DX事例

東北コピー販売株式会社のDX推進とデジタル人材育成の取り組み

複合機販売企業の多くは現在、自社でもデジタル化に移行したり、複合機を介したビジネス展開を模索したりするなど、事業モデルを変えようとする動きが加速しています。そうした動きに同調するように、創業から40年以上が経過した東北コピー販売会社も、約10年前から業務のデジタル化に取り組んできました。

今回は、地域の大学と連携してデジタル人材育成に取り組んだ事例をご紹介します。

老舗の印刷機販売企業が、当初抱えていた問題とは

東北コピー販売株式会社は、福島県福島市に本社を置く老舗のコピー機販売会社です。コピー機やハードウェアの販売事業、業務改善コンサルティング事業を展開しています。

2015年から業務のクラウド化に舵を切り、さまざまなクラウドツールを活用しながらデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してきました。2015年当時はExcelのフォーマットがバラバラで、必要なときに必要な情報を探しづらい、営業担当者がいつ顧客を訪問するのか分かっていないなどの問題を抱えていました。

トップダウンとクラウドファーストで進めていった、社内のクラウド化の取り組み

東北コピー販売では、2015年以降毎年さまざまなクラウドツールを導入しています。

当初、クラウドツール導入に際しては、社内からの反発もありましたが、トップダウンで進めていき、社員がクラウドツールに慣れること、SaaSに依存せずクラウドファーストで進めることを徹底していったのです。

結果、クラウド化によってペーパーレス化や印鑑レス、キャッシュレス化、業務レスを実現しました。会社のさまざまなデータの可視化と分析活用により業務改善や経営判断の高速化、業績アップに貢献しています。

さらに、自社の取り組みを生かし、企業のDX化を支援する業務改善コンサルティングを提供。自社のWebサイト上でデジタル化無料診断を行っています。

大学との連携により誕生した、デジタル人材育成プログラム

業務改善コンサルティングを事業展開していく中で、デジタルスキルを持った人材の不足、新人教育の難しさなど、課題解決のノウハウを提供したくても、顧客企業にはさまざまな課題を抱えていることに気づきました。

そこで東北コピー販売は、地元の大学である福島学院大学と協力し、学生向けのデジタル人材育成プログラムを立ち上げました。デジタル人材となるための素養を学んだ学生が地域の企業に就職をしてもらうことが目的で、この取り組みを行うことは間接的に自社や地域の企業、ひいては地域の活性化につながると考えたからです。

90分×4回のカリキュラムで、ノーコードツールの活用方法やDXの必要性を学生に教えています。カリキュラムの最後にはペーパーレス化を実現するためのアプリ開発に取り組みました。

終了後、学生から寄せられた感想からは、業務フローの整理により業務の取捨選択がしやすくなること、収集したデータを活用して新たな価値を創造することなど、DXの重要性と課題の理解が深まったことがうかがえます。

カリキュラムの様子はSNSにアップされ、それを見た卒業生から「こういった授業を受けられてうらやましい」といったメッセージが寄せられたり、学生が保護者に「困ったことはないか」と声をかけたりするなど、大きな反響を呼んでいます。

地域企業のDX推進を、デジタル人材育成や情報発信でバックアップ

東北コピー販売は、社内で引き続きDXを進めながらこれまでに培ってきたDXのノウハウをWebサイトやYouTubeで発信しています。また、地元の大学と連携して学生をデジタル人材に育成。大学でデジタルを学んだ学生を通して間接的に、デジタル化無料診断などを通して直接的に、地域企業のデジタル化推進を後押しできるようになりました。

福島のDXのトップランナーとしてのさらなる成長のために、IoTを使った健康経営や地元の大学と連携したデジタル人材育成など、さまざまなチャレンジを続けています。地域への貢献と、小さな一歩を重ね、福島県内で”住み続けたいまち”の実現に向けて取り組んでいきます。