「今までこの方法でやっていきたから」とムダだと思いながら続けている業務、実はムダだと気が付いていない業務は、どの企業にもあるのではないでしょうか。株式会社エム・デー・エス は、生産管理業務の効率化を目的として、操作性を重視したシンプルな独自の生産管理システムを開発。製造現場にタブレットの導入を行うことからDXをスタート。現在では、全社を上げて「MDSムダ取りプロジェクト」を毎年開催し、社員が考え実践するボトムアップ型の業務改善プロジェクトにより、現場の声でクラウドシステムを導入しています。社員の平均年齢は40台後半と、決して若手ばかりでない中で取り組んだDX。クラウド化の事例をご覧ください。
株式会社エム・デー・エス
所在地:大阪市平野区背戸口4-2-14
設立:平成2年3月12日
事業内容:トナーカートリッジのリユース(詰替・修理)など
従業員数:50名
http://www.mdsg.co.jp/
MDSムダ取りプロジェクト

私達が普段働いている時間のうち、生産的な仕事に取り組んでいる時間はどのくらいでしょうか?
私たちが働いている時間の中で、本当に価値を生み出している時間はわずか数%。
日々の業務の90%以上は、ムダな作業に費やされていると言われています。「ムダ」とは、「付加価値を生まない作業」のことです。
例えば、慣例で行っているルーティンワーク、管理のための記録、ミスを防ぐためのチェック作業など。これらの作業はすべて、お客様にとって何の価値もうまない作業です。
当社では「今までこの方法でやっていきたから」という考えを改め「お客様にとって価値のある仕事ができるか」を社員自らが考える「MDSムダ取りプロジェクト」を始めました。
社員一人ひとりの生産性の向上を目的とし、クラウドシステムの活用による業務改善に取り組み続けています。
クラウドシステム推進の取り組みについて
コミュニケーションツールのクラウド化事例

まずはじめに取り組んだのは社内コミュニケーションの改善です。
以前は電話・口頭・メールでのやり取りが主のため、席を外したり外出している担当者に連絡がつかなかったり、情報の伝達に手間が掛かり、情報共有にもれが発生。電話やメールの対応に追われて、本来の業務に支障が出ていました。
企業規模が拡大するにつれて、社員間の連絡や情報共有においてさまざまなトラブルが発生。そこで、2019年から社内コミュニケーションの改善のために導入したのがChatworkです。

社内の主な連絡手段を、電話・メールからチャットワークに移行し、グループチャットやタスク管理の機能を活用しました。
シンプルなチャット機能で端的にやりとりを行うようになったことで、電話・メールでの連絡に充てられていた時間を削減できました。
たった数分の時間短縮ですが、全社員がチャットワークを活用することで、連絡におけるレスポンスの速さは格段に向上。情報共有もスムーズに行えるようになりました。
社内間での情報共有の速さは、お客様サービスレベルの向上にもつながっています。
製造現場のムダ取り 生産管理のクラウド活用

次に、ものづくりの会社にとってメインの製造現場にて、クラウド活用による業務改善を行いました。当社ではメイン商材のリサイクルトナーカートリッジだけでも数百種類を製造しています。現場では、全ての商品の製造日/製造担当者/製造機種/使用部材/生産時間などを「生産実績」として記録。以前は製造担当者が手書きで記入したものをベースに生産管理を行っていたため、現場には紙があふれ資料の管理が煩雑になっていました。
また、実績集計のため手書きの記録をExcel データとして入力し直す作業が発生するなど、生産業務以外の記録管理作業にムダが発生していたのです。
そこで、生産管理業務の効率化を目的として、当社独自の生産管理システムを開発。製造
現場にタブレットの導入を行いました。

今まで手書きで記録していた生産カルテを、タブレットから生産管理システムで入力できるようにしました。
入力画面は、数字の入力や選択肢を選ぶのみのシンプルな構成にしたので、タブレットでの入力が不慣れな人でも使いやすい仕様になっています。
システムの活用によって、生産の実績は自動で集計されるようになり、データ入力作業は不要になりました。集計データは商品在庫数への反映や、翌日以降の生産計画に活用しています。
これまでは、過去のデータを確認する際は、膨大な保管資料を見直す必要がありましたが、システム上ですぐに確認できるようになりました。今年7月からはさらにシステム活用をすすめ、現場で使用する部材の在庫数や発注管理もシステム上で行えるようになりました。

製造現場では、生産管理システムの活用により生産業務が効率化。過去の生産データをすぐに確認できるようになったため、生産活動にフィードバックできるようになりました。
さらなる機能として、現品書の発行や製造担当者のタスク・実績管理、日報などにも活用しています。
導入効果

タブレット導入の効果です。生産管理システム導入・活用により、毎日2時間かかっていた入力作業が0時間になるなど、記録・集計・管理の工数が大幅に削減されました。
また現場にあふれていた保管資料が0に。過去の実績もシステム内ですぐに確認することができます。
さらに大きな効果があったのがタブレット導入による生産指示の簡素化です。今までの口頭や電話での現場、管理者間のやり取りをタブレット導入と共にChatworkに変更。生産指示をリアルタイム化できたことも、生産作業効率の向上に大きな効果を上げました。
タブレットシステムの導入時は、使い方の説明や運用の変更に時間を要しましたが、年配の
社員や新入社員でも使いやすい簡単な機能から徐々に推進した結果、このように業務効率化をはかることができたのです。
各部署のクラウドシステム導入実績

製造現場以外でも、様々な部署でクラウドシステムを導入しています。
営業部では営業支援システムを活用し、顧客データを全営業社員で共有できるようしました。アシスト機能によって、1日あたりの訪問件数も増加しています。
総務課では、電子請求書発行システムの導入で印刷や輸送コストを削減しただけでなく、残業時間の削減を実現しました。
業務課では、受発注におけるFAXを電子化。FAX注文の受発注をシステム上で可能にし、Chatworkを併用することで、テレワークも実現しました。
現場社員の声から導入したクラウドツール

当社では「ムダ取りプロジェクト発表会」という社内プロジェクトの取り組みを行っています。業務上の課題解決の方法を、現場社員が考え実践するボトムアップ型の業務改善プロジェクトです。
現場社員の声から、このようにさまざまなツールが導入されてきました。
当社の「ムダ取りプロジェクト」が目指す先は、単なる業務効率化ではありません。
常に新しい社会サービスに目を向け、限られた時間の中でどれだけお客様にとって価値のある仕事ができるか、社会に貢献して自分も成長できるかを、社員全員が常に有意注意し業務に取り組むことを目指しています。
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