事例

【株式会社 赤坂ボーリング】田舎の土建業で、女性が中心となった働き方改革。きっかけはクラウドツールの導入 

全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。

2022年10月21日に行われた「近畿・中国・四国大会」より、土建業におけるクラウド活用を進めた株式会社 赤坂ボーリングの事例をご紹介します。

株式会社 赤坂ボーリングの概要

■法人名:株式会社 赤坂ボーリング
■事業内容:

さく井工事、地質調査、井戸清掃、給排水設備工事、整水器の販売取付工事保守管理

ケミカル製品製造販売(芳香・消臭剤、除菌剤、各種洗剤)

■設立:昭和56年7月
■公式Webサイト:https://i-ido.com/

2018年まではアナログ業務だった

当社は、さく井工事業を中心として、 設備工事や化学製品の製造・販売を行っています。

主力事業のさく井工事は、上水道の普及によって需要減少が 続いていましたが、近年は豪雨災害などによる断水に備えるため需要が急増しており、ボーリング工事だけでなく、古井戸の再生事業も増えております。 

2018年、西日本豪雨災害の直前まではアナログな会社で、私自身もガラケーを使用しておりました。

メールアドレスは代表アドレスが1つだけ、FAXで届いたデータを印刷し、経理スタッフが印刷物を束にして運んでいたり、向かいにある工場へデータを持っていく際には、USBメモリに保存して持って歩いていくような環境でした。40年間溜まった2000件の顧客データは全て紙という状態でした。また、大部分の従業員が日中は現場に出ていることが多いので 従業員同士の連絡や、帰社してからの事務仕事による残業時間の増加が問題になっていました。

豪雨災害以来、急激な仕事の増加に伴って、従来の環境では仕事がうまく回らない状態に陥っていました。また、事故対策という観点も踏まえ、デジタルに強い会社をパートナーに迎え、社内の基本インフラの クラウド化を進めつつ、定期的な勉強会を開催して、クラウドツールの定着・習慣化を進めていきました。

Google Workspaceの導入で大きく変わった

アナログ業務ばかりだった社内は、Google Workspaceの導入で大きく変わっていきました。

まず、2000件以上の顧客データを、誰もが簡単に見れる仕組みを考え、まずはそのデータ入力から始まりました。データを1件ずつ見直し、住所の詳細、名前が変わっているところ、電話番号なども細かく調べて入力していきました。

情報を入れていくのはかなり時間・日数がかかりましたが、データ化後は、全てGoogleマップ上で表示できるようにし、個々がGoogleアカウント、iPadを持ってスケジュールおよびデータ共有ができる環境を整えることができました。

今では、どこに行っても現場に関する情報がスマホで確認できるので、地域の人に咄嗟に

「この周りの水の状況は、どうなってるの?」などと尋ねられても、「ちょっとお待ちください」と周辺の施工データを参照し、迅速に回答できるようになりました。

このデータ入力は、小さいお子さんをお持ちの女性社員に、在宅で作業できる環境を整えたことで実現しました。学校が休校になった場合などに、1週間につき、1日半の在宅勤務を取れる仕組みにしています。今までの紙データを、Googleスプレッドシートの同時編集機能を使って、データ化に取り組んでもらいました。

社内連絡網はLINEからChatWorkに

社内連絡も、LINEからChatWorkに置き換えました。

これまでは、電話連絡が多くて、状況把握に課題がありました。専務のデスクトップ画面の周りに、メモを記した付箋がベタベタと貼ってあるような状況で…。

そこで、社員全員に 会社支給スマートフォンを渡し、ChatWorkで現場の動きや、会社への入電情報などを共有し、現場の動きを社員全員で把握できるようにしました。

チャットワークの便利な使い方として、グループチャットのフル活用に尽きます。

お客さんの名前・電話番号で検索できるようになり、過去のやり取りや、ご依頼の進捗状況などを すべて把握できるため、お客様への対応品質・スピードが劇的に向上しました。

グループチャットのより良い活用法は、社内勉強会で意見を出し合って、探っていきました。

今では、全員の状況・行動など、すべてChatWork上に集約できています。

「連絡し忘れ」「言った・言わない」といった状況が、ほとんどなくなりました。

管理者の私としても、みんなの行動や情報がChatWork上でほぼ全てわかるので、出張に何日か行ったとしても、これを見ていれば本当に安心できます。

みんながChatWorkを使うことによってすごく変わったのが、事務と現場の距離が縮まったことです。

今まで現場の人でしか判断できないことも、少しずつ事務もわかるようになって「誰にどう伝えるか」「この状況の場合、どうすればお客様への早い対応ができるか」と判断できるようになってきました。

月末に行う「報連相会議」でも、あったことをただ報告するのではなく、その状況をどう解決するか、みんなの意見を聞く雰囲気が、少しずつ生まれてきているように思います・

弊社は全体の人数が10人なのですが、うち4人は女性です。毎週、女性の意見交換会が行われており、お客様対応や、社内の雰囲気も少しずつ変化しているように思います。 

ChatWorkはGoogleカレンダーと連携させています。自分の予定がみんなに分かってもらえて、「何日なら都合を合わせられる」とスケジュールをスムーズに伝えることができるようになりました。 

さまざまなツール導入で変わりつつある社内

Google Workspaceと、ChatWork活用について詳しく話してきましたが、以下のようなツールも現在、使用しています。

デジタル活用でスピードが格段に向上し、デジタルに抵抗感・苦手意識を示していた社員も、少しずつ理解が深まってきました。 

重要な情報はデジタル・クラウドの中にあり、みんながそれにフォーカスするようになったことから、「一人だけデジタルは苦手、嫌だ」と言っていてもダメだということに気づいてもらえたかなと思います。 

デジタル化で大切にすべきこと

デジタル・クラウド化で大切にしなくてはいけないのが、個人の頭の中にあるデータを、どうやって残していくか、次に伝えていけるか、です。

デジタルだけでは、どうしても難しいところもあります。そこは、しっかりアナログも活用して、現場を確認することも大事です。

既存客との会話、社員同士の情報交換、管理者と社員の対面での会話…これらをしっかり生かしながら、デジタル化も進化させていけば、明るい未来が開けていくのではないかと思っています。

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