事例

株式会社マーケティングデザイン「BI+AIで切り拓く ネクストノーマル時代のクラウド経営〜withコロナ時代の今だからこそ活かす⼈とAIの可能性〜」

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

2020年11月25日に行われた大阪大会より、株式会社マーケティングデザインの事例をご紹介します。コロナ禍の中で、お客様から問い合わせが激減という状況に。そこからデータを活用することで、客数減をストップし、未導入予測を行うことによって、客単価を上げることに成功し業績を向上させました。専門知識がなくてもAIの活用で生産性を高めることができるという事例です。

株式会社マーケティングデザインの概要

■法人名:株式会社マーケティングデザイン

事業内容 

紹介クラウド「クチコプレミアム」(https://www.kuchi-co.com/ )

地域密着型企業の広告⽀援

クラウド導⼊⽀援

■設⽴:2018年

従業員数:6名

■公式WEBサイト:https://www.mk-design.co.jp/

株式会社マーケティングデザインは、2018年設立の従業員数6名の企業。

「Renovation For Result」という大きなミッションを掲げ、事業の要は3つあります。

今回はその中でも、紹介キャンペーンアプリ「クチコプレミアム」について、いかにクラウドを活用して利用者数を拡大してきたかを見ていきましょう。

当社の課題

小さな企業のため、自社で開発を行うにあたりさまざまな課題がありました。

その中でも大きい課題が2つあります。

⼈⼿不⾜

1つめは人手不足です。

この表は中小企業における「業種別従業業員の過不足DI」の推移です。株式会社マーケティングデザインにおいても、求人をしてながらもなかなか採用がおぼつかない状況でした。

開発費確保

2つめは開発費の不足です。

こちらは企業規模/業種別における売上高対研究開発費の推移です。

大企業と中小企業を比べると、大きく差があることがわかります。

特に、中小企業における非製造業(青いライン)つきましては10年以上ほぼゼロという状態が続いていました。

その中で、お客様の期待に応えるサービスを開発するための費用を確保しなくてはならないという大きな課題を抱えていたのです。

課題解決のためにクラウドを導⼊

人手不足と開発費不足という課題を解決するためには、限られた人数で付加価値額を上昇させ、労働生産性を向上させることが必要です。

株式会社マーケティングデザインでは、この難題を乗り切るため、クラウド活用に取り組むこととなりました。 

クラウド活⽤

株式会社マーケティングデザインでは、 戦略型のマーケティングオートメーションであるSFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理ツール)だけでなく、基幹系の人事・勤怠・会計その他コミュニケーションについてもほぼ全ての業務をクラウドで行っています。

主な利用システム

・salesforce:https://www.salesforce.com/jp/
MA:マーケティングオートメーションツール
SFA:営業管理システム
CRM:顧客管理システム

・あしたのチーム:https://www.ashita-team.com
人事システム
評価制度の構築・クラウド化

・TeamSpirit:https://www.teamspirit.com/ja-jp/
勤怠管理・工数管理・経費精算

・freee
https://www.freee.co.jp/
クラウド会計ソフト

・Docusign
https://www.docusign.jp/
電子署名・契約サービス

クラウド導⼊の恩恵

クラウドを導入した結果、主にMA(マーケティングオートメーション)と、会計システムの効率化に大きく寄与しました。

マーケティングオートメーション

戦略系ではMA(マーケティングオートメーション)を導入することにより、減り続けていたお客様のお問合せを、年12件から162件と10倍以上にあげることに成功しました。

クラウド会計

基幹系では、クラウド会計を導入することにより、会計業務の時間を半減。クラウドを活用することで生産性の向上が見られました。

クチコプレミアム利⽤者数

クラウド化により、クチコプレミアムの利用者も順調に伸びておりました。2016年は23件だったところから、2019年には5,377名まで増加したのです。

新型コロナウイルスの影響でダメージ

しかし、2020年、新型コロナウィルスの影響により、メインターゲットであったスポーツクラブが大きなダメージを受けます。

休館や閉店に追い込まれてしまい、プロモーションどころではありません。問い合わせは激減,契約は見送り、解約も増えました。

一番悪い月では昨年の33%、約70%減まで業績が落ち込んでしまったのです。

データ活用に活路を見いだす

そんな状況の中で、灯台のように進むべく道を照らしてくれたのが、これまで蓄積したデータでした。

MAで得られる顧客ニーズや、SFA、CRM で得られる顧客情報・商談情報つまり、顧客ニーズから商談成⽴までの営業活動における全てのデータを活用しBI と AI によって判断をしていったのです。

・BI(ビジネスインテリジェンス):自社の現状を客観的なデータに基づいて把握したうえで、決定を下すこと

・AI(人工知能):計算や問題解決を人間に代わってコンピューターに行わせる技術

クラウド上にあるデータを⼈とAIで判断

全社の最適化を行うための、洞察力の必要な判断はBI をもとに人が行い、

膨大なデータからの傾向予測はAI の力をかりて行うことしました。

受注数の減少の改善ポイントは?

