株式会社つばさ公益社は「お葬式のお金の痛みをなくす」をミッションとする家族葬専門の葬儀社です。全国平均で約156万円かかるお葬式を68,000円から提供。24回までの分割払いに対応するなど、お客様目線のきめ細かいサービスが好評を博し、設立4年で長野県東部に5店舗を構えるまでになりました。葬祭業は電話・FAXが主で紙や手書きの多い職場ですが、クラウド化することで業務を効率化。ポイントは幅広い年齢層のスタッフに対応できるようスマホに特化した開発を進めたことです。結果として固定費を43%、人材育成の期間を75%削減することができました。365日24時間待機が必要で、ともすればブラック労働になりがちな葬祭業にあって週休3日、有休100%消化など見事な働き方改革を成し遂げ、信越総合通信局長賞に輝きました。「古くからのやり方」に囚われがちな業界の方はぜひ参考にしたい事例です。
株式会社つばさ公益社
所在地:長野県佐久市小田井906
創業: 2017年4月
事業内容:葬祭ホール
従業員数:14名
https://so-gi.com
経営課題

「葬式は不透明で高い」というイメージを変えたいと事業に取り組む中で、経営課題としてあげられるのは「低価格を無理なく継続できる経営」です。
地域には老舗のガリバー企業がたくさんありますが、当社のような零細企業がどう対応していくかを検討し、低価格を無理なく継続するためには、上記3点を条件にクラウド活用を進めることが必要だと考えました。
クラウド活用の効果

結論から言いますと、クラウド活用で従来に比べて固定費を43%削減することに成功しました。

かつ、組織スケールアップする上で重要になる人材育成期間を4分の1、つまり75%も削減することに成功しています。
経営課題として挙げたのは「低価格を無理なく継続」ですが、そのためのクラウド活用には、
3つの条件を挙げました。それぞれ説明していきます。
①誰にでも使いやすく

まず①誰にでも使いやすく です。
当社では22歳から69歳までの多様な年代の人が働いています。
そのため、シンプルで迷わないユーザー体験が必要だと考えました。
②働く環境をより良く

また、人はいつ亡くなるかわかりません。葬儀社は24時間体制で働いています。結果的にブラックになりやすい業態なので、最初から週休3日制への移行を決めました。
そうすると「昨日は休み」「明日は休み」という日が毎日続きます。無理なく続けられる環境づくりに取り組むことをクラウド活用の必要条件として掲げました。
③他拠点で離れて働く

さらに、当社には現在、5つの拠点があります。多拠点で働くには、たくさんの課題があるので、これらをクリアするために、スマホで完結するオペレーションを作ることを念頭に置いて、クラウド活用を進めました。
スマホ完結オペレーション

顧客管理・業務管理ポータルシステムはTrelloを中心に据え、仕組みを作りました。お客様情報と紐づいているそれぞれの発注やその履歴がありますが、葬祭業界はまだまだFAXがメインで使われています。
私達は電子FAXと業務管理ポータルを連携することで、スマホひとつで簡単に発注できたり、他の担当者が行った発注履歴を全文検索で追えたり、アップデートを確認できたりしました。並行して、メール発注にも対応できるようにしました。さらにGoogleWorkspaceを利用して、多種多様な情報をスマホネイティブ環境で利用しています。

出退勤や、モバイルレジ、見積もりの請求管理や発行はSquareやfreeeを使い管理し、モバイルで完結できる仕組みで運営しています。

日報管理についてはNotionを利用しています。簡単にデータベース公開ができたり、様々なパートナーとの連携がスムーズに進められ重宝しています。社内情報やマニュアルはConnectやSlackなどを活用して運営をしています。

我々の業務において中心になっている電話ですが、クラウドPBXの利用を進めています。電話が鳴ると、CTIで顧客情報を確認できるので、これによりお客様のニーズに沿った形で電話対応ができるようになりました。

スマホ 1 台で店舗管理できるようになったことで、管理コストが 1/10 以下まで改善しました。
店舗の無人化

現在ではクラウド型の遠隔接客を進めています。カメラやセンサー類を活用して店舗の無人化を進めています。
自社開発アプリの紹介


どのような機能があるかというと、まずは火葬場の予約機能。基礎情報を入力すると、自動的に LINE にお知らせという形で火葬場予約に必要な情報だけが、抜き出されて通知が届き、火葬場予約が簡単に行えます。その予約から逆算する形で、Googleカレンダーに葬儀・告別式の日程、火葬や通夜の日程、安置の日程が自動登録されます。

基礎情報の上に表示されている「Trelloリンク」をクリックすると、顧客情報が自動でTrello上に登録され、この画面からFAXやメールで発注ができるようになります。
合わせて発注履歴などの確認も可能になります。

また、その上の「日程表リンク」を押すと、Googleのスライドが起動して、日程表が自動作成されます。日程表の右上にはQRコードも自動添付され、このリンクから「オンライン弔問」として、当日その場に行けなくても香典やお花、弔電の手配をしたり、ライブ配信のお葬式に参加することもできるようになっています。

これらを通して大量の転記から解放され、携帯の中で情報管理でき、かつ全文検索に対しているためさまざまなデータ活用ができるようになったという事例です。

これらのクラウド化推進策を行うことで、週休3日制を定着し、有休消化率も100%。
さらに、全社の30%以上のスタッフが自由出勤となっており、テレワークで自宅や会社やカフェなど、どこにいても良いという働き方を実践しています。葬祭業界ではかなり稀なケースだと思われます。

おかげさまで、我々のビジネスは多くのところで評価をいただいており、
信州ベンチャーサミットと信州アクセラレーションプログラムで2冠を達成しました。
これからも、改良・改善を加えながらクラウドを活用し、今後も無理なく継続できる経営を続けていきたいと考えています。
つばさ公益社は「お葬式の痛みをなくす」に全力を傾けて、これからも取り組む所存です。
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