コロナ禍で一挙に広まったオンラインセミナー。オーナーズビジョン株式会社は、アパートを経営する大家さんの勉強会とコミュニティーとして「北海道大家塾」を開催していましたが、コロナによって定期的に開催していたセミナーが行えなくなってしまいます。そこで、情報が少ない中、手探りでオンラインセミナーを開催。内容をブラッシュアップし、セミナーの品質を高めることで、リアル開催では近隣の方のみだったセミナー参加者を全国に広げることに成功しました。現在では、リアル開催とオンラインセミナーを並行して行うハイブリットセミナーを実施することで、会員数のすそ野を着実に広げています。オンラインセミナーの実施を考えている企業には大いに参考になる事例です。
オーナーズビジョン株式会社
所在地:北海道札幌市豊平区平岸5条7丁目8−22第2平岸グランドビル2階
設立:2010年1月5日
事業内容:賃貸オーナー向け教育事業・コンサルティング、不動産売買仲介・企画、
J-REC 不動産実務検定北海道支部事務局、北海道大家塾事務局講習会、セミナーの開催
従業員数:7名
https://ownersvision.com/
北海道大家塾とは?

オーナーズビジョン株式会社では、アパート経営を成功させるための大家さんの勉強会とコミュニティーとして「北海道大家塾」を開催しています。現在、北海道大家塾では、勉強だけでなく交流もできるように懇親会も開催しています。
過去10年で開催回数がちょうど70回。参加した延べ人数は約4,000名です。
2021年9月末時点で、有料会員が約250名、無料登録が1,200名いらっしゃいます。
合計すると、約1,500名。事業規模は小規模ながらも、全国でも有数の会員数を誇る不動産オーナーのコミュニティーです。
コロナ前の北海道大家塾

コロナ前の北海道大家塾の様子です。このように、参加者180名ほどのリアルセミナーを行っていました。100名ほどの会場は毎回満席で、懇親会も行っています。
2020年3月緊急事態宣言 初のオンライン

2020年3月に、新型コロナによる緊急事態宣言が発令されました。
この頃にZoomというものがあると知ったので、約 1 ヶ月でZoomの使用方法をマスター。
2020年3月28日の北海道大家塾は、緊急事態宣言中ということもあり、Zoomによるオンラインセミナーに切り替えました。しかし、不動産オーナーのほとんどがZoomを利用したことがなかったため、この時の参加者はいつもの 1/3 程度。32名の参加に留まりました。
2020年5月 YouTubeライブで配信

2020年5月30日のセミナーでは、前回の反省をして「YouTubeであれば多くの方が見られるのではないか」という仮説を立てました。そこで YouTubeとZoomを組み合わせたWeb開催のテストケースとして、参加費無料で開催してみました。
すると、参加費が無料だったことと、 YouTubeで簡単に見られたことで、一気に参加者が113名になりました。この時はまだ手探りなので、後ろにモニターを設置し、そこにスライドを映しながら家賃支援給付金のお話などをしています。
この時に活躍したのが、当社の一番の若手社員の森です。
周囲でこのような YouTubeとZoomを活用しているところがなかったので、Zoomから YouTubeに接続して配信する方法は、ネット検索で探しました。それを何度か検証し、会社の会議室でテストを行ってからYouTube配信。
この時に参加した方は「久しぶり」「原田さんと画面を通じて会えた」など、たくさんの反響をいただくことができました。「やって良かったな」と思いましたね。
2020年7月 ハイブリットセミナー開始

2020年7月には、いよいよ会場のリアルセミナーと、WEB開催を同時中継で行うハイブリット開催を行いました。
今まではWebのみの配信だったため、事務所の会議室でしっかりと準備して行うことができたのですが、今度はこのセミナー会場を利用し、リアルで受講する方を交えたハイブリットです。
このWEB配信は、一般参加者に対しては有料セミナーとしましたので、事前カード決済の仕組みを導入したのはこの時です。

