全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。
2020年11月18日に行われた岡山大会より、株式会社 WORK SMILE LABOの事例をご紹介します。株式会社 WORK SMILE LABOは、明治44年(1911年)創業。もとは筆や墨の販売からはじまり、OA機器やオフィス用品を販売してきました。しかし、市場の変化とリーマンショックにより倒産寸前にまで追い込まれます。そこから中小企業のワークスタイルを提案する会社として復活。テレワークをいち早く推進し、コロナ禍でも影響を受けていません。「『働く』に笑顔を!」という新理念を掲げる、同社の取り組みをご覧ください。
株式会社 WORK SMILE LABOの概要

■法人名:株式会社 WORK SMILE LABO
■事業内容 :笑顔溢れるワークスタイル創造提案業
■設⽴:明治44(1911)年
■従業員数:28名(女性15名、男性13名)
■公式WEBサイト:https://wakusuma.com/
株式会社 WORK SMILE LABO は、今でこそ横文字の会社ですが、今年で創業110年目という歴史のある会社です。
もとは筆や墨の販売からはじまり、以前石井事務器センターという社名でOA機器や事務用品を売る地域の事務屋さんというポジションでした。
しかしリーマンショックで会社が倒産寸前に。経営の存続のために業態の変更が必須となったのです。
そこで様々なビジネスモデルを考案した結果、様々な働き方のモデルを自社で作り、やり方も含めてクライアントに提案するという事業を現在は行っております。
当然、新しい働き方を作る上では、ICT の活用が非常に重要です。これまでのオフィス用品の販売のノウハウも活用し、ICTの活用モデルも含めて提案をすることで、経営理念である「『働く』に笑顔を! 」を実現するお手伝いが事業内容です。
コンセプトに基づいた「笑顔溢れるワークスタイル」を実現するために、まずは自分たちでモデルを作ることで、ツールの提供だけじゃなくてやり方も含めてご提案できるようになりました。
そこで、現在の事業内容としては「笑顔溢れるワークスタイル創造提案業」と表明しています。
地方の中小企業がなぜ、テレワークを始めたのか?

株式会社 WORK SMILE LABOが取り組んだ中で、最も自社を変革してくれた働き方がテレワークです。
テレワークは昨今のコロナ禍の中で注目が集まり、テレワークやリモートワークという言葉もすっかり定着しましたが、株式会社 WORK SMILE LABOでは5年前からはじめました。

なぜテレワークを始めたかというと、最初はすごくシンプルな理由からでした。
小さいお子さんがいるパート社員さんがいたのですが、お子さんが病気がちで、週に2回も3回もお休みが必要でした。
しかし、当時3名ほどの部署では、 パート社員が1人欠けるだけで、業務にあたえる影響が大きいという問題が生じ、休む方、休まれる方双方に負担があったのです。
このままでは退職してしまうという状況になり……「家で仕事ができれば、この問題は解決するのでは?」という考えに至り、在宅で仕事ができる状況、すなわちテレワークができる環境を整えようという事になったのです。
テレワークができる環境を整える=クラウド化

テレワーク移行の流れ
テレワークをどうにか実現させようと、社内で課題を出していくと、社外で仕事をするためにはクラウド化が必要という結論に至り、順次クラウド化を進めました。
実施して後から気がついたのですが、テレワークの環境を推進すること=社内のクラウド化の推進だったのです。
さらに結果として、クラウド化することで会社全体の業務効率というのが大幅に上がっていました。
「そういえばクラウドツール使うようになって、仕事がめちゃくちゃ便利になったよね」と。
WORK SMILE LABOでのクラウド化のきっかけというのは、業務効率化からではなく
「テレワークをもっとやりやすくしよう」
「会社に来なくても仕事ができる環境をより良くしよう」
というところが入口で、結果的に業務効率化もついてきたという形でした。
テレワークにおけるセキュリティや管理について
テレワークの移行で、情報漏洩などセキュリティの問題を不安視される方もいます。
また、誤操作などで自分のせいにされるのではないかといった意見もありました。
WORK SMILE LABOは、ログ管理ツールなどを利用したり、各PCの制御を行うことができるツールを導入しています。
しかし、テレワークで重要なのは、相互の信頼です。管理ツールも社員を管理するためではなく、何かミスしたときの情報漏洩を防ぐため、つまり皆を守るためだということをきちんと伝えて導入しています。
社員が管理されているという感覚をなるべく取り除き、かつセキュリティレベルを上げるというのが、テレワークにおける重要なポイントです。
クラウド化への取り組み

