全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。
2022年10月28日に行われた「北海道・東北大会」より、電気工事会社のDX推進を、新卒のメンバーが中心に取り組んで成果を上げた、大鎌電気株式会社の事例をご紹介します。
大鎌電気株式会社の概要
■法人名:大鎌電気株式会社
■事業内容:一般電気工事業、電気通信工事業、消防施設工事業
■設立:1945年10月
■公式Webサイト:https://www.ookama.co.jp/
はじめに
弊社は北海道函館市の電気工事会社で、今年創業77年目を迎えました。
社員数は22名、同業種と比べて女性比率が高く、平均年齢も33.1歳と、かなり若い会社です。
業務内容としては電気設備工事、電気通信工事、消防施設工事を主に行っております。またSDGsにも力を入れており、社屋に看板を設置するなど積極的に取り組んでおります。
ご存知の方もいるかと思いますが、弊社がクラウドコンテストに出るのは今回で3回目です。
1回目はスパイダープラスというソフトを使った残業時間の削減。
2回目が、リストファインダーというツールを使った新人教育の強化。
そして今回紹介するのが、kintoneの活用です。
私は、kintone運用推進プロジェクトチームの一員なのですが、なぜ新卒の私が、プロジェクトチームのメンバーとなったのでしょうか?それは、大鎌電機の最近の動きを見て いただくと分かります。
新卒者を中心に立ち上がったDX推進プロジェクト
直近7年の弊社の流れをまとめてみました。
もともと公共工事メインで施工を行っておりましたが、他社との差別化を図るべく、2018年に省エネに特化した法人向け省エネ事業を開始しました。
そしてさらなる差別化のために2020年より一般家庭に特化した事業(イメージとしては電気のお困りごとがあればすぐに駆けつけます、といったもの)を開始するはずでした。

ところが、私が入社した2020年、コロナ禍の影響で、入社して2週間ほどで会社が休業期間に入ってしまったのです。
休業期間中、社長は考えたようです。
一般家庭向けに特化した新規事業に向けて、新卒8名を採用してい ましたが事業の延期を余儀なくされ、活用できない状況になってしまいました。
また、お客様からも工事の延期を依頼されたり、対面での接触が難しくなっていました。
これらをすべて解決してくれる手段はないだろうか?と考えていた時に浮かんだのがDXだったそうです。
そこで採用した新卒8名を中心に、DX推進体制を取ることになりました。

それぞれの部署で必要なクラウドツールごとにプロジェクトチームを結成し、推進していくことになりました。
その中で私が配属されたのがkintone推進プロジェクトチームだったのです。
まずは課題の洗い出しから
プロジェクトチームの動き出しに伴い、まずは問題点を洗い出すことにしました。
従業員数が7年間の間で5倍になり、人数が増えたことで「この案件ってどこまで進んでいるっけ?」「この工事内容、伝えたっけ?」といったコミュニケーションミスが生まれているという意見が上がってきました。
なぜコミュニケーションミスが発生してしまうのか、原因は大きく分けて2つあることが分かりました。
1つ目は、コミュニケーションツールの煩雑化です。
従来は電話、口頭、ライン、メールといった様々なコミュニケーションツールを使っていました。
それにより人や情報の抜け漏れの発生、様々なツールを使いすぎて「連絡した・された」を忘れる、というような問題が発生していました。

そこで、コミュニケーションツールを統一しようという結論に至りました。
2つ目の課題は「案件情報のブラックボックス化」です。
従来は Excelやスプレッドシート、あるいは各々の頭の中で案件情報を管理していました。

しかし例えば工事部だと、担当者が急病で入院したなどの緊急時に、工事の引き継ぎが円滑にできなかったり、営業部だと、営業担当しかその案件の進捗がわからないといった問題がありました。
そこで、「案件情報の見える化」も必要だと考えました。
2つの課題を解決することはもちろんですが、クラウド運用の際に重要な「誰でも簡単に使いやすい」というポイントを踏まえ、3つすべてを叶えてくれる kintoneを導入することにしました。

kintoneで課題を解決
kintoneは株式会社サイボウズのソフトで、開発やプログラミングの知識がなくてもすぐに業務アプリの作成が可能なクラウドツールです。
例えばプログラミングをせずとも、案件管理や進捗管理などのアプリを作成できます。
こちらは弊社のUIです。たくさんのアプリと掲示板を活用しています。

kintoneの魅力は、すべてのシステムを自社のやりたいように、好きなように作成できることです。また、スマートフォンにも対応しているため、いつでもどこでも情報を確認することができるのも魅力の一つではないでしょうか。
kintoneのどのような機能が課題の解決につながったのか、詳しくご説明します。
課題①「コミュニケーションツールの統一」

「掲示板」「スペース機能」が解決してくれました。
簡単に言うとチャット機能を全てkintone内でできるようになったのです
いくつもグループを作ることができイメージとしてはLINEグループのようなものですが、 LINEとの違いはメンバー以外もチャットを閲覧可能なことです。
たくさんあったコミュニケーションツールをkintone1つで補うことでコミュニケーションツールの統一に成功しました。
課題②「案件情報の見える化」

これは「案件管理機能」が解決してくれました。
特にkintoneで役立っているのが「案件の進捗管理」「案件ごとのチャット機能」の2つです。
各案件の進捗を見える化でき、案件ごとにチャットもできます・
今、どのような流れでこの案件が進められているのか、案件管理の画面を見るだけでわかるようになります。
メール・LINE等の他ツールだと、案件が多ければ多いほど、どこのチャットで会話をしたのかが複雑になりますが、kintoneは案件ごとにチャットが 使えるので、すぐにどこの案件の話かがわかり、また昔の会話もチャットを遡るとすぐに振り返られるので、とても便利です。案件の引き継ぎも簡単になりました。
kintone導入で、むしろ対面コミュニケーションが活発になった
kintoneで案件情報が共有されたことで、例えば工事部だと「この工事はこの人が得意だよ」「同じような工事が前にあって、ここに気をつけながら進めた方がいいよ」、営業部だと「このお客さんはこう攻めた方がいい「 以前、この価格では受注できなかったから、少し一緒に考えようか」というように、情報だけではなく経験の共有が自然と発生しました。
クラウドを導入すると、すべてツール内でコミュニケーションが取れてしまうので、対面でのコミュニケーションが減ってしまうのでは?という疑問が私自身あったのですが、逆に情報が見えることで 、対面でのコミュニケーションが活発になったのです。これもコミュニケーションミス減少の理由の一つと言えるでしょう。
まとめ
今まで様々なコミュニケーションツールを使用していましたが、すべてkintoneに統一。
そしてブラックボックス化していた案件情報をkintone活用し、見える化することに成功しました。
kintoneを使えばいつでもどこでも誰でも情報を確認できるようになり、コミュニケーションミスが大幅に減少しました。
おわりに
kintoneを活用したクラウド化の取り組みはまだまだ改善の途上にあります。
これからも、より働きやすい環境になるよう、kintoneを活用していきます。
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