事例

トマト工業株式会社「朝礼、会議を廃止、想いをつたえる朝礼文化」

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

 2020年11月25日に行われた大阪大会より、トマト工業株式会社の事例をご紹介します。

クラウドで業務改善を行うだけでなく、社内の士気を高めるためにも有効活用されています。業務改善を行ってもらうことで給与アップに繋げたり、多くの会社が慣例でなんとなくやっている「朝礼」を社員の声を受け止めて別の形に変更。経営理念である「笑顔を作る工場にしよう」に取り組まれています。

トマト工業株式会社の概要

■法人名:トマト工業株式会社

事業内容 :建築材料の加工

■設⽴:1975年10月

従業員数:16名(パート含む)

■公式WEBサイト:https://tomatokogyo.com/

 トマト工業株式会社は、建築材料の加工を行う製造業。従来の下請構造から脱却し、全国の幅広いお客様から受注出来るような会社を目指し、親しみやすさをイメージして「トマト工業株式会社」という社名にしています。

経営理念は「笑顔をつくる工場にしよう。」

クラウド活用を通じ、どのように笑顔を作る工場を生み出していったのでしょうか……?

2年前の状況

「またあいつ仕事やってないぞ」

「あの仕事いつになったらあがってくるんだろう」

「想いが伝わらない」

「辛いなぁ……」

そんな悩みを抱えながら仕事をやっていたのが2年前の状況です。

このような状況を解決するために、クラウドを使った事業改革に取り組むことになりました。

クラウド事業改革

 クラウド事業改革で取り組んだことはこの3点。

1.クラウド改善とは、クラウドを使った業務改善

2.称賛共有とは、社員のいいところを共有していく取り組み

3.クラウド朝礼とは、社内で思いを共有するためにはじめました。

順に見ていきましょう。

1. クラウド改善

 最初に業務改善について見ていきましょう。

トマト工業株式会社は、建築材料の加工をする加工会社、つまり製造業です。

製造業にとって「業務改善」というのはとても大切な位置づけにあります。

例えば、世界最大の自動車会社として有名な「トヨタ自動車」も、業務改善を最も大切にしている業務の一つにあげています。

しかし、業務改善が大切ではあることはわかっていても、実際は、社員からなかなか改善が出て来ないというのが実情ではないでしょうか。

そこでトマト工業株式会社が活用したのがクラウドです。

結果から見ると、改善提案数が年間で120件。金額に直すと約300万円の改善ができました。

これは、中小企業にとっては非常に大きな金額です。

なぜ、この改善ができたのか?

また、なぜ、普段その改善が出てこないのか?

これまでの経緯を解説します。

社員の声と改善の呼びかけ

 社員からすると

「なんでこんなに忙しいのに『改善』をしなくてはいけないんだ」と、こういう思いがありました。

そこで、クラウドの朝礼やチャットツールを使って毎日社員に呼び掛けました。

「改善をして会社に利益が出れば、そうしたらみんなに還元できるじゃないか」と。

こういった内容を毎日伝えたのです。

さらに、具体的な施策にも落とし込みました。

「33運動」という活動で、仮に会社全体で300個の改善出すと、3%みんなの給料を底上げするよというそういう取り組みです

ただ、これでもなかなか改善が出てこなかったのです。

それはなぜだったかというと……

クラウド改善(独自アプリ)

  なぜ改善提案が出されないのか?という原因を深掘りして見てみると、そもそも、改善提案自体が非常に面倒だったのです。

 当時の改善提案はExcelファイルで管理していたのですが、例えば1つの改善提案を出そうとすると

・PC起動

・Excelを開く

・Excelに記入

・保存

・写真の貼り付け

・印刷

・印鑑を押す

・パンチ穴を開ける

・ファイルに綴じる

ここまでの工程が必要でした。

https://www.zoho.com/jp/connect/ )

 そこで、Zoho Connectを使って、改善提案を一つのフォームにまとめました

全員が持つタブレットから、改善提案フォームに直接入力することができるようにしたのです。

記入フォーム

具体的なフォームがこちらです。

写真もその場で撮影して、直接フィードにアップすることができますし、別部門の改善案を簡単に見ることもできますので、水平展開も可能になりました。

 こうして多くの業務改善がなされるようになったのです。

2.称賛共有

次に、チャットツールを使った称賛の共有です。

この「称賛共有」をするにあたり、たった1つだけルールを設けました。

それは「他人を批判しない」ということです。

どのような称賛をしたかというと、例えば以下のような内容です。

生産部門の方へ「施策作ってくれてありがとう」

営業部門の方へであれば「お客さんに迅速に対応してくれてありがとう」

システム部門からであれば「システム使ってくれてありがとうみんな喜んでたよ」

 こうして「ありがとうが広がる」雰囲気のいい職場に変わってきました。

3.クラウド朝礼

最後に、クラウド朝礼です。

実は、トマト工業株式会社では、リアルの会議と朝礼を実施していません。

その代わり「朝礼文」という形で、毎日毎朝社員に共有しております

 リアル朝礼に対して独自に従業員に調査してみると、話が長く、朝の貴重な時間を取られるし無意味だという不満を持っていることが分かりました。

 そこで朝礼文という形で毎日皆に対して想いを伝えるようにしました。

具体的には3つの観点から朝礼文を作成しています。

 1つは「方向性」です

中小企業は、みんなでオールを漕いでいくチームのようなものです。

ただ行き先を知らせないままに「がんばれ」と声かけをしても意味がありません。

そこで「ここに宝島がある!だから目指そう」というような「想い」を伝えることで、社員皆のオールをこぐ手にも力が入るようになりました。

 2つ目が「学び」です

トマト工業株式会社独自の、原理・理論・原則というものを毎朝みんなと共有しています。

つまり、毎朝「学び」ができるのです。

3つ目は経理理念です。

冒頭にも述べたように、トマト工業株式会社の経営理念は「笑顔をつくる工場にしよう」というものです。

なぜこの経営理念になったのか、ということを社員と共有するようにしています。

2年間クラウドで変わったこと。

クラウド化による業績などの向上についてです。

まず、売上高は32.7%アップ、そして改善案が3倍。

「ありがとう」は445個と、「ありがとう」が行き交う会社に変わることができました。

  企業経営は、乗馬のように社員を鞭打って走らせることではなく、社員みんなが宝島に迎えるような仕組みを作り、働く意義を見いだすことではないでしょうか。

 改めて経営理念の「笑顔をつくる工場にしよう。」共有することで、その姿に近づいていく

ことができると考えています。

応募受付中

日本DX大賞

DX推進の取り組みを共有しませんか?

日本DX大賞 2025 エントリー募集中

あなたの組織DX推進事例をぜひ日本DX大賞にご応募ください。他社の参考となる貴重な取り組みを共有することで、日本のDX推進に貢献。また、受賞企業は事例集への掲載やイベントでの登壇機会など、さまざまな形で企業価値向上につながります。