連載・コラム

【初心者編】オンラインイベント企画と運営のポイント

こんにちは、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会の櫻木です。

オンラインイベントを毎週のようにやっているおかげか、オンラインイベントについての相談を受けることが多くなってきました。

今回は、はじめてオンラインイベントをやる人たちに向けて、オンラインイベント企画のポイント、目的にあった配信ツールの選び方を中心に説明をします。

オンラインイベントとは?

オンラインイベントとは、セミナー、研修、記者会見、展示会、社内向けレクリエーション、起業説明会などをインターネットを使って実施することをいいます。

配信する方法はZOOMなどのWeb会議システム、オンラインセミナープラットフォーム利用、YouTubeで配信、インスタグラムやFacebookなどのSNSで配信する方法など多岐にわたります。

オンラインイベント企画のポイント

イベントの企画のときにはまずこの問いに対して答えることからスタートします。

①イベント実施の目的

誰に何を届けて、どういう変化を生み出したいのか?

②イベントを通して提供する価値

対象となる人がこのイベントに参加する/視聴する理由はなにか?

③上記を達成するための方法

目的を達成するためにいつどのような方法でイベントを実施するのが良いのか?

いわゆる5W1Hを埋めていくことなのですが、オフラインのイベントと違う点をいくつか挙げておきます。

オンラインイベントとオフラインイベントの違い

・時間と場所の制約が外れること

・参加者は必ずしもあなたのイベントに没頭しているとは限らない

・視聴環境は参加者によって違う

・双方向性はオンラインイベントのほうが高い

・参加者の空気感を掴むのがリアルに比べると難しい面もある

・アーカイブされた動画は早送りで視聴ができるし、長期間視聴できる状態にある

・(プラットフォームによるが)データも取得できる

実施方法を検討するときは、目的や提供する価値と、オフラインイベントとの違う点を理解する必要があります。

例:オンラインのワークショップで共同作業をいれたい

わたしは専門学校で非常勤講師としてオンライン授業をすることがあります。生徒の受講環境はタブレット、スマホ、PCなどバラバラです。

共同作業など発生する場合は、一番作業がしにくいであろうスマートフォンでも参加できるように授業を設計します。

配信者と受講者の環境は違うということを意識しておきましょう。

例:あるトピックの解説をオンラインでしたい

研修やオンライン講義など、講師やスピーカーが中心に話をするような場合があります。

知識伝授型のものは繰り返し視聴して理解してもらったほうが良い場合もありますし、講義中に参加者の質問は受け付けないという場合は、ライブ配信をするより録画をして配信するほうが良いです。みなさんもYouTubeで動画視聴するとき1.5倍や2倍で視聴することありますよね?

オンラインの特性を理解しないまま、これまでやっていたことをただオンラインで再現すると、「あれ?なんか盛り上がらないぞ」「狙った成果が出ないぞ」となることがあります。

オフラインというのは暗黙のまま様々な機能を提供をしてくれていたからです。

イベントを実施する会場一つで、交流を促す場なのかフォーマルな場なのか伝わります。

一つの場所で大人数が集まって講師の話を聞くことである程度、参加者の時間をコントロールすることもできていました。

オフラインのイベントのオンライン化するときは、オフラインのイベントがもっていた機能を一度明文化した上で、オンラインイベントの企画として埋め込んでいくことが大切です。

