全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。
2020年11月18日に行われた岡山大会より、ナカガワ・アド株式会社の事例をご紹介します。広告代理業だけでなく、飲食と宿泊業も運営するナカガワ・アド株式会社は、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな影響を受けています。そのような中、飲食のテイクアウトと場所のシェアリングを組み合わせた新サービス「テイクシェア」を考案。地域コミュニティーを盛り上げ、コロナ後の“リアル”の復活に向けての活動をされている事例です。
ナカガワ・アド株式会社の概要


■法人名:ナカガワ・アド株式会社
■事業内容 :
・広告代理業
・広告デザイン・印刷
・ブランディング・CI・VI
・セールスプロモーション
・サイン
・WEBデザイン
・イベント企画・運営
・あど畑事業
・飲⾷業
・宿泊業
■創業:1960年1月
■従業員数:9名
■公式WEBサイト:http://www.adjapan.jp/
#地域のおいしいをシェア
#場所をシェアしよう
#テイクアウトしたものをみんなでシェアしよう
ナカガワ・アド株式会社は、徳島県の広告代理店。
広告関係の他に飲食業、そして宿泊業も運営しているという特徴があります。
CORONA SURVIVAL-新型コロナウィルスによる飲食・宿泊・観光への影響
新型コロナウイルス感染症は、四国における飲食業・宿泊業・観光業に対しても大きな影響をあたえています。
コロナによる影響で気づいた「コミュニティーの⼤切さ」
飲食業や宿泊業が自粛・休業状態になり、地域では大変な状況に。自粛生活が続くことで、人と会って会話を楽しむ機会も減り、地域のコミュニティーや交流も減っていきました。
いつも元気だった飲食店さんや宿泊施設の皆さんも活気がなくなってしまったのです。
先行きの不安があるなかで、地域の⽅も不安な⽇々を送っているはずです。
そこで、
「何とか、飲⾷店や宿泊施設・住⺠に笑顔をお届けしたい」
「元気な地域を取り戻したい」
という気持ちで、地域の方にもお役に立てるようなサービスを考えはじめました。
新しいサービス「テイクシェア」

そこで考えたのが、飲食のテイクアウトと場所のシェアリングを組み合わせた「テイクシェア」です。
コロナの影響で、移動とともに仲間とのコミュニティーも制限されています。⽇本全国で飲⾷店におけるテイクアウトが増えました。宿泊所も運営ができなくなってしまい、場所だけが余っている状況です。
地域のテイクアウトサイトは沢⼭出来ています。しかしこれまで外食していた頻度でテイクアウトを利用して自宅で⾷事をするのは非現実的です。
そこで、宿泊施設などの場所を使って、家族や仲間内だけでテイクアウトした食事を楽しむことができるサービスとして「テイクシェア」のシステムを考案しました。
具体的な流れを見ていきましょう。

まず、第1ステップとして、施設を選んで予約します。徳島では今は7箇所です。
規模の⼤きい宿泊施設は、地域にはあまりありません。自社でも運営している小さなゲストハウスやホステルを対象としています。

次に、テイクアウトする料理を選びます。各市町にテイクアウトのプラットホームがあり、地域によっては、冊⼦なども制作していますので、そちらから注文が可能です。

美馬市においては、タクシー会社によるデリバリーの配送サービス「ミマデリ」が開始されました。タクシーでテイクアウトの料理を指定の場所までまで運んでくれるサービスです。
都市圏であれば「Uber EATS」などのサービスがありますが、ローカルには展開されていません。「ミマデリ」の依頼は、LINEですることができます。こちらは自宅でのテイクアウトでも利用可能です。

「テイクシェア」の新しい部分は、予約した施設に料理を持ってきてもらうことで、近場のスペースで非日常を楽しむ「マイクロツーリズム」の実証実験も兼ねていることです。
移動が制限される中、料理をテイクアウト注文し、タクシーで所定の場所に配達してもらい、少⼈数で楽しむことができるクラウドサービスがあれば、近場でなるべく不特定多数の人と接しない状況でも楽しむことができるでしょう。
これをローカルで実現することに「テイクシェア」の意義があると考えています。
飲⾷・宿泊・観光の復活に向けて
アフターコロナの飲⾷・宿泊・観光の復活に向けての考え方ですが、まずは地域からと徐々に広がっていくのではないかと考えています。
自社の領域は県内から四国。「テイクシェア」は都心部ではなくあくまでローカルのサービスとしてこの領域で展開予定です。
持続可能な「考え⽅」


サスティナブル、持続可能な考え方としては、テイクシェアは一番右の「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に該当すると考えています。場所の利活用として、飲食における利用を促すことで、資産の稼働率をアップさせることが可能です。
経営課題(達成⽬標)に向けて
それぞれのサービスにおける経営課題(達成⽬標)は以下の通りです。
テイクシェア:8カ所から20カ所へ
クラウドサービスにおいて、現在は徳島県内にて8カ所の宿泊所登録があります。シェアリングサービスの為、地域のコミュニティーが大事です。今後は、県内20カ所の登録を目標とするとともに料理⼈のシェアリングなど、スキルのシェアも地域の⼈材を助けることにもなると考えています。
ミマデリ:登録者数1000名を目指して
LINEを利用したタクシーの宅配サービスミマデリは、現在600名の登録があります。こちらは、市(⾏政)との連携を強め、登録⼈数を1000名まで伸ばしていく予定です。
強み(クラウドサービス)に向けて
ナカガワ・アド株式会社は広告会社であり、情報をインプット・編集し発信するのがミッション、そして強みです。
「テイクシェア」を全国に普及し、同じような境遇にある方のお⼿伝いが出来るシェアリングクラウドサービスにしていきたいと考えています。
⽇本全国には、魅⼒的な⾷や場所が沢⼭あります。移動・旅⾏などができない場合は、その土地のものお取り寄せできるようにすることで、地域の飲⾷店の応援が可能です。また、その場所を訪れたときは安⼼な宿でワーケーションが出来る環境を作って⾏きたいと考えています。
復活へのシナリオ
今後の復活へのシナリオです。
現在、GOTOトラベルやイート、イベントの緩和がなされていますが、需要が戻ってくるのは2021年3月以降ではないかと考えています。
そして、市場規模はインバウンドがない分50~70%程度でしょう。そうなると企業は体力勝負です。活用できる支援メニューを最大活用するとともに、業務改善によるコスト削減は必須でしょう。
また、afterコロナに向けての価値観の変容に合わせた事業転換が求められるでしょう。
ネット販売やクラウドサービスは必須です。
価値観の変容

