事例

AEDレンタルサービス株式会社「クラウド活用で大手企業に挑戦」

Oosaka

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

 2020年11月25日に行われた大阪大会より、AEDレンタルサービス株式会社の事例をご紹介します。心停止状態の心臓に対して、電気ショックをあたえることで心臓を正常なリズムに戻すための救命処置であるAED。AEDレンタルサービス株式会社は、設立も新しく、メンバーも少なくいだけでなく、すでに先行の大手企業がいる状況で、どうやって設立から順調に売上を伸ばしたのでしょうか?「便利になるのが楽しかった」というクラウド化の事例をご覧ください。

AEDレンタルサービス株式会社の概要

■法人名:AEDレンタルサービス株式会社

事業内容 :AEDのレンタル及び販売事業

・長期レンタル(36%):会社、自治体、病医院、スポーツチーム、マンション

・中期レンタル(20%):工事現場、海の家、イベント

・短期レンタル(33%):マラソン大会、イベント、お祭り、旅行携行

・販売(5%) :ECサイト&楽天市場(8月~)、中古販売

■設⽴:2017年4月

従業員数:4名(マンパワー不足)

■公式WEBサイト:https://www.aed-rental-s.com/

AEDレンタルサービス株式会社は、2017年4月に創業した新しい会社です。

企業理念は「AEDの設置企画と運営サポートを行なうことにより、安全な社会環境を創造し社会の幸せに貢献する」こと、つまりAEDを普及して心臓突然死を減らす目的をもって事業を行っています。

 AEDのレンタルは、5年以上の長期レンタル、数ヶ月の工事現場などでの中期レンタル、イベントなどでの短期の数日レンタルがあります。

また、販売についても展開している状況です。

基本戦略

すでに先行している大手企業の壁をどう突破するかと言うことで、基本戦略については、3つにフォーカスして対策を行いました。

1つ目はホームページでの検索対策

2つ目はクラウド活用による社内業務の効率化

3つ目はクラウド活用による新サービスで他社との差別化を図る

これらをなるべく安価に構築するというのが、今回の対策のキーです。

順に見ていきましょう。

ホームページの検索順位対策

ホームページについては、「あきばれホームページ」のサービスを利用して作成しました。

検索対策結果

2017年からホームページの改修を重ねて、Googleにおける検索順位も上がっています。

具体的には東京で「 AED  レンタル」と検索すると、528,000ページのヒットした中から上位1~3位がAEDレンタルサービス株のホームページが表示されるようになりました。

これは、 Google から高く評価されているからだと考えております。

クラウド全体像

次に、クラウドサービスの活用ですが、社内ではこれだけのクラウドサービスを活用し、トータルで毎月6万円ほどの料金で構築できています。

一部はどうしても印鑑を使わないと契約できないところがあるのですが、それ以外はすべてペーパーレスを実現しました。

クラウド活用(業務効率化)

細かな業務に沿って、クラウド内容を説明していきましょう。

業務の効率化としては、 GoogleWorkSpace(旧G Suite ) を利用しています。

様々なサービスの中でも特に利用頻度が高いのは、Google drive です。社内だけでなく社外の方ともデータ共有ができ、データの保管も安心です。

また、Excelについては、現在ほぼ全てのシートをスプレッドシートに置き換えており、こちらも社内だけでなくお客様とも同時入力や参照が可能な状況にしました。

カレンダーも予定だけでなく、レンタル機の出荷予定・配送予定などの情報共有という面で利用しています。

クラウド活用(営業管理)

次に、営業支援の方ではZOHOのシステムを利用しています。

 CRM に関しては、現在1,200件ほどの取引データを集約して情報共有を行えるようにしました。

メルマガ配信などのメールマーケティングツールである「Campaign」では、集約した情報からターゲッティングし、HTMLメールを送信するサービスを活用。

Zoho SalesIQ(ゾーホー・セールスIQ)では、稼働させている3つのドメインのホームページに共通のチャットを埋め込み、それぞれスマホからでも対応できるような仕組みを作り上げました。

Zoho Sign によって、長期レンタルも契約も印鑑から電子契約に変えることで、大幅な時間短縮を行っています。

クラウド活用(会計効率化)