例:参加者同士の雑談の機会がほしい→ブレイクアウトルームを作って雑談の時間を設ける

オンラインイベント配信のツールについて

配信方法や機材の選定目的に応じて選ぶことになりますが、今回の記事では初めてオンラインイベントをやる方が対象なので、一番基本的な配信方法をご紹介します。

ZOOM

ZOOMをリアルで例えると・・

Web会議でも使用経験もある方が多いであろうZOOMです。

参加者の発言を求める場合や顔を出して参加して欲しい場合はZOOMミーティング使って実施することが多いです。

イメージとしてはオフラインセミナーの島のレイアウトのような空気感を出したいときはZOOMミーティングがオススメです。

利用用途としては授業や研修やワークショップが多いですね。

無料アカウントだと40分まで、100名までしか参加できないのでご注意を。

参考:ZOOMミーティング
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

ZOOMウェビナー 

ZOOMウェビナー をリアルでたとえると

ZOOMのウェビナープランです。

オフラインセミナーでいうとスクール形式のように、登壇者と参加者の関係をわけて実施したいときにオススメです。

参加者しているかたは他の参加者の名前や顔などもわからず、登壇者のみ写ります。

ホスト側で登壇者(パネリスト)を設定ができる点も便利です。

また、参加者受付のフォームなども用意されているので特定の人たちに参加していただきたく、ある程度出席状況を確認したい場合におすすめです。

こちらも一番安いプランだと100名までしか参加できません。

参考:ZOOMビデオウェビナー
https://zoom.us/jp-jp/webinar.html

ZOOM+YouTube

ZOOMの様子をYouTubeに配信している様子

おそらく一番使われている組み合わせがZOOM(プロプラン)+YouTubeの組み合わせです。ZOOMのルームに登壇者とスタッフが入り、ZOOMのカスタムストリーミング機能を使ってYouTubeに配信するというやり方です。

不特定多数に視聴してもらってよい場合はYouTubeは公開で、特定の人に視聴してもらいたい場合は限定公開にして配信をします。

このやり方が一番支持されている理由としては、簡単にYouTubeにも配信ができて、かつ視聴者の人数制限がないいということにあります。

※応用編としてZOOM→OBS(無料で使える配信ソフト)→YouTubeというやりかたもあります。

ZOOMからOBSを使った配信事例

Stream Yard

Stream Yardでの配信の様子

YouTubeやFacebookなど複数のプラットフォームに配信したい、ライブ配信でコメントを拾いながらすすめていきたい、少しテレビっぽい画面で配信したいときにオススメなのがStream Yardです。

スタジオとよばれる最大10名まで入れるルームから配信をします。

配信をしながら直感的に画面のレイアウトが変えられたり、テロップを表示させたりできるのでおすすめです。

ただ、ZOOMに比べると通信の負荷がかかるため、登壇者のネット環境は注意していた方が良いです。

参考:Stream Yard
https://streamyard.com/

オンラインイベント配信時・運営時のポイント

今回は、はじめてやる方に向けての記事なので、必要最低限のこれだけはというポイントをお伝えいたします。

①参加者への視聴URLや視聴方法の案内は忘れずに

申し込み時、前日、当日と視聴URLや視聴方法について案内をするようにしましょう。公開型のオンラインイベントでも申し込んでいただいたほうが良いです。

②登壇する人のネット環境は万全に

映像や音声などこだわるところはありますが、なによりも登壇者には安定してネットに接続できる状態で参加してもらいましょう。

③配信中はワンオペより最低2オペで

機材構成や目的次第ではワンオペ配信でも十分できます。ただ、ビジネス系のイベントである程度集客をしたいという場合は、チャット対応やトラブル時の対応を考えると運営側に2名ぐらいは配置しておきたいところです。

④簡単な台本やシナリオを準備しておく

イベントのはじめかた、おわりかたや、アンケートを共有するタイミングなど全体の流れを記載した台本やシナリオを簡単で良いので準備をしましょう。台本を作る過程で結構ぬけ漏れに気づくことができます。

⑤トラブルを想定して事前と代替プランで対応する

オンラインイベントでのトラブルのパターンはある程度決まってます。

事前に対応できることは対応して、セカンドプランを用意しスムーズに運営できるようにしておきましょう。リハーサルはやれるものは簡単にでもよいのでやっておくと良いです。

例えば、ZOOMが使えなかったときは別のオンライン会議システムを用意しておく、YouTubeで配信ができなかったときに備えてFacebookライブで配信するなど。

ここについては次回以降どこかで記事にいたします。

まずはやってみる、参加してみる

はじめてオンラインイベントを企画するポイント、配信ツールの選び方、運営時のポイントを解説してきました。

まずなによりも大切なのは、自分で手を動かして仕組みを理解する。他社や他団体がやっているオンラインイベントに参加して体験をしてみることです。

▼オンラインイベントのことで何がお悩みのことがありましたらご相談ください。

▼オンラインイベント運営のご相談はこちら
https://jdxa.org/onlineevent/

執筆者

櫻木諒太
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会
事務局長

Twitter:@ryota_saku

2010年より中小企業支援機関で販路開拓支援に従事。2015年から一般社団法人中小企業情報化協議会(現在の「JDX」)でICTを活用した地域活性化や中小・ベンチャー企業の支援を担当。2018年からHR Techナビの立ち上げから運営、2030年のHRを見据えたカンファレンスJapan HR Tech Conferenceの事務局などをつとめる。

オンラインとオフラインの良さを組み合わせたメディア作りを得意としていて、イベントは大規模カンファレンス、セミナー、コンテスト、研修、授業、記者会見など幅広い範囲で企画者としても登壇者としても経験が豊富。