この時は会場参加者が43名、オンライン参加者39名。 合計82名の参加者になりました。
会場においては、講師の前にウェブカメラを設置。
ウェブからの参加者に、講師の顔を見ていただけるようにしています。
左上から、スタッフの森が配信準備をしている様子です。会場では、検温も行いました。
PCを2台活用して、Zoom配信とYouTube配信を同時に行っています。YouTubeはZoomから20秒ほど遅れて配信されるので、両方チェックするため2台使用になりました。
北海道大家塾の動員人数

セミナーの動員実績をまとめたものがこちらです。
7月に初めてハイブリットを始めてから1年3ヶ月。
コロナ前のように100名超えのセミナーを開催することができるようになりました。

実際の北海道大家塾の開催の様子です。
セミナー会場では、当時はバーチャル背景を使用していましたが、飛沫防止のフェイスガードにバーチャル背景が映り込んだりしてしまったので、現在は「北海道大家塾」とプリントされた幕を設置しています。
この時のゲストは、会場においでいただく予定でしたが、この時にも緊急事態宣言が発令。
講演者は東京からZoom配信という事態になりました。会場のスピーカーに音を出し、スライドを投影する、ハイブリットならではの対応となりました。
ZoomとYouTubeを使用したハイブリットオンラインセミナー

ZoomとYouTubeを使用したハイブリットオンラインセミナーについて少しご紹介しましょう。
もちろん、費用をかけて配信業者さんにお願いすることもできます。しかし、当社のようにあまり予算をかけたくない場合は、ZoomのProプランがおすすめです。月に2,000円負担するだけで、あとは基本的に無料でできます。非常にローコストです。
ただし、デメリットとしては、まず慣れるまで設定が面倒であること。
それから、 YouTubeライブを見ている方と基本的には会話ができません。
コメント欄に書き込みはできますが、当社では会場参加者の方に優位性を持たせるために、
オンラインでは書き込みできないというルールにしています。
注意点

オンラインセミナーの最大の注意点は、ネット環境です。
モバイルルーターでは速度が遅すぎますので、基本的には有線のネット設備、
速度は100mbps以上はある通信設備が必須となります。

また、ハードウェアとしてはまずWebカメラ。
こちらはロジクールのC922n PRO HDストリーム ウェブカメラです。こうした三脚スタンドもあると便利です。
Webカメラは、講師の顔を映す時だけ必要なのでそこまで高性能なものは必要ありません。
なぜなら、オンラインセミナーのほとんどは画面にパワーポイントなどの資料を映すからです。

オンラインセミナーでは音が重要です。
そのためには、マイクの音声を直接パソコンに取り入れる必要があります。

当社では、会場のマイクをスピーカーからPCのマイク端子に繋ぐという方法を取っています。
会場のマイクで話すと、会場の音響機材から音声が出ますが、Webの参加者の方には、
音響機材に取り込まれた音声が外部音声出力を通じて、パソコンのマイク端子に送られますので、音声がクリアに届く仕組みです。また、PCで再生された音は、ヘッドホン端子を通じて会場の音響機材から再生されます。
注意点としては、音響機材と外部音声出力が必要になるところです。
民間会場では整備が進んでいますが、公的な会場ではこうした機材をそろえていないところもあるので、会議場予約の際に確認しておきましょう。
できれば実際にロケハンに行って、そのセミナー会場に必要な設備が整っているか、WEB配信ができるかをテストするのがおすすめです。

当社がコロナ禍で1年かけてやってきたハイブリッドセミナーについて紹介しました。
全国で先駆けて安定したセミナーを行うことができるようになったので、セミナー参加者はコロナ前の水準にまで戻ってきています。さらに、オンライン配信品質が評価され、全国からセミナー参加者を増やすことができました。おかげで有料会員も増加しています。
現在は、セミナー申し込みについても、セミナー専用システムを導入し、
申し込み時にカード決済と共に、動画視聴のURLのお知らせをできるように対応しています。
参加者が多くなっても、対応は自動化していますので、現在は300名でも500名でもWeb 開催については問題なくできるようになりました。
コロナ禍が終わっても、ハイブリット開催の継続を決定しています。
より多くの方に認知していただくことで、会場においても多くの方を集客できるセミナーにこれからも育てていきたいですね。
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