事例

【株式会社中林工務店(旅荘つゆくさ)】民宿フロント業務の無人化システムの構築 

全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。

2022年10月14日に行われた「東海・北陸大会」より、民宿フロント業務のDXを実践した株式会社中林工務店(旅荘つゆくさ)の事例をご紹介します。

株式会社中林工務店の概要

■法人名:株式会社中林工務店
■事業内容:
旅館・一般住宅の企画、設計、施工
土木工事
旅館、浴室の改装
木彫り看板の作成
ステンドグラス・万華鏡の製作
水車、薪小屋、バイク車庫、木工製品の製作
温泉旅館の経営
古民家の販売
生ゴミ処理機販売代理店
■設立:1992年3月
■公式Webサイト:https://nkbys.jp/

民宿フロント業務のDX

当社は、岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷にある建設会社です。

主な事業は建設業ですが、民宿も運営しております。


今回ご紹介するのは、民宿を持続的に経営できるよう、リモートロックシステム活用でフロント業務の撤廃を実現した取り組みです。

「旅荘つゆくさ」は奥飛騨温泉郷・平湯温泉にある8部屋の小さな宿です。中部山岳国立公園にあり、豊富な自然環境が守られ、有名な上高地までバスで30分という立地で、年間を通じて登山客や観光客、外国人観光客で賑わっています。

ところが最近では、コロナの影響より大変厳しい状況が続いています。

取り組みのきっかけ

宿の運営は当時83歳と79歳の高齢の私(=中林工務店社長)の両親が行っていました。

何とか両親が宿の経営を長く続けていけないか?と考えたことが取り組みのきっかけです。

そこでリモートロックシステムを活用し、ドア開閉システムを構築、フロント業務の撤廃に取り組むことにしました。

リモートロックは、クラウド型入室管理システムです。 IoTを活用したシステムにより、ネット回線で客室ドアを開閉ができるため、鍵が不要になります。 そのため、フロントでの鍵の受け渡しがなくなり、非対面化を図ることができます。 

宿泊予約サイトから予約するとメールで4桁の部屋鍵番号が送られてきます。 宿泊者はメールで受け取った部屋番号を客室ドアの端末に入力することで入退室ができる仕組みです。

導入で工夫した点

平成30年当時、日本では「つゆくさ」だけの取り組みでした。

システム導入に際し工夫した点は、

・現金の受け渡しをなくすため、予約時にクレジットカード決済オンリーに
・館内説明動画を流し、スタッフ説明をなくす 
・お客様のトラブルシューティングとして、玄関にタブレット端末を設置。テレビ電話で対応。
・インバウンド対応のため多言語化
・周辺温泉街に多数の飲食店があるため、食事の提供をやめ、素泊まりのみのサービスに変更

もともと

宿泊予約サイトのAirbnbとリモートロックだけのシステムでしたが複数の OTA(Online Travel Agent=オンライン・トラベル・エージェント)とも紐付けしました。

フロント業務撤廃に伴い、新たな課題も想定されましたが、 様々な工夫により近くにスタッフがいなくてもお客様に対応できる環境を整備、インバウンドへの対応や、泊食分離のニーズ対応など、課題をクリアしました。

フロント業務を撤廃した分、他サービスが充実

リモートロックシステムの導入で、フロント対応がなくなった分、業務効率化ができて他業務に費やせる時間が生まれ、おもてなし力アップができました。

そしてお客様にとっては、チェックイン時間はいつでも可能になりました。

このシステムは導入当時の平成30年はインバウンド客が増加している時期だったため、導入前と導入後では売り上げが21%アップしました。また、インバウンド客は年間1926名利用し、地域内の民宿としては群を抜いてトップの集客数でした。インバウンド客の素泊まりニーズに合致した結果であると考えています。

しかし、予想だにしなかった令和2年からの新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド客はゼロベースになり、売り上げも大幅に減少してしまいました。

奥飛騨温泉郷には約100件の宿泊施設がありますが、追い風であったインバウンドの客もゼロ、日本人観光客も自粛により大幅に減少しました。

そのような状況下で、次に実施したのが 感染症対策と、ワーケーションスペースの構築です。

感染症対策として、衝立や抗菌畳、床材などに対応しました。
また、素泊まりで使わなくなった食事処を改修し、ワーケーションスペースを設置し ました

今ではこのワーケーションスペースで仕事をしながら温泉に入るといった「温泉ワーケーション」で多くの方々にご利用いただいています。

最後に

「つゆくさ」は開業して50年ほど経ちますが、大がかりな建て替えなどの設備投資をしなくても、少し手を加えることで集客できると考えます。
今後も、持続的な経営ができるように顧客ニーズに対応しながらサービスを提供して参ります。

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