事例

クラウドツール導入初の試みと定着化までの歩み 

お客様が「買いたい」と思っているタイミングを見誤ると、売れるものも売れなくなってしまいます。特にそれが大きな買い物であれば尚更です。アサヒグローバルホーム株式会社は、一生の買い物でもある「住宅」を販売する企業。近年の悩みは、モデルルームやイベントの来場者の減少だけでなく、購買につながっていないことでした。そこで、お客様のタイミングを見逃さないようにSalesforceのPardotを導入。60名もの営業社員からの反対、管理職からの抵抗に諦めかけるも、 トップ営業マンや影響力のある社員を味方につけ、3 ヶ月で 2 件成約、4000万の売上を上げる事に成功します。代表者からのトップダウンが難しい状況で、担当者としてどのようにクラウド化の推進を図るかという点においても、興味深い事例です。

アサヒグローバルホーム株式会社
所在地:三重県四日市市ときわ1丁目2-18
設立:1985年(昭和60年)(設立35年・創業45年)
事業内容:注文住宅・建売住宅の販売・設計・施工、賃貸管理、家具の輸入・販売、日用雑貨・装身具の販売など
従業員数:約240名
https://asahigloval.co.jp/

クラウドサービス導入のきっかけ

①来場数の減少

クラウドサービスの導入のきっかけについては、5点ほどあります。順に解説しましょう。1点目は来場数の減少です。こちらは過去5年間の来場数と契約数をまとめたものですが、契約だけを見ると5年前より上がっています。しかし、来場数を見ると、過去5年で約1割減少です。つまり、お客様が減っています。大きな危機感を感じました。

②離脱数の増加

2 点目が離脱客の数。こちらはお客様がどのステージでどんな理由で離脱していたかをまとめたものです。

離脱する理由は色々ありますが、結論として 100 組来店されても 80 組が離脱しているという状況でした。非常に生産性が悪い形になっています。「生産性を上げる何かをしなければ」と考えたこと。それが導入のきっかけです。

クラウド導入にあたり問題を4つに絞る

クラウド導入にあたり、問題を 4 つに絞り込みました。

1 点目が資料請求をしてこられて資料を発送しても、その後のアポが取れないお客様。

2 点目がイベント目的。当社は数か月毎に、セミナーやビンゴ大会などのイベントを行っています。イベントには来ていただけても、その後アポが取れない方が多くいました。

 3 点目がモデルハウス来場客。モデルハウスの見学には来ていただいても、その後の商談に繋がらないお客様です。

4 点目がフェードアウト客。 一度はご提案をするのですが、契約に至らず途中でフェードアウトされていくお客様です。

この 4 つの問題点の共通点は「営業とお客様の熱感のギャップ」でした。

クラウドを導入してギャップをなくす

「熱感のギャップ」とは、当社の営業は「早く決めてもらいたい」ので、次回の日程を決めたいと思っています。しかし「じっくり考えたい」「いろいろな家を見てみたい」「もっと勉強してから考えたい」と思われているお客様もたくさんいらっしゃいます。

そこに営業とお客さんの熱感のギャップが生まれるのです。このギャップを取り除くには、お客様の熱感を上げる「育成」と「見える化」が必要と考えました。
そして、この機能を満たすSalesforceのPardotを導入することにしたのです。

Pardot(クラウド追客システム)の活用と成果

Pardotの活用について解説しましょう。

当社のイベントや施工事例集でシナリオメールを組み、お客様に自動送信します。送信されたメールに対し、お客様が興味があると「反響」という形で見える化されます。

熱感がわかった状態で、営業が次のアクションを起こしますので、お客様のタイミングに合わせて営業ができることがメリットです。

お客様の熱感がスコアでわかるシステムもPardotには入っていますので、点数が高いお客様は熱感が高いとわるようになっています。

そのため、新入社員が営業コールをしてもアポが取れる状態になりました。
結果として、本格的に初めて 3 ヶ月ぐらいなのですが、 2 件の受注をいただくことができ、4000万の売上を上げることができています。

成果を上げるまでの困難

現状では成果が上がっていますが、これまでには大変な困難がありました。
1 点目は営業 60 名の反対です。新しいものを入れることについては、営業から
「仕事が増えるんじゃないか?」「時間をかけて入力して本当にメリットが出るのか?」という声が上がり、非常に反対が多かったです。


2 件目が各店長の新しいものへの反対です。Salesforceを使うことによって報告資料が変わってしまいます。見慣れた報告書じゃなくなることに対する反対や「どうせすぐなくなるから自分はやらない。部下だけやらせとけばいい。」という店長たちからの反対があり、なかなか浸透しませんでした。

正直「ここまで反対されるんだったら……」と、私も少し諦めの姿勢になりかけました。

しかし、社員の一言で私は生まれ変わったのです。

浸透しない理由に気づく

「どうして会社でやると決めたのにみんなやらないんですか?私たちは真剣にやっているのに!」という営業アシスタントからの言葉でした。

これを聞いて、私は大・大・大反省をいたしました。

「お前がやると言ったのに逃げるのか」と言われてるような気持ちになったのです。

私は「リーダーとは周囲を引っ張り結果を出し続ける人」を信念として、携帯の待ち受け画面にも貼っているぐらいなのですが、今回のクラウド導入については何も結果を出していないし、他人任せになっていたのです。

つまり、一番の問題は私にあったと気づくことができました。

やれる仕組みづくりを考える

それから、私は「やれる仕組み」を考えなければと思い、大きく 3点を変更しました。

1 点目は、トップ営業マンや影響力のある社員をプロジェクトメンバーへ入れるということです。彼らを味方につけてプロジェクトに引き込むことで、関心を集める仕組みを作りました。

2 点目がSalesforceを活用をしなければ、責任者が困る制度作りです。

会議等で使う資料をSalesforceを入力しないと出来上がらないフォーマットに変更しました。上司たちは資料が出せないので、部下への入力を促すという状態を作り上げたのです。

3点目がリーダーの教育です。

新しい仕組みは、まずは上司がやらなければ絶対に浸透しません。何度も店長を集めて説明会を実施しました。

その結果、全体への浸透に成功し、今では営業 60 名がSalesforceを活用しています。

今後の方針

今後の方針としては、1 点目は担当を採用して本格的な営業サポートをおこなうインサイドセールス部門を設立したいと考えています。店長にかかっている負担軽減と、一層の業務効率化が目的です。

2 点目がBIツールの「Tableau(タブロー)」を使用した商品開発やマーケティングです。Salesforceをしっかり入力してれば「お客様がどれくらいの年収なのか」「どの地域ではどの商品が売れているのか?」などの情報をわかりやすく可視化した表が作成できます。

まとめ

今回の事例を通じて、クラウド導入の定着化は「いかに社員を巻き込み、リーダーが周囲を引っ張っていくか」が成功の鍵だと考えるに至りました。これからも新しいシステムを活用し、より一層の生産性向上に努めてまいります。

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