全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。
2022年10月14日に行われた「東海・北陸大会」より、サッカースタジアムのDXを実践した射水ケーブルネットワーク株式会社の事例をご紹介します。
射水ケーブルネットワーク株式会社の概要
■法人名:射水ケーブルネットワーク株式会社
■事業内容:有線テレビジョン放送事業、電気通信事業
■設立:1992年6月
■公式Webサイト:https://www.canet.ne.jp/
射水市との連携で、地域課題解決にIoTを積極活用
当社は富山県射水市にあり、エリア内約3万9000世帯を対象に、主にケーブルテレビ、家庭用インターネット、電話を柱として、携帯電話や、最近ではHulu・ネットフリックスなどオンデマンドサービスの提供も行っております。
近年は行政と連携した取り組みにも力を入れており、IoT導入支援、教育ICT支援をはじめ、地域の防災・減災対策として各所にフリーWi-Fiを設置・整備した例もあります。
射水市は地域課題の解決に向けてIoTを積極的に活用していく方針を打ち出しており、令和元年には「IoT利活用検討会議」ができ、当社も参画しております。当社としては、これまでの知見を生かして実証実験をサポートする中心的な役割を担っています。
こうした関係の中で徐々に大きなプロジェクトの相談もいただけるようになり、本日はその中で射水市フットボールセンターの事例を紹介します。
フットボールセンターに最新鋭のクラウドサービスを導入 全国的に類を見ないサッカー場に

2019年、射水市がフットボールセンターの建設を計画し、内閣府の交付金を活用して建設を進める構想でしたが、 実際に応募してみると「特徴がない」ということで一旦差し戻しをされてしまいました。
そこで市から当社へ「最新鋭の技術を盛り込んだ提案をしてほしい」と相談がありました。
当社は、ローカル5G、AIカメラ、映像配信システムの3つを組み合わせ、全国的に類を見ないフットボールセンターを作り上げようと提案を行い、これが無事採択されました。
採用したクラウドサービスは2つです。
1つは、 AIカメラ「ピクセロット」という商品で、撮影・収録・編集・ライブ配信を全自動で行う仕組みになっています。
しかし、配信に関しては視聴者側がアプリをインストールする必要があるなど、少し不便なところもありました。
そこで、もっと別の配信プラットフォームがないかと探したところ、我々と同業であるケーブル局が開発した「Stone」というシステムを併用することにしました。これは、QR決済や、視聴者へのメッセージ配信もできます。元々は音楽ライブ配信向けに開発された製品ですが、今回はサッカー用にカスタマイズして採用しました。
これらを整備し、2022年4月、無事に射水市フットボールセンターがオープンしました。


AIカメラで撮った映像を、ローカル5Gを通じてクラウドにアップロードします。その後、配信システム「Stone」から映像を配信しますが、視聴者がチケットを購入する決済機能があり、それを利用して見ていただく仕組みです。試合をライブ観戦する、そして、アーカイブ映像を後日配信する機能もございます。
射水市フットボールセンターのオープニングテストマッチを皮切りに、少年サッカー大会、クラブユースの大会、高校サッカーあるいはラグビーの試合など、多くの試合でご利用いただいています。
映像を配信する特徴を活かして、遠方からオンラインでのサッカー指導ができたり、合宿等でこれを使っていただきながら自分 たちを研究していただく、そしてリピート利用してもらうというような用途も考えられます。
新規事業創出、新たな収益源を確保

当社のプロジェクトチームが最初から運営まで本当に苦労しながら配信システムを作り上げました。一つの新たな仕組みを完成させられたことが、大きな成果です。
その甲斐あって、このフットボールセンターに従来の当社サービスであるテレビ、インターネット、フリーwi-fiも導入いただくことができました。
当社としてはこの新規事業で収益を確保できたところがポイントです。
もう一つ大きなポイントは 主催者側に収益を還元する仕組み(下図参照)もあらかじめ考えて作り上げたところです。
弊社の提案が、フットボールセンター建設交付金の採択に大きく貢献でき、その後も運営・管理を委託していただくことができました。
さらに言えば、この新たな仕組みによって収益を得ることができ、新規事業として成り立ったところが嬉しい成果です。
今後、期待されていることは、コロナの影響によって遠方から試合を見に来れない方に向けてのライブ配信実施や、アマチュアスポーツチームに対するオンラインでの金銭的支援の実現などです。
地域と関わる関係人口の創出にも今後貢献していけるのではないか、という展望を持っています。
祭りのライブ&アーカイブ配信も実施

この配信システムをサッカー以外でも展開した例です。
先日、地域では比較的大規模な「新湊曳山祭り」があり、ライブ&アーカイブ配信の仕組みを使って配信を実施しました。
SNSで集客し、結果的に多くの方にチケットを購入していただきました。
これが 、今後の展開への大きなきっかけになったのでは、と思っております。
今後の展望
当社が、エリア内だけで放送するコミュニティチャンネル内には数多くの良質な番組が
あります。それらをエリア外の方にも楽しんでもらいたいと考えています。
祭りの配信をきっかけに、我々が持つコンテンツをインターネットを通じて配信していくという、新たなコンテンツビジネス展開を見据えています。
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