DX事例

クラウド活用による情報共有と人事管理の効率化が生み出す社員成長 – 吉和田浜松の組織変革事例

株式会社吉和田浜松は、人手不足や長時間労働、経営トップのカリスマ性による経営の限界といった問題を解決するため、経営者の描くビジョンを実現させるために、「VDX(ビジョンドリブン・デジタル・トランスフォーメーション)」を構想。クラウドサービスの導入、顧客関係管理(CRM)システムやERPシステムの構築に取り組んできました。

本記事では、VDXを通して企業がどのように変化してきたかに焦点を当てます。

株式会社吉和田浜松の概要

■法人名:株式会社吉和田浜松

■事業内容:工場内設置の機械・装置および空調設備等の設計、施工、販売、メンテナンス・修理

■設立:1987年7月

■公式Webサイト:https://www.yoshiwada-hamamatsu.jp/

背景と深層化された課題

株式会社吉和田浜松に経営企画部が発足しました。「組織は常に変化し続けなければならない。利益を上げ続ける会社にするためにも、次のビジネスを検討する素地が必要」という社長の考えのもとに生まれた部署です。「商社は多能工で何でも屋」というこれまでの思想・思考から脱却し、変化と共に利益を生み出し続ける仕組みとビジネスモデルが必要であると考えたのです。

各種クラウドサービス導入による企業文化の変革

システム選定には弊社の実力値、業績分析、得意先分析による要件整理、課題とニーズの抽出を行いました。それとさまざまなシステムの特性とをマッチさせた結果、他のシステムなどとも親和性が高い特化型のシステムを選択しました。

株式会社吉和田浜松が導入したのは、Salesforce(取引先情報)とエンジャパン(人事)、Microsoft Dynamics 365(経理財務データ)をはじめとしたシステムでした。クラウドサービス群は、情報共有と処理の効率化を大幅に改善しました。

なかでも顧客関係管理(CRM)システムは、営業の日報・見積もりから設備情報に至るまでSalesforceに情報を集約したことで、顧客データの一元管理が可能となっただけでなく、次の営業の日程が立てやすくなり、顧客や仕入先企業に対する密な関係性の構築につながり、付加価値も上がっていきました。

市場分析の強化と社員成長の促進

Salesforceを用いたデータ分析により、社員が市場をより戦略的に分析し、顧客ニーズに基づいた価値提供を考えるきっかけとなりました。また、社内のデータ共有と透明性が向上したことで、組織全体の戦略的思考能力の向上に寄与しました。

さらに、御用聞きをして、顧客を追いかけて馬車馬のごとく働く従来のスタイルから戦略営業へ、作業的な労働から知能労働へと大きく変えました。

社員には、新たな教育プログラムと人事評価制度を設けました。エンジャパンのコンサルティングによる評価制度と報酬制度の構築、育成を促進するe-Learningシステムを導入しました。経営戦略とHR情報がERPシステム内で一体となり、効果的な人事管理が可能です。社員一人ひとりが自身のキャリアパスを描きやすくなり、モチベーションの向上、個人の成長と会社の成長が相互に促進される環境が整いました。これまでの社内変革に対してはいろんな反応がありましたが、「今までの文化を会社としても部署ごとでも変革しないといけない」という自覚が社員の中に芽生えつつあります。

結論と今後への期待

クラウド導入をはじめとした、株式会社吉和田浜松のVDXの取り組みは、顧客や仕入先企業より半歩前に出るという商社の付加価値の再定義につながっていきます。クラウド技術の活用は、業務の効率化だけでなく、組織文化の変革、社員のキャリア成長に貢献した他、組織が変革し、より成長するためにさまざまな解決策を提供しました。今後も株式会社吉和田浜松は、この変革をさらに進化させ、社員と顧客により大きな付加価値を提供し続けます。