事例

株式会社TOPCREW「クラウドで改⾰!業務と従業員の成⻑」

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

2020年11月11日に行われた札幌大会より、株式会社TOPCREWの事例発表をご覧ください。社内の連絡事項伝達におけるポータルサイトの構築・活用と、データ集計・分析に使うExcelのクラウド化によって生産性を高めたことでで、売上を大幅にアップされています。

株式会社TOPCREW概要・事業の特徴

■法人名:株式会社TOPCREW(トップクルー)http://top-crew.co.jp/ 

事業内容 :コールセンター事業(インサイドセールス/アウトバウンド/インバウンド)

オペレーター/FileMaker技術者派遣事業/システム開発事業/ホームページ制作事業

■設⽴: 2013年10⽉9⽇

従業員数: 社員︓20名 オペレーター︓80名

WEBサイト:http://top-crew.co.jp/

株式会社TOPCREWは、発信をメインとしたコールセンター業務を行っています。

個⼈顧客向け・法人顧客向け、いずれにおいてもクライアントに合わせたCRMを内製しており、業務ごとに最適なシステムを⽤意していることが特色です。

アウトバウンドコールセンターの現状

 アウトバウンドのコールセンターはアルバイトが多いという特徴があります。

アルバイトのOP(オペレーター)を6~10名ごとに束ねるのが、社員であるSV(スーパーバイザー)
SVの業務は、OPの教育から現場の業務改善まで多岐にわたります。

◆SVの業務
・オペレーターへの指導
・トークスクリプト改善
・ターゲット分析
・コール分析
・OP(オペレーター)からの質疑応答
・2次応対電話
・OP(オペレーター)の悩み相談
・社内⾏事の周知
・社内⽣活の周知

コールセンターは9:00~21:00と稼働時間が長く、OPもSVも業務はシフト制となっています。

そのため、全体でミーティングを行うことは難しかったのです。

また、SVは社員としてOPの指導や悩み相談、電話の2次対応などに関わるアナログの業務負荷が高くなり、ターゲットやコールの分析というデジタル業務にかける時間が取りにくいという現状がありました。

Gsuiteを使って解決できないか?

 現状の課題を整理すると、以下の2つの課題が浮かび上がりました。

 ・アルバイトへの情報伝達の周知について
・数値管理の方法について

 これらの課題について、創業時より導入していた「Gsuite」を使って、課題を解決できないかと考えました。

導入ベンダのKDDI まとめてオフィス東日本様に相談し、以下の機能を使って対応ができるのではないかというアドバイスをいただきました。

 こうして、アルバイトへの周知方法とExcelの分析業務の運用を変更するという2点に絞って業務改善に取り組むことにいたしました。

① アルバイトへの周知をクラウド活⽤し、SV(社員)を介さず周知を⾏う!

 まず取り組んだのは、アルバイトへの周知方法にクラウドを活用するということです。そのためにGsuiteのサイトサービスを使ってポータルサイトを構築することにしました。

ポータルサイトの構築

アルバイトへの情報伝達周知にあたって、ポータルサイトを作成するために、社員による全体ミーティングをおこなっています。

アルバイトに楽しく働いてほしいということで、ブレストでは様々な案が出されました。

・イベントの写真を載せたい
・ラーメンブログをやってほしい
・研修資料を載せてほしい
・各事業部がどんな業務をしているのか知りたい
・各種締切の期⽇周知や、社内⾏事の周知を⾏いたい
・成績優秀者を発表したい
・総務⼈事系の⼿続き案内事項も載せたい

 そして完成したポータルサイト「トっぴぃぃ」(名称は社内公募にて決定)がこちらです。

 業務連絡や、社内イベントの様子、成績優秀者をたたえる発表ページに、ラーメン大好きな社員のブログなど、多くのコンテンツを盛り込んでいます。

ポータルサイトの構築による効果

 ポータルサイト構築による効果は大きく4つありました。

事前に予測していた効果
①ポータルサイトによる情報共有
②アルバイトが自ら情報を得ることができるようになった

 ポータルサイトの構築の目的は、社員からアルバイトに直接伝えていた情報伝達業務を減らし、社員の負担を減らすことにありました。

 その目的は十分達成し、出社したらまずポータルサイトを見るように自動表示させることで社員・アルバイトともに同じ情報を得られるようになっています。

 社員に聞かなくても、アルバイト自身で情報を得られるようになったのも大きなポイントです。

副次的な効果

③従業員がコンテンツを楽しみにしてくれるようになり、モチベーション・生産性アップに
④成績優秀者の掲示を見て、表彰を目指す従業員が増加

 次に、予想外だった副次的な効果です。

アウトバウンドのオペレーターは、お客様に断られたりするということも多く、心理的な負担が大きい業務です。コールの合間にポータルサイトの楽しい写真などを見ることで、ストレスを軽減させる効果が得られました。気持ちを切り替えて前向きに応対をすることで、成果も上がるというメリットがあったのです

 さらに、ポータルサイト内の成績優秀者の掲示を見ることで、表彰を目指す従業員が増え、意識の向上にも役立っています。

 想定以上の効果を得ることができました。

② Excel業務を複数⼈で同時並⾏で作業可能にし、作業効率を向上させる!

