事例

ジョブカンが⽀える事業基盤〜クラウド型バックオフィス⽀援システムで未来の「働く」に変化を〜

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

2020年11月13日に行われた郡山大会より、株式会社Donutsの事例をご紹介します。クラウド型バックオフィス⽀援システムの中で10万社が利用する「ジョブカン」シリーズ。その開発はどのようにして行われたのか?そのきっかけは実は身近なものだったのです。

株式会社Donutsの概要

■会社名:株式会社Donuts

事業内容 :バックオフィスSaaS事業(ジョブカン)、ゲーム事業(単車の虎、Tokyo 7th Sisters、ブラックスター、艦つく等)、動画・ライブ配信アプリ(MixChannel)、電子カルテ事業(CLIUS)

■設⽴:2007年2月5日

従業員数:   375名(正社員・契約社員) 2020年10月

■公式WEBサイト:https://www.donuts.ne.jp/

株式会社Donutsは、創業14年目の会社です。

売上高は71億、従業員は360名です。

企業の特徴として、創業時に代表2名が150万ずつ、先輩に当たる方が50万円を出資した350万の資本金のみで経営し、これまで資金調達も借り入れもせず事業を拡大してきましたことが挙げられます。現在は日本だけでなく、タイと韓国にも子会社を設立しています。

事業としては、SaaS事業であるクラウド型バックオフィス支援システム「ジョブカン」をはじめ、ゲーム事業、動画・ライブ配信事業医療事業の主に4つがあり、全て自社で開発をしています。

 株式会社Donutsのコーポレートスローガンに「Change the Game,」があります。

このスローガンには”自分達で作るプロダクトで世界にインパクトを与えよう”という意味が込められています。

DeNA 新卒1期生の2名が退職して会社を立ち上げたのですが、10坪のアパートの1室からスタートした小さな企業で、当初の資本金は350万円。

一切借入せず調達もしないという厳しい環境から「ジョブカン」は生まれたのです。

「ジョブカン」を生んだ事業課題と解決策

2007年創業時はEC・ゲーム事業の受託開発をおこなっていた株式会社Donuts。

事業課題を解決するために開発したツールが「ジョブカン」のはじまりでした。

課題①多数の業務に加え、勤怠の管理をしていた

 創業当初は、受託開発の事業を行っていましたが、バックオフィス担当はいませんでした。

そのため、創業者自ら本業である開発も営業も行いながら約20人のアルバイトの勤怠管理などのバックオフィス業務を全て手作業でこなしていたのです。

実際に行っていた作業としては、

・毎⽉従業員へ告知し、勤怠情報のExcelファイルへの書き込み提出を求め、ファイルを提出していない⼈の⼀⼈⼀⼈へ再喚起を行い、欠勤・休憩・残業・休暇などの提出されたデータを確認し、内容によっては従業員へ再確認をしてから最後にエクセルで総労働時間の集計を行っていました。

すべて手作業で相当時間が取られ、業務に手が回りませんでした。

本当は開発に時間をかけたいですが、給与支払は必須なので特に納期で忙しい時などは業務の負荷の高い状況でした。

 この現状をどうにか改善できないかと考え、システムを探しましたが、2007年当時はちょうど良いクラウドサービスを見つけることが出来ませんでした。 

課題①▶解決策:⾃社向け、業務(勤怠)効率化ツールの開発

 そこで考えたのが自社開発です。

アナログで行っていた打刻およびその集計作業を、デジタル打刻、例えばSuicaなどのICカードでタッチすれば自動的に打刻データをサーバーに取得できる仕組みを作りました。

データがサーバーに入ったと同時に集計も行えるようにしたため、月末になれば勤怠管理に必要なデータが全て揃います。

課題①解決の効果

ジョブカン勤怠管理を開発したことで、勤怠管理にかける時間を削減できました。

削減できた時間を、開発・営業に振り分けることで事業が軌道に乗りました

現在、従業員が360人おり、タイと韓国にも子会社がありますが、本社含め、すべてがこのジョブカンという