移動の価値、宿泊(場)の価値、食の価値、ネット販売の進化など、コロナ前後で価値観は大きく変わり、同じ状況に戻ることはないでしょう。
この価値観の変容にあわせて「新たな価値」を作っていく必要があります。
新しい価値の創造

新しい価値の創造としては、地域での集客がより一層大事になる、地元に目を向けるということになります。
特に地域と人、これが一番重要なポイントです。
地域の文化・食・観光などの資源を、どうやって広めていくかと考えたときに、クラウドサービスの活用によって、コミュニケーション、コミュニティーが発生するのではないでしょうか。
スキーム

スキームとしてはお客様、地域、自社の連動を考えています。
お客様
お客様については、引き続きに移動に制限がかかる時期が続くでしょう。特に重症化リスクが⾼いとされる⾼齢者は、本⼈もさることながら、家族の反対で「お出かけ」し難い状況が続きます。
そんな時に、ご⾃宅にいながら⾷を楽しむ事ができ、家族のコミュニケーションを取ることで「⼼の健康」にもなるのではないでしょうか。
また、近場でも自宅以外の場所で、ソーシャルディスタンスを守りながら少人数でも集まることで、気持ちもリフレッシュできます。
地域(パートナー=お取引先)
観光客が激減し、売上も減少しています。特に観光地は、地元より観光客からの売上が⼤きいため、影響が大きいです。⾜元の売り上げと新たな顧客を確保するために、地元の需要を喚起する必要があります。
ナカガワ・アド株式会社
団体旅⾏の稼働はワクチン開発まで低調に推移すると予想しています。
「テイクシェア」についてはコロナの終息に関係なく「新たな収益源」としての可能性を感じ、実証実験を継続する予定です。
テイクシェアの今後
コロナ禍で作り出した「テイクシェア」について、今後の方向性は以下のように考えています。
コロナが終息後も「テイクシェア」は存続
「テイクシェア」はコロナが終息しても存在し続けると考えています。
もはやクラウドサービスの普及は普段の⽣活の中に溶け込んでいるからです。
「外⾷は好きだけど⼈が多いところは……」
「病気の⺟と⼀緒に⾷事がしたい(⾷べたかったものを⾷べたい)」
「⼩さな⼦供がいて外⾷出来ない」
など、「テイクシェア」では、コロナ禍前から存在する潜在的なニーズを満たすことができます。
ネット需要にも注⽬した「テイクシェア」
「地域の特産品をみんなで味わいたい」というニーズはコロナ禍の中で「お取り寄せ」という形で表出してきました。
商品の中には、加⼯品の模索・冷凍での発送が可能なものも増えてきているので、テイクシェアでの活⽤の可能性があります。
「テイクシェア」で飲⾷・宿泊業の働き⽅改⾰へ
飲食店では人員の削減やテイクアウト、ネット販売の移行が多くなっています。テイクシェアでは、飲⾷注⽂は基本予約制です。仕込みの量など数が読みやすく、調理やオぺレーションにかかる時間短縮が可能というメリットがあります。
また、ゲストハウス・ホステルなどはグループでの貸切利⽤が多くなり、効率化が進むと同時に、シェアオフィスとしての運営に業態を変革させています。
そのため、宿泊では、使われていないスペースを、コワーキングスペースや場所貸しを行うことによって新たな付加価値が出てくる可能性があります。
「テイクシェア」を観光・地域振興・関係⼈⼝の窓⼝として
ツーリズムの流れは、オンラインでは味わえないこだわり・想い・取り組みの意味や意義を直接旅をすることで「感じる」旅⾏が主流になる可能性が⾼いと考えています。
場所に赴くだけではなく「⼈に会いに⾏く旅」・「ワーケーション」の注⽬度は⼤きくなっています。
現在はストップしていますが、インバウンドが『⽇本の成⻑戦略の柱』という事に変わりはありません。数年後には必ず戻ってきます。コロナ禍で歩みを⽌めて、これまでの取り組みを無駄にしてはいけないと考えています。
“リアル”の復活に向けて
「テイクシェア」を導入することで、社内でも役割分担のシームレス化(1⼈2役)行いました。結果的に社員のモチベーション維持に役⽴っています。
また、外部の連携も活発になっており、コミュニティーを形成することで、自社の社員だけではなく、地域の⽅々がお⼿伝いしていただくことが増えました。
「ここに来れば誰かに会える」と、新たなコミュニティーを育む“関係案内所”として⽣まれ変わることで、地域の方と触れ合うことが社内の⼈材育成にも役に⽴つという好循環を生んでいます。
地⽅の飲⾷・宿泊・観光に活気を取り戻すために、⼈と⼈を繋げ、コミュニティーを拡げていく、“リアル”の復活に向けて、やりがいのある仕事への取り組みを継続して参ります。
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