 次に取り組んだのは、Excelでの業務改善です。

Excelで作成した数値管理表の運用をスプレッドシートに変更することで作業効率を向上させられないかと取り組みました。

Excel業務の課題

 これまで、各社員(SV)がExcel表に数値を拾って入力、集計するという業務が生じていました。

 Excel帳票には関数を組み込んでいるため動作が重く、共有ファイルで破損することが多かったので、同時並行でおこなうことができず、結局は1人ずつしか作業ができません。

 本来であれば、集計業務はシステム化すべきなのですが、小ロットの業務が多いことと、その都度現場のジャストアイディアで分析を行いたいという要望があり、全てのシステム化が不可能な現状があったのです。

 そのため、必要な数字を現場で集計するという文化が自然と作られていました。しかし、この集計業務の負荷が重く、新しいことに挑戦する余裕もなくなっていたのです。

 この状況を、Excelからスプレッドシートへ移行することで改善するために、まずはスプレッドシートの良さを体感してもらうことから取り組むことにしました。

改善までの流れ・スプレッドシート化へのステップ

まずは、スプレッドシートの利用を浸透させるため、総務人事部門の提出物周知や、当番表、アンケートなど、これまでExcel表で行っていた業務をスプレッドシートで展開することからはじめました。

 Excelとは異なり、リアルタイムで同時編集ができるという感動を従業員に実感してもらうためです。

このステップで「スプレッドシートって便利かも」という意識付けに成功しました。

改善までの流れ・スプレッドシート化へのステップ②

 次に、実際の営業部でのスプレッドシートを活用した数値管理表を活用するあたり、まずはモデル部署を選定して実践しました。

これまではExcelで個人ごとに作って運用していた数値管理表をスプレッドシート化することで、複数人で並行処理できるようにしたのです。

 Excelでの運用時は、開く度に関数の再計算で動作が重く、待ち時間も生じて時間がかかっていましたが、複数で作業できるようにスプレッドシート化しました。

スプレッドシートはExcelに比べて動作も軽くなり、同時並行で編集ができるため、作業時間の短縮につながりました。

クラウド導⼊の効果

これまでの働き方は、社員からアルバイトへ口頭での周知、そして数値管理が同時並行できず、社員は終わらない業務を抱えていました。

 そこで、クラウドを導入し、業務の流れを変えることで、大幅に業務時間の削減効果が果たせました。

・ポータルサイトによるアルバイトへの情報周知で社員(SV)は自分の業務に集中できるように
・Excel→スプレッドシートへの移行により、社員はそれぞれの業務を分担可能に

 具体的には、これまでは、個々のExcelファイルでの入力により1⼈で2時間程度かかっていた作業が30分程度まで短縮

1部署あたり⽉間45時間、年間540時間の業務時間削減に成功しました。

会社全体では3部署あるため、年間約1,500時間ほど業務時間を削減できています。

 その結果、これまでできなかった社員教育や業務改善の時間を作り出すことができました。

クラウド導⼊後の売上推移

 収益ですが、クラウドを導⼊した2017年10⽉より⽣産性が向上し、売上の成⻑⾓度が急上昇いたしました。

 今までの業務時間を、教育や業務改善に取り組む時間に充てられるようになった成果が出ているものです。

現在挑戦中のクラウド活⽤ 

さらなる改革のために以下のクラウドツールも新たに活用しております。 

アルバイトから発信するためのコミュニケーションツールとして導入。

アルバイト⇔アルバイト、アルバイト⇔社員のコミュニケーションは、LINE WORKSを活⽤して運⽤しています。

 ほぼ研修なしで、誰でもすぐに使⽤できるため、運用のための負荷が少ないことが特徴です。コロナ禍での情報共有にも大きな効果を果たしています。

 続いて、コロナ禍でWeb会議が増えたという背景もありTeamsを導入しました。

プロジェクトごとにTeamを分け、プロジェクトに関する情報を集約しています。

メールでの周知は探す時間がかかることが課題でしたが、Teamsはすぐに情報把握できる運用を作ることができました。

さいごに

クラウド化して一番大きな効果は、既成概念で出来てしまった考え⽅の”枠”を外し、⾊々なアイデアを出せるようになるための、成⻑のきっかけとなったことでした。

クラウドの最⼤の効果は、誰でも⾃分たちの運⽤を⾒直す機会を作り、業務も⼈も成⻑出来る事だと思います。