、伊万里の方々と都市部の大学生が今流行りのシェアリングエコノミーに関するビジネスを協力して考案しました。インバウンドモニター体験会では、福岡に住んでいる留学生や外国人に伊万里の体験型ツアーを提供し、アンケートをとってフィードバックをもらいました。また、姉妹団体であるビジップ株式会社のプロジェクトも支援も行っています。
WANの活動記録はこちらから (活動報告)

 

武政:情報発信の効果やこだわりについて教えていただけますか?

田中さん:
現在Facebookを使って16の地域の情報発信を行っていると言いましたが、昨年の夏頃から始めて、伊万里市Facebookページは11000件以上ものいいね数を獲得しています。いいね数を増やすために地元のコミュニティに参加することや地元の人と交流を深め、自分自身が行なっていることを伝え、地域の人々にもシェアして頂いています。他にも毎日情報を発信することによって、皆さんに地域の情報に大量に触れてもらい、都市部と地元のファンを増やすという効果も狙っています。これは心理学で学んだことなのですが単純接触効果というもので、その対象に触れる機会が増えるほど、その対象を好きになるというものです。これを情報発信においても応用できるのではないかと考えました。また地方のいいところを若者にも知ってもらいたいので、新奇性を好む若者をターゲットに、若者が興味を持ちそうなことや目新しいことコンテンツを作り出せないかと考えています。

武政:情報発信している場所はどのように選ばれているのですか?

田中さん:
行政や地方自治体の動きが早いところ、地元を変えようとしているキーパーソンとなる方がいる場所、地域の中にポテンシャルがあるのに外部にうまく情報発信できていない地域などをピックアップしています。

 

武政:なぜ佐賀県伊万里市の地方創生プロジェクトが一番活発に進んでいるのですか?

田中さん:
伊万里は場所も近いということもあり、伊万里市に直接足を運ぶ機会が多いです。祭りに参加してそのレポートを書いたり、伊万里にあるクリエイティブスペースPORTO3316でイベントを企画の運営をしたり、プロジェクトのお手伝いをすることも多いです。そのため、たくさんの地元の方々とつながることができました。また伊万里に特に力を入れている理由は、地方創生の成功例としてのロールモデルをつくり、その成功モデルを全国各地に増やしていきたいです。

目指すは全国展開!

武政:WANの今後の目標を教えていただけますか?

田中さん:
全国展開です。WANのビジョンである最大の魅力的なつながりを作るには全国展開は必要不可欠だと思います。具体的には、現在WANが支援しているすべての地域で情報発信以外にもイベントを企画できればいいですね。イベントを契機に私たちのような若者世代にも地域に関する問題意識を持ってもらい、東京への一極集中を改善して、若者が地元でも働けるという選択肢を作りたいと思っています。現状だと地元で若者に就職してもらおうとしても、都会と比べると低い賃金でしか雇うことができないため、働く若者としても物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。やはり若者に地元で働いてもらうなら、若者に満足な手取りを受け取ってもらいたいですし、地元での仕事にやりがいを感じて欲しいです。そのためにWANを全国展開し若者が地元で満足のいく就職ができるような地域を増やせていけたらいいなと思います。

毎日を楽しくするために

武政:最後に田中さん自身の目標をお伺いしてもよろしいですか?

田中さん:
私の人生の理想は幸せになることです。そのためには最低限、結婚、子育て、お金は必要だと考えています。第一歩として今は、自分で稼げるようになりたいです。だからこそWANの活動を通して、小さな成功をコツコツ積み上げていって、社会にでて必要とされるようになりたいと思っています。起業も選択肢の一つではありますが、今の所は考えていないです。
また自分は個人よりチームで活動する方が好きだということがわかってきました。だから、チームで活動する上で私は「自分と一緒に仕事をしたいと思われるような人間になりたい」と思うようになりました。その目標を達成するにはマネジメント能力を養う必要性があると考えています。マネジメント能力はどうすれば身につくのかを考えた結果たどり着いた答えがセルフマネジメントです。最近はセルフマネジメントを身に付けることに力をいれています。
最近、とある本を読んで、「その人と一緒にいる時の自分が一番好きと思えるのが理想の上司」という言葉にとても感銘を受けました。私の尊敬する先輩の一人にWANの前代表の中村さんという方がいます。私自身WANで働き始める前は、周りからの期待は自分にとって重荷だなと感じていました。人をワクワクさせることがとても上手な中村さんと半年間一緒に活動をし、期待されることに喜びを感じるようになっていました。これは、一年ほど前の話ですが、私の中の1つの大きな変化でしたね。今思えば、その頃の私は「中村さんと一緒にいる時の自分が好き」だと思っていたのかもしれません。だからこそ、そんな自分を鼓舞してくれる相手の役に立ちたいと思うようになりました。これは、心理学を専攻しているのでもともとある理想ですが、「相手の意図をくみ取れる人になりたい」という気持ちも強まりましたね。
最後に、私は一度しかない自分の人生は自分で決めるのが一番だと考えています。だから、自分の気持ちに正直になる必要があります。やりたいことがなかなか見つからないという方もいるみたいですが、それは自分のことを考える時間が短いのではないかと思います。なりたい自分を想像し、そうなるにはどうしたらいいかを考えることによって必ず自分のやりたいことは見つかるはずです。私自身、WANでの活動も自分の人生をよりよくするために活用しているつもりです。今の環境はとても素敵なので、たくさんのことを学ぶことができています。だから、1つ1つの機会を逃さずにまずは色々試してやってみる!まだまだ成長途中なので、これからも様々なことにチャレンジして自分を磨き上げていきたいです。

田中さんありがとうございました!
WANの活動を積極的に取り組まれ、様々なことにチャレンジされている田中さんに私も刺激を受けました。貴重なお時間をいただきありがとうございました。

お知らせ

田中さんの所属するWAN では全国でメンバーを募集中です。
若者だからこそできる地方創生の業務に取り組んでみませんか?
▼WANのページはこちら
http://kg-wan.net/


執筆者:
一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会 武政