続きまして会計の効率化です。

会計ソフトは「マネーフォワード」を利用し、API 連携で銀行の情報を自動的に会計ソフトに取り組んでいます。

経費に関しては、クレジットカードに集約。クレジットカードの利用情報についても同様に自動取り込みして会計に反映しました。

また、マネーフォワードに精通した税理士法人と契約し、会計情報の共有により正確な会計処理を可能にしました。

クラウド請求書も導入しています。見積もり等の発行がどこからでもできるというのは当然ですが、請求書などでどうしても郵送が必要な場合には、クリック操作でシステムから郵送依頼ができるという点も大きなメリットです。

クラウド活用(営業効率化)

営業効率化については、3つのサービスを利用中です。

まず、モバビジ

会社にかかってきた電話を社内だけでなく、社員のスマホで受電できるようにしてただけでなく、スマホから固定電話でお客様に電話をできるような仕組みも作りました。

 次にeFaxです。 Gmail上で FAXの送受信ができるようにしたことで、外出の自由度が大きく向上しました。

最後に、WorldCard Mobile。名刺管理機能を持つアプリで、名刺の情報をスキャンして

gmail の連絡先と連動することによって、連絡先情報を会社の財産として蓄積しています。

 これらのクラウドシステムの導入にあたっては、選定は代表者が全て行っています。

システムの無料トライアルで1~2週間ほど使い勝手を試した上で、順次導入してきました。

「便利になる」ということがやり始めると楽しくて、余暇の時間を使ったり趣味的にやっているというところもあります。

クラウド化により、iPadさえ持っていればどこでも仕事ができる状況になっていますので、出荷などどうしても会社に出向かないと行けないような状況でない限り、テレワークなども随時可能です。

クラウド活用(独自の新サービス)

続いて、日本で唯一AEDレンタルサービス株式会社独自の新サービスを紹介します。

日本光電製のAEDを利用しており、このAEDに標準で付属するIoTの通信端末を利用しAEDの点検確認をリモートで行うサービスを付加しております。また1ヶ月毎に日々の点検結果を月次点検レポートとしてメールで配信する新サービスを行っており、お客様よりご好評頂いています。

点検で異常を探知した際には、ユーザーに連絡するサービスも行っています。

この点検サービスは、高い評価を得ることができ、大きなアピールポイントになっています。

図は5年以上の長期レンタルの設置先ですが、北海道から沖縄まで幅広くレンタルをご利用いただけるようになりました。

これ以外にも、中期レンタルが別に100台ぐらいあります。

売上(≒粗利)実績

クラウド化による売上への効果です。

AEDレンタルサービス株式会社は、2020年で4期目ですが、1期~3期と非常に順調に推移してきました。

グラフの中にある赤い●が当初の事業計画値。毎年それを上回ってきている状況です。4期目の2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で、イベントがなくなり、短期レンタルに関しては大きなダメージを受けたのですが、それ以外の案件が伸張したことにより、トータルの売上としては、10月時点ですでに前年をオーバーをするという状況になっています。

3ヶ年計画(事業の4本柱化)

今後はどうやってさらに発展させていくかというところでは、現在のレンタル事業を拡大しつつ、ECサイトの販売も強化していきたいと考えています。

ECサイトに関しては、Shopifyを利用して自社のECサイトを構築をしていますが、もう1つ楽天の EC モールを利用し、二段構えで行っているところです。

7期では短期・中期・長期のレンタルに加え販売による事業の4本柱化を完成させたいと考えています。

事業の成果(4人の救命実績)

AEDの普及による事業の目的「社会の幸せに貢献」ですが、事業を始めてからこれまで、4名の方の貴重な尊い命をレンタルAEDで救うことができました。

今後もますますの普及を続けていきたいと考えています。

地方発祥の全国展開企業

こちらのキャラクターは徳島県のマスコットキャラクター「すだちくん」。実はAEDレンタルサービス株式会社のロゴマークは、すだちくんをモデルに作成したものです。

地方発祥企業が全国展開を目指し、現在は全国で1,214件の取引先を得ることができました。

クラウド活用により、地方でも、小規模企業でも、大手企業と十分戦える証明といえるのではないでしょうか。

これからも「AEDの設置企画と運営サポートを行なうことにより、安全な社会環境を創造し社会の幸せに貢献する」ことに引き続き挑んでいきます。

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