全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。2022年10月21日に行われた「近畿・中国・四国大会」より、グループホーム業務のDXを実践した相生株式会社の事例をご紹介します。
相生株式会社の概要
■法人名:相生株式会社
■事業内容:
・障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業 共同生活援助(グループホーム)
・相談支援サービス事業
・短期入所事業
■設立:2015年2月
■公式Webサイト:https://www.aioi-co.com/
スタッフ50名の勤怠管理が課題
相生株式会社は、障がいをお持ちの方に向けた生活介護・相談支援を行っております。
大阪市住吉区と八尾市にグループホーム、短期入所施設、相談支援事業所の9箇所を運営しており、50人のケアワーカーにきめ細やかな対応をしていただいております。
児童から成人にまで 顧客の将来に寄り添った支援をしていることが強みです。
グループホームは、入居者の自主性を尊重し安心・安全で限りなく家に近いグループホームを運営しております。
相談支援事業は、実績14年以上のスタッフが地域密着型で展開しており、保育士の資格を持っているスタッフが児童にも対応してくれています。短期入所施設は 他社で入所を断られた利用者さんの受け入れを行っております。
今回のデジタル化以前に、当社では5つの課題を抱えていました。
一つ目は、全事業所9か所を回って、半日の時間を費やしてタイムカードを集めなくてはなりませんでした。
二つ目、ケアワーカーはタイムカードを押すために外出先から一旦事業所に帰らなければならず、不満の声もありました。
三つ目、勤怠管理に多大な労力がかかっておりました。 ケアワーカーの勤務時間をタイムカードから拾って手作業で計算、毎月の勤務シフト表も手作業で作成していました。
四つ目、外国人のケアワーカーも勤務しており、手書きの日報作成にとても苦労しておりました。
五つ目、コロナの影響でケアワーカー全員での会議や集合研修の開催ができなくなってしまいました。
コロナ禍でもあるべき姿を目指して取り組んだこと
コロナ禍でも、デジタル化により間接業務の軽減や、生産性の向上を図り、職員の働くモチベーションとサービスの質を底上げし、会社の持続的な成長を図りたいと考えました。
そこで、大阪商工会議所の経営指導員に相談し、ITビジネスアプリ導入サポートデスクを活用、専門員さんと一緒に三つのことに取り組みました。
一つ目、勤怠管理のクラウド化。
二つ目、営業日報のクラウド化。
三つ目、会議や研修のオンライン化です。
勤怠管理のクラウド化には、「ジョブカン勤怠管理」を導入いたしました。

よかった点は、勤務時間計算や、タイムカード回収の手間を省くことができました。
外出先から打刻ができ、ケアワーカーの負担が軽減され、 不満の声もなくなりました。
また、社内全員でシフトの共有化ができるように なりました。
課題点は、夜勤の場合は日をまたぐ打刻となるため2日間の勤務とカウントされ、手作業での修正が必要となっていることです。
業務日報・管理日誌の作成には、kintoneを導入しました。

顧客の声を社内に共有でき、顧客対応の場面でケアワーカー同士の意思疎通ができるようになりました。外国人のケアワーカーは音声入力で日報を作成することができ、不満の声がなくなりました。また、1回の入力で日報や連絡帳などに複写が完結するようになりました。
このKintoneの導入によって、今までは事務関係で掛かっていた時間を、利用者さんの支援に充てることができるようになり、とても良くなったという意見を聞いております。
三つ目、ZOOMでオンライン会議・研修を実施するようになりました。

密を避けることでコロナの感染拡大を防止でき、また、ケアワーカー関連の情報共有・研修により、コロナ禍でも安定したサービスを顧客に提供できました。
ZOOMを導入することで、遠方から通勤しているスタッフや、複数施設での勤務を掛け持ちをしているスタッフの会議出席率も大いに向上しました。
デジタル化取組後に起きた6つの変化
デジタル化取組後に、6つの変化が見られました。
一つ目、職員間のコミュニケーションが活性化しました。
二つ目、コロナ禍でも顧客サービスの質を維持することができました。
三つ目、気持ちよく働ける職場の実現ができました。
四つ目、運営事務所のスタッフの勤務体制の改善を図ることができました。
五つ目、人為的なミスが減少しました。
六つ目、さらなるデジタル化への意欲が高まりました。
デジタル化成功のコツ
デジタル化成功のコツをお伝えしたいと思います。当社では、デジタル化の推進体制を作りました。OJTの仕組みづくりです。
正直、このデジタル化を導入するにあたっては、ベテランスタッフからの反対の声や拒否反応もありました。そこで OJTの仕組みを作りをすることで、若手スタッフからベテランスタッフに教える体制を作り、その中で活発なコミュニケーションが生まれました。
二つ目は、初期費用をかけないことです。まずはやってみる。
1からシステムを導入をすると、莫大な費用がかかりますが、 ジョブカンや Kintone、Zoomを利用することで、費用をかけずにデジタル化を推進することができました。
最後に
まだまだ課題点もありますが、現状の課題点を振り返り、評価しつつ、今後さらなるデジタルを進めていきたいと思っています。
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