BIをもとに、どのような判断をしてきたかを解説しましょう。営業プロセスを分解してみると、コロナが蔓延し始めたころから受注数が減少しています。

その要因をBIを用いて分析してみると、資料のダウンロード数が減少しているため、リード数商談数がともに減少。その結果受注数が減少しているということが分かりました

一方で、赤枠で囲った見込顧客率・商談化率・成約率は下がっていない、ということも判明したのです。

そこで「この中の一つの数字だけでも向上することが出来れば、失った数字を回復していることができるのではないか」と仮説を立てました。

そこから、「見込顧客率・商談化率・成約率のどれなら短期間で向上できるか?」と考えていったのです。

⼈の判断でボトルネックの発⾒と解消

その中で、案件化率が飛び抜けて成果が出ている特定の業種があることがわかりました。

成果の出ている業種に対してアプローチを集中して行うことにより、結果的にコロナ禍前の受注数を取り戻すことに成功。さらに副次的な要素として、コール数自体も10分の1に削減できています。

AIの判断で予測

次に AI予測について、見込み顧客と既存顧客へのアプローチに対する予測から解説します。まずはじめに、AI は過去の膨大な営業活動データや失注の情報をもとに、商談化率の可能性の高い見込顧客を、ゼロから99の範囲で予測してくれます。

このスコアが80以上になると、通常のリストの5倍ほどの商談化率、さらに成約率は3倍になることが判明しました。

この予測ができたおかげで、無駄な電話や見込顧客への商談から解放されたのです。

アップセル・クロスセル/解約予測

次は既存顧客へのAI予測です。

先ほどのBI のクロスセルが起こりそうな顧客や、解約されそうな顧客の条件をモデル化することによって、既存顧客に対して解約とクロスセルの予測を行えるようにしました。

解約予測は、新規受注が減っているなかで、解約の予測をすることにより客数減を止める必要があるかです。

現在のところは解約可能性のスコアが90以上の場合、半年以内にほぼ100%解約になっています。となると、スコア90が出た時点で手遅れになってしまいますので、スコア60を超える段階でMAと連動して解約抑止のアクションを起こすという形にしました。

 また、クロスセルについては、未導入商品の受注可能性スコアが90を超えた場合、80%以上の成果があがるという実績があがっています。予測を行うことによって客単価を上げられる可能性が高いため、業績向上に貢献する予測です。 

クラウド導⼊による課題解決

BIの活用とAIの精度の高い予測によって、営業が顧客ランク付けやそれに基づいた会議などに時間を費やすことがなくなりました。

人でしか対応できない本来業務である顧客との時間に集中することができるようになり、付加価値の額も同時に向上させることに立っております。

クチコプレミアム利⽤者数

 一時は非常に落ち込んだ「クチコプレミアム」の利用者数も、2020年は11月現在で、前年に比べて180%にまで回復しています。

今後の展開

今後の展望としては「クチコプレミアム」とお客様のデータベースを連携し、データを AIにより分析させることで「紹介可能性」を予測できるようにしたいと考えています。

そうすれば、企業はお客様のロイヤリティにだけ集中することで、広告を打たなくても紹介で顧客が集まるようなプロモーション展開ができるからです。

クラウド上にあるデータを⼈とAIで判断

株式会社マーケティングデザインは、6人という少人数で切磋琢磨していますが、社員には1人もプログラマーはいません。代表はずっと営業畑です。

このような小規模の企業で、かつ予算も限られており、専門知識がなく、あるのは「熱意」だけでした。今の時代は中小企業であってもクラウド化することにより、自社の商品に対してAIを導入し、生産性を高めて戦うことができる素晴らしい時代ではないでしょうか。

しかし、まだまだコロナ禍において油断はできません。

司馬遼太郎作「坂の上の雲」の主人公である秋山 真之(あきやま さねゆき)は「本日天気晴朗なれども波高し」という名言を残しています。

最新のクラウドサービスは、我々の環境を整え、価値を高めてくれますが、それに油断をすることなく、高い志を持って成長していくことが必要なのです。

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