事例

【有限会社モードレディース】クラウドを活用した縫製工場のDX〜小ロット・「超」短納期の実現〜 

全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。

2022年10月26日に行われた「九州・沖縄大会」より、縫製加工業におけるクラウド活用でDXを進めた、有限会社モードレディースの事例をご紹介します。

有限会社モードレディースの概要

■法人名:有限会社モードレディース
■事業内容:縫製加工業
■設立:1985年

アパレル製造業の現状

弊社は設立から37年、熊本の玉名郡長洲町で婦人服を中心とした衣料品の縫製加工業を行っております。レディースのインナーウェアやマスクなどを作成しております。 

まずは、アパレル製造業全体の現状からお話しさせていただきます。

現在アパレル市場では低価格・高品質を謳う外国企業の商品が市場の97.6%を占め、 国内の縫製工場は価格面での競争が厳しくなってきております。特に中国を中心としたアジア圏からの輸入比率はここ20年増えてきております。 

また2000年代以降、ファッションは多様化の時代を迎えていると言われています。その要因の一つとしてインターネット・SNSの普及が挙げられます。自分の好みに合った情報源をチェックするスタイルが主流になり、ある程度トレンドを抑えつつも、自分らしさを大切にする姿勢が一般的になってきております。

 ゆえにメーカー・ブランドはエンドユーザーの細かいニーズにクイックに対応できるよう、大量発注ではなく、短納期かつ少ない数での納品を求められています。

大企業との差別化を図るため、IoT自動裁断機を導入

そこで弊社としては大企業と差別化を図り、なおかつ、エンドユーザーのニーズを満たすために、従来通りの大ロットでのものづくりから、業界トップレベルの小ロット・短納期を 提供するサービスへと変革する必要があると考えました。

まず着手したのが、IoT対応の自動裁断機という、最新機械の導入です。縫製加工業では洋服を作成するにあたり、まず生地を裁断する工程があります。もともと手で行っていたこの作業を、最新機械で全自動化することで、物理的な効率化を図りました。

作業時間は平均6分の1程度まで短縮されました。

パーツ数の多い複雑なアイテムの場合はさらに効率化され、10分の1程度まで時間短縮できました。

しかし自動裁断機の導入のみでは一部業務の時間短縮にしか繋がらず、営業・管理など業務フロー全体にインパクトのある効率化は図れませんでした。 

「sitateru CLOUD」への参画

そこで弊社が活用したのは、「sitateru CLOUD」という、「シタテル株式会社」が提供する衣服・ライフスタイル産業に特化した、生産性を向上させるクラウドサービスです。

「sitateru CLOUD」は、衣服を作りたいユーザーと、衣服を作れるサプライヤーが円滑に

コミュニケーションできるプラットフォームサービスであり、弊社もこのサービスを活用することで業務全体の効率化を図りました。

実は「シタテル株式会社」さんも本社が熊本ということで、「sitateru CLOUD」が構想段階だった時から、様々なアドバイスをさせていただきました。

この「sitateru CLOUD」という、ものづくりの依頼主と生産者をネットワークを通じてつなげるサービスは、今や2万社以上の登録事業者数を超える業界最大のソーシングコミュニティとなっています。

今後も「sitateru CLOUD」の市場規模は大きくなると仮定されることから、このプラットフォームを活用した事業はもはや一取引先としての位置づけではなく、市場そのものと捉え、いかにそのシェアを上げていくかが今後重要だと考えました。

「sitateru CLOUD」を活用した業務改善

「sitateru CLOUD」を活用し、実現しようとした業務改善は大きく3つです。

1つ目、プラットフォームを活用し、新規案件の受注を増やすこと。

2つ目、お客様との生産管理業務における取引情報を一元管理し、業務効率化させること。

3つ目、デジタルの知識が少ないスタッフでも運用できる、脱アナログ業務フローを実現することです。

1つ目の「プラットフォームを活用し、新規案件受注を増やすこと」についてですが、実は 世の中の縫製工場のほとんどがホームページすら持っておらず、弊社も例に漏れず準備できていなかったため 、新規案件の獲得方法を模索しておりました。基本、営業は社長一人で対応していますが、同時に現場も見なければならないため、営業活動に割ける時間も限られ、結果、既存顧客の案件に頼っている状態が長く続いていました。そこで、「sitateru CLOUD」を活用することで同プラットフォーム内で仕事を紹介いただいたり、「マッチング機能」という工場側から仕事を取りに行ける、お仕事掲示板のような機能を活用することで新規案件を獲得でき、前年比10%以上の売上を増やすことができました。

2つ目の「業務効率化」に関してです。この業界は未だにFAXが当たり前で、「言った/言わない」のトラブルや、電話確認など、アナログなコミュニケーションが普通に行われています。「sitateru CLOUD」ではすべての取引情報・受注内容を一元管理すると同時に、お客様とのコミュニケーションもプラットフォーム内で完結できるため、確認作業の時間・労力を大幅に削減できました。ミスも少なくなり、それによる該当の業務時間は5分の1まで減少させることができました。

3つ目の「デジタルの知識が少ないスタッフでも運用できる、脱アナログ業務フローの実現」に関してです。開発段階から「シタテル株式会社」へアドバイスさせていただいたこともあり、非常にわかりやすいインターフェースでスムーズに活用することができました。先方から来た確認事項に対してもボタン1つでこちらの了解を伝えることができるなど、私たちのようなパソコンに慣れていない人の目線に合わせた工夫がされていたり、ボタンが「合意」など日本語で表記されている点も、我々世代には親しみやすく、システム利用に対するハードルを下げてもらっていると感じました。 

従業員の声

「クラウドを活用すると聞いたとき、最初は難しい感じを受けました。

しかし、今まではパソコンから紙で出力をしたり、手書きや、計算機入力などしなければならなかったのが、画面上で相手先さんと一緒に出荷状況など見れるのが、とても良いと思います。

相手先が急ぎの時でも、出荷の順番を一緒に相談できるなど、スムーズに対応できます。

請求書も自動作成できるので、すごく助かります」 

おわりに

こうした、 IoT対応自動裁断機の導入や、「sitateru CLOUD」活用で業務効率化を進めることで、地方の縫製工場でも業界トップレベルの小ロット・短納期を実現することができ ました。

今後も積極的にDXを進めることで繊維業界全体の生産性の効率化に、少しでも貢献していきたいと思っております。

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