事例

【株式会社ライトストーン】営業業務のクラウド化で経営課題を解決

全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。

2022年10月12日に行われた「関東・信越大会」より、ソフトウェア販売の営業業務をクラウド化することで経営課題を解決した、株式会社ライトストーンの取り組みと成果をご紹介します。

株式会社ライトストーンの概要

■法人名:株式会社ライトストーン
■事業内容:科学技術系ソフトウェアの輸入販売および日本語化、ソフトウェアの開発・カスタマイズ、ソフトウェアの解説書出版、ソフトウェアの操作講習・トレーニング
■設立:1995年3月
■公式Webサイト:https://www.lightstone.co.jp/

ソフトウェア販売の営業活動とは

当社は、科学技術分野向けのパソコン用ソフトウェアの販売に携わっています。主なお客様は日本全国の大学・高専・政府系研究機関・企業の研究所・工場の研究者・技術者の方々です。

25年以上の経験・知識をベースに、ソフトウェアの操作に関するサポートやセミナー、 学術的な内容を含む技術情報の提供、受託開発やデータ分析など、お客様の視点でのサービスを提供しています。

営業活動は、ごく一般的なものです。当社営業スタッフがお客様訪問や展示会などで広告宣伝営業活動を行います。お客様からは、電話・メールで価格、機能の確認、見積もり依頼などの問い合わせがあり、それに対して回答をします。注文をいただきましたら開発元に発注を行い、ソフトウェアやマニュアルとともにシリアル番号をお客様に納品します。

抱えていた3つの課題と解決策

当社が抱えていた課題と解決策です。

第一の問題はメールです。

第一の課題:「メール問題」をクラウド化で解決

営業宛メールや、技術・サポート宛ての メールは「sales@」「tech@」といった代表メールアドレスを使用しています。

各担当者はそれぞれのPCでメールを受信し、お客様に回答します。当初は担当者一人につき一商品を受け持つことで、自分の担当商品だけに対応していました。

しかし担当者が休むとその日は担当者不在になり、お客様へのサービスが遅延・低下してしまいます。

そこで「1人1商品」ではなく複数名で複数商品を受け持つグループ体制に変更しました。これにより担当者不在を避けられると考えました。

ところが、複数名でメール対応することでお客様への重複回答が発生するようになりました。さらに、送信済みメールは各担当者のPCに分散しているため、各担当者がどのような回答をしたのかがわかりません。 

問題解決のため、クラウドメールを導入しました。

クラウドメール使用により、メール一件一件に対応する担当者のラベルを付けることができるようになり、「未対応」「 対応中」「対応済み」といったステータスが一目でわかり、重複回答もなくなりました。

さらに 送信済みメールもクラウド上にあるので、対応内容を社内で共有できるようになりました。 担当者が休みの時でも別の担当者がメールチェックをしてお客様対応することが可能になりました。

第二の課題:「PC問題」をクラウドデスクトップで解決

2つ目の課題は、PCです。お客様訪問では普段オフィスで使用しているPCではなく、持ち出し用PCを使います。そのため出張先で使用するファイル・データなどは事前に準備しておく必要がありました。社外からは、社内データベースにアクセスできないため、より良い提案ができない問題もありました。さらに従業員増加に伴い、PC入れ替えに係る費用や、初期設定、データ移行の時間が増え続け、無駄な時間が増えていることが経営課題でした。

そこで、従業員が使用しているPCを全て仮想化し、クラウド上に置くことにしました。これで会社・出張先・自宅どこでも同じPC環境を使用できます。

ブラウザの閲覧履歴、お気に入り設定、作成済みファイルなど、異なるPCで作業するためにわざわざコピーをする必要がなくなりました。

第三の課題:社内データベースもクラウド化

そして社内サーバーやデータベースもPC環境同様に仮想化すれば、どこでも同じようにデータ利用ができると考えました 。

しかし、社内サーバーとデータベースは、アクセス増加の際にパフォーマンスが低下してしまいます。そのため仮想化は断念し、異なるクラウドシステムを使用することで実現させました。

データベース内にはお客様からの注文、開発元への発注、入出荷のデータ、ユーザー情報があり当社の業務の中核をなす営業上最も重要なデータです。これらのデータはサーバーとともに社内データベースに格納されていました。

その中で課題が2つあり、

「社外から、社内データベースを利用できない」

「社内サーバーとデータベースをもっと安定的に稼働させたい」

というものでした。

セキュリティ上、社内システムに蓄積されたデータは、外部から使用できないようにしていました。注文データやユーザー情報をWeb経由で閲覧するために、「社内データベース」と「Web上のデータベース」で同じデータを二重に持つ必要があり、 2つのデータベースを同期させていましたが、データ同期にタイムラグがあり、データ不整合が起こる問題がありました。

さらに、社内サーバーの安定稼働のために、日常的にサーバー管理を行い、データベースのバックアップを行っていましたが、社員の生産性をもっと上げられないだろうか?と感じていました。 

データベースをクラウド化することで、社内サーバーを持つ必要がなくなり、障害対策は不要となりました。

さらに、データベースを 二重に持つ必要もなくなったので、データ不整合問題も解消しました 。

社内サーバーを仮想化してクラウドに置くのはパフォーマンスに問題がありましたが、データベースのみをクラウド化して社内アプリケーションからアクセスする方法においては、パフォーマンスの問題は起こりませんでした 。

経営課題を解決して達成したかった3つの目標と、思いがけない成果

経営課題を解決して達成したかった目標は

「お客様対応」

「従業員の働き方」

「業務改善」

の3つで、ほぼ達成できました。

お客様に対するサービスを向上させ、従業員の働く時間の無駄をなくすことができました。

そして、PC・サーバーにかかるコストや、作業時間の削減、分散しているデータの活用、社外でのデータ利用もできるようになりました。

社内データのクラウド化においては、取り組み開始時点では想定していなかったような業務改善効果がありました 。

お客様情報がクラウド上にあるので、QRコードからご注文をいただく仕組みを作成し、よりスムーズに注文できるようになりました。また、見積書発行の仕組みを作成することで、お客様が見積書を必要なときにすぐにクラウド経由で入手でき、これまで社内で都度作成していた業務が削減されました。

さらに、デスクトップのクラウド化により、社員全員が在宅勤務が可能になりました。コロナ対策での在宅勤務移行もスムーズでした。請求書類をプリンター出力するのは、在宅勤務時は困難でしたが、別のクラウドサービスを使用し、すべての書類をPDFファイルでクラウド上に置き、お客様にメールで納品する仕組みを作りました。これは印刷・封入作業・発送費用の削減にもつながりました。

クラウド化のための体制

クラウド化の推進体制については、サービス提供会社を利用したクラウドサービスについてはサポートを受けながら進めました。

仮想デスクトップや、クラウドメールの使い方に関しては当社のシステムエンジニアが使い方の勉強会を開いたり、マニュアルを整備して、短期間で全社員が利用できるようになりました。

クラウド化により社外でデータを利用できるようになりましたが、セキュリティ上の懸念があるので社内のISMS委員会を中心とするチームにより情報セキュリティ教育を継続的に実施しています。

今後の展開

今後は、よくあるお問い合わせに関するデータベースをクラウド上に作成し、お客様からの質問に回答する仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています 。

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