事例

業務改革のためのペーパーレス化 

サーバーの更新時に社内システムを見直し、クラウド化とともに業務のペーパレス化を目指すことを決断。DropboxとKintoneの活用によりDXの最初の一歩を踏み出した事例です。社長自らが業務改革アプリを作成するとともに、従業員への指導も行い積極的に推進。決裁・稟議にかかる時間が数分と大幅に短縮され、日報の指導履歴が残ることで管理職の意識も高まりました。社員へスマホ導入補助金を配布し、全社員がスマホ切り替えしていたことで、コロナ禍でも情報共有をスムーズに行えたという副次的な効果も。2025年問題を乗り切るべくこれからDXを進めようと考える企業にとって、とても参考になる事例です。

ヒロボー株式会社

所在地:広島県府中市桜が丘三丁目3番地1
設立:1949年(昭和24年)10月1日
事業内容:無線操縦ヘリコプター(ラジコン・RCヘリ)、ホビー製品、産業用無人ヘリコプター、UAV、ロボット設備、樹脂成形品(プラスチック成形)の製造・販売
従業員数:92人
https://www.hirobo.jp/

経営課題

数年前のことです。サーバー老朽化に伴い、更新の検討が必要でした。サーバーの更新費用は高額です。しかも、維持・メンテのため専門スタッフを確保しなければなりません。

その一方で、情報の全てが紙に印刷・回覧され、確認や承認の後のファイリングが当たり前の状況。今までの業務を続けることは、大きな時間と経費のロスになります。

そこで、まずは情報をクラウドに格納することからはじめ、業務改善に向けてペーパーレス化に取り組むことになりました。

環境づくり

2019年に、社長から「完全ペーパーレス化を実施する」と号令。まず行ったのは、幹部社員へのiPad配布です。それと並行して、社内サーバーやパソコン内のデータについて、Dropboxへの移行を始めました。

次に行ったのは、従業員全員へのスマホ補助金支給です。スマホへの乗り換えを促しました。しかし、中にはパソコンはもとよりガラケーしか使ったことがなく、乗り換えに消極的な従業員もいました。

「今や公共機関の手続きはインターネットで行う時代ですよ」

「やり方がわからなければ、家族や若い同僚が教えてくれますよ」

と、みんなで支え合うことで導入に成功。

コロナ禍が訪れた時に、図らずもこれが功を奏しました。従業員は全員スマホを使えるようになっており、情報伝達をスムーズに行うことができたのです。

データの活用

クラウド上にあげたデータを活用するシステムは、従来は社外のシステム開発会社、もしくは社内の IT 専門職が構築していました。

しかし、ここで当社はKintone(業務アプリ構築クラウドサービス)を導入。自分たちでアプリを作ることにしました。ITの専門知識を持つ松坂社長が、自らアプリを作成するだけでなく従業員への指導を行い、従業員全員で日常業務のアプリ化に取り組んだのです。

アプリの一例としては「日報」があります。社長はじめ、従業員全員がその日の気づきや

作業内容と作業時間を入力するものです。書きたい時に、スマホからその場で入力ができるだけでなく、データファイルや写真などを貼り付けられます。

途中で一旦保存しておいて、編集・追加も可能です。作成が完了したら提出ボタンを押すことで上長や職場の同僚へ報告されます。

情報の共有化によって、社内の風通しがよくなるだけでなく、上長からも上司らしい責任ある言動が増えました。

次に、劇的な業務時間短縮を実現したワークフロー申請アプリを紹介しましょう。

各種休暇申請、休日出勤、制服の注文などは、従業員から上長を経由して総務部で承認されるまで、これまで2日以上必要でした。今では2分で承認が完了します。


また、投資や契約などの稟議についても、これまでは大量の資料を紙で添えて申請。上長

を経由して社長決裁まで2週間かかっていましたが、今では5分で決裁が可能になっています。稟議の申請・差戻しが紙よりも簡単になったことで、以前より深い議論が活発に行われるようになるという付随効果もありました。

他にも、今まで紙で運用していた給与明細や労務データなど社員の個人情報をスマホから確認・編集できる My Data アプリなど、便利なアプリが次々と生まれました。今では80以上のアプリが稼働しています。

アプリ以外も、メールの情報共有やE-Gov電子申請など、ペーパレス化・システム化がどんどん進みました。

最後に

ヒロボーのDXはまだ始まったばかり。現在は第1段階です。社内サーバーからDropbox(クラウドサーバー)へデータを移行し、時間や場所に制限されることなく情報共有ができました。情報共有にもクラウドサービスを導入しデータの活用を始めたところです。ペーパレス化という点では、現在32%の減少。プラス、業務改革に取り組みました。

この次は、2022年から開始する第2段階です。データを生かせるアプリアシステムを開発

するDX人材をさらに育成します。そしてDXを進め現在の事務レベルから製造現場レベルへ業務改革を拡大。システム化による高付加価値と生産性向上を目指します。

そして、2025年からは第3段階。「2025年の壁」を乗り越え、デジタルに強い企業として新しいビジネスを創出するのが目標です。

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