現在はこれだけのクラウドツールを運用しています。
・勤怠管理
King of Time
https://www.kingtime.jp/
・オンラインミーティング
Zoom
https://zoom.us/jp-jp/ent.html
・見積作成・申請業務
kintone
https://kintone.cybozu.co.jp/
・PCログ管理
Eye247
https://www.eye247.jp/
・営業管理
Knowledge Suite
https://ksj.co.jp/knowledgesuite/
・データ管理
WakusumaBOX
https://wakusuma.com/
・タスク管理
Jooto
https://www.jooto.com/
・電子契約
WakusumaSign
https://wakusuma.com/
・クラウドPBX
(スマホPCから会社電話を使える)
MOT/TEL
https://www.mot-net.com/mottel
・人事評価
あしたのクラウド
https://www.ashita-team.com/
最初からこれらのツールを選定できたわけではなく、この10個に絞るまでに、いろんなクラウドツールをこの5倍ぐらいいろいろ試してきました。
クラウドサービス選定のポイント
選定のポイントとしては、コストパフォーマンスをもちろんですが、中小零細企業での導入を前提に考え、重要視しているのは「使いやすさ」です。
具体的には、IT知識が低い方でも、 IT 担当者がいない会社でも使えるかどうかというのが、選定において大事なポイントとしています。
全てがWORK SMILE LABOで実際に使った上で導入しているだめ、お客様には使い方も含めてご提案ができるのが強みです。
特にコロナ禍の中では、電子契約などリモートでできるシステムについては大きな反響があります。
現在でも「より良いものを」と、常時5つくらいのクラウドツールを実際に試しており、使い勝手が良く効果が得られたものについては、導入方法なども含めてお客様に提案するという流れです。
社内での取り組み継続について
また、このようなIT活用や社内での取り組みは、最初はともかく、継続していくことはトップダウンでは難しいと途中で気がつきました。
そこで、社員から働く上での困っていることを意見してもらい、その解決のためのツールをみんなで探そうという流れで、見つけたツールを順番に試していくようにしています。
クラウドサービスを実際に使うのは社員なので、上から見て「これがよさそう。使ってみて」とやってもやはり使いません。
最終的に導入を決めるのは代表ですが、意見を出してもらった数で表彰したりなど、自発的に行動してもらうスキームを作っています。
こうして導入したクラウドサービスについては、1つ1つがどうというよりも、会社全体で使用することで、経営的視点で見ても、業務効率が非常に上がりました。次項から順に説明していきましょう。
得られた成果

クラウド化によって得られた成果についてです。
離職の回避
まず、テレワーク導入のきっかけになったパート社員さんの離職を防ぐことができました。
生産性の向上
また、テレワークの導入により、生産性がとても高まりました。2015年と2019年を比べると273%、約2.7倍です。
「在宅ワークはサボるのでは?」という考えが根強くあります。
しかし極端な話、家でやろうが会社であろうが出張先であろうが、大事なのは成果を出してくれることです。
そこで、テレワーク導入にあたり「人事生産性」という考え方を取り入れました。
人事生産性では、売上総利益÷労働時間で効率性をはかります。
働く場所や時間は関係なく、生産性が重要という風に視点を切り替えました。もし、テレワークをして生産性が下がった場合は、評価制度と連動させることで、周囲からの納得感を得るようにしています。
どこで働いても生産性が上がれば評価するし、サボったり、生産性が下がった場合はそれだけ評価が下がるというように、生産性の見える化と評価制度を連動させるということは非常に重要です。在宅勤務における労務管理などの問題解決においても大きなポイントになるでしょう。
成果を数値化することで、内勤の方もしくは間接部門の方でも、自宅であろうが会社であろうが働く場所は問わない仕組みを作ることができます。
残業の削減・報酬の向上
こうして生産性を上げた結果、社員の残業の削減および報酬の向上が同時に実現できました。
採用力の向上
さらに新卒の就職ランキングにおいて、株式会社 WORK SMILE LABOは岡山県内で4位という評価をいただいています。
30名に満たない中小企業がこの位置にいるということで、とても驚かれるのですが……中途採用の母数も従来から見ると3倍くらい増加しました。
これは、クラウドを導入して働き方を変えていった結果、多様な働き方ができるところに魅力を感じてもらった結果なのではと勧化亭マス。
イレギュラー環境への対応
当然、今回の新型コロナウイルス感染症の影響など、様々なイレギュラー環境に対応可能な組織となることができました。
いくら良いクラウドサービスであっても、特に中小企業の場合は導入までのハードルが高く、
「これはどうやって使うのか」
「社員を巻き込んでどのように活用するのか」
という点が課題になるのではないでしょうか。
WORK SMILE LABOは、自社でいろんな評価制度にひも付けたり、生産性を見える化したりなど、システム導入と推進において大事なポイントを自らの経験からアドバイスできるのが強みだと考えています。
その成果が認められ

WORK SMILE LABOにおける取り組みと成果が認められ、テレワークについて多くの表彰を受けています。
・テレワーク先駆者百選
総務省主催、テレワークの普及促進を目的として、テレワークの導入・活用を進めている企業・団体を表彰する制度
・「テレワーク先駆者100選」を2016年に受賞
2018年には最高位である「総務大臣賞」を中小企業で初受賞
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000218.html
・テレワーク推進賞
一般社団法人日本テレワーク協会主催。全国の企業の取り組みにおいてテレワーク実践事例および促進事例が表彰される。第20回にて最高位である会長賞を受賞
https://japan-telework.or.jp/associationactivities/suishin/
岡山県における表彰
・令和元年度「おかやまIT経営力大賞」チャレンジ特別賞
優れたIT経営を実現し、かつ、他の企業等がIT経営に取り組む際に参考となるような企業等について、その功績を表彰する制度https://www.optic.or.jp/seo/okayama_it/r01/forum.html
・令和元年度「岡山働き方改革パイオニア企業」
おかやま働き方改革会議(事務局:岡山労働局)により「働き方改革関連法」の円滑な施行を促進している企業5社を「岡山働き方改革パイオニア企業」として表彰する制度
これらは、クラウド活用により働き方を変えたことが認められた結果であると考えています。
今こそクラウド活用で、働き方改革!

クラウド化やDXといったことが盛んに言われていますが「難しいな」と感じている経営者の方も多いです。
確かに、クラウド化は働き方改革にとってこれからも非常に重要なポイントです。しかし、クラウド化はクラウドサービスやツールありきではありません。
まずは、自社にどんな課題があるのかという確認からはじめましょう。その解決ツールとしてクラウドツールがあるのです。
どんなクラウドツールがその課題解決に最適なのかを、株式会社 WORK SMILE LABOでは、どんどん開発されるクラウドサービスを自社で率先して試すことで、多くの事例を作っています。今後も、中小企業のクラウド化、そして働き方改革のサポートに役立てていくために
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