事例

株式会社タニハタ「クラウド活⽤で、⾶⿃時代から続く伝統⼯芸を未来へつなぐ。」

Oosaka

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

2020年11月25日に行われた大阪大会より、株式会社タニハタの事例をご紹介します。⾶⿃時代から続く伝統⼯芸「組子」を作る株式会社タニハタは、和室の減少により危機に追い込まれますがネット通販で回復。今まで「部品」としての扱いだった組子は、その美しさが認められ、ホテルのスイートルームの壁面を飾るような「アート」に昇華。すると今度は、業界の慣例である業務の進め方によって社内の混乱を招いてしまいます。その状況を救ったのがクラウド化です。伝統工芸をつくる会社のクラウド化で売上、自己資本比率アップ、資金繰り難の解消まで成し遂げた事例をご覧ください。

株式会社タニハタの概要

■法人名:株式会社タニハタ

事業内容 :組子技術を使用した木製建具(格子の引き戸)、間仕切り、欄間を製作。

■創業:昭和34年

■公式WEBサイト:https://www.tanihata.co.jp/

株式会社タニハタは、伝統木工技術「組子」で欄間を作っている会社です。

伝統⽊⼯技術「組⼦」とは︖

「組子」とは、釘を使わずに格子状の文様を組み上げていく木工技術のことです。飛鳥時代から長い年月をかけて磨きぬかれた伝統の技術はすべて手作業。

株式会社タニハタでは「組子」で和室の障子や欄間などをつくってきました。

昭和52年には、内閣総理⼤⾂賞を受賞しており、職人の技術は折り紙付きです。

しかし、1992年以降にバブルがはじけると住宅着工数が減り、さらに和室も減少して組子職人の仕事がないという状況になってしまいます。

そこで、2000年にネット販売を開始。今までは地元の建具屋向けに障子・欄間・組子製品を売っていたのをネットで全国の一般客に販売することにしました。

すると、ネットの売上で会社が持ち直すのですが、それと同時に問題が発⽣してしまったのです。

問題が発生したのは、業務の進め方においてです。

これまでの仕事のやり方だと、施工業者とのみ取引をしていれば良かったのですが、アート的な美術的なものを作っていくということで、設計や建設会社、デザイナーなど取引先が多様化。

様々な相手先に見積もりやデザイン提案というのが発生することになります。

年間に数十件以上の大型物件が重なり、社内が混乱。

⼤⼝物件でもあっても、海外の物件であっても、担当者が不在でも、1年前の⾒積りでも、誰でもスムーズに対応できるようにしよう︕ということで、顧客ごと・案件ごとのメールを探す時間ゼロ、社内連絡ミス・連絡遅延ゼロ、業務のムダ時間ゼロを⽬標においたクラウド化が始まりました。

いっぺんにできるわけではありませんで、7年かけて少しずつ仕上げていくことにしたのです。

まず取り組んだのは会員登録。

この時すでにメールのやりとり自体が崩壊していました。

「メールが見つからない」

「届かない」

「重いデータが送れない」

など、やりとりのトラブルが多く、メールに代わる顧客対応の仕組みを構築しないと仕事にならないということでシステム構築を行いました。

お客様に会員登録していただき、その後はタイムライン上でお客様とのやりとりをできるようにしました。お客様とのやりとりは、複数の担当者で対応できるようにしました。

誰でも過去履歴を見られるようにすることで、誰が対応したかということをわかるようにしています。

さらに、大口物件はプロジェクト別にリスト管理を行い、業務分担を手分けして行っています。

受注管理システムで案件ごとにデータベース化することで、案件管理もできるようになりました。

 案件ごとの進捗情報については、職人が自身で手がけたところをiPadで入力しているため、どこまで作業が進んでいるかが一目瞭然です。

さらに工程表です。製造においては工程表が大変重要です。

こちらもシステム化することで、案件が入ったら自動的に工程表ができるようにしました。

クラウド化によって、社内では、職人と業務管理がクラウドシステムを介して、非常にスムーズに業務が流れるように。全国のあらゆるお客様との対応が可能になったのです。

その甲斐あって、7年で業者会員7667件。

顧客ごと・案件ごとの情報を業務、製作現場、経理の各担当者が、すばやくスムーズに確認できるようになり、社内連絡ミス・連絡遅延ゼロを達成。

今まで作業に費やしていた時間を、デザイン提案、商品開発などクリエイティブな業務に

充てることが出来るようになりました。

結果、顧客への提案のスピードアップだけでなく、信用力もアップし、業務が順調に運ぶように。

成果︓業績向上2013年〜2020年

クラウド化の成果として、業績については7年間で売上がアップ。さらに自己資本比率20%から80%まで向上しました。

さらに、現金取引がほぼ100%になったことで、資金繰りも本当に楽に。キャッシュフローの向上に大きく寄与しています。

業務効率化によって得られた時間で、職人たちも海外研修を実施しています。

フランス、イタリア、ドイツ、NY、シンガポール……など、デザイン力向上のためにルーブルをはじめとした美術館を巡ったり、現地の職人さんと交流したりなど。提案力向上に大きく役立っています。

クラウド活⽤で、⾶⿃時代から続く伝統⽊⼯技術を未来へつなぐことができた。

飛鳥時代から続く木工の伝統技術である「組子」。

業務をクラウド化することで、様々な顧客とのやりとりが可能に。職人の方たちの感性を磨き、提案力をアップさせることで付加価値も向上させることができました。

商品のブランディングは劇的に行われるのではなく、組子のようにひとつひとつ信頼を積み上げていった結果です。

未来に向けて、これからももっと進化させていきたいと考えています。

応募受付中

日本DX大賞

DX推進の取り組みを共有しませんか?

日本DX大賞 2025 エントリー募集中

あなたの組織DX推進事例をぜひ日本DX大賞にご応募ください。他社の参考となる貴重な取り組みを共有することで、日本のDX推進に貢献。また、受賞企業は事例集への掲載やイベントでの登壇機会など、さまざまな形で企業価値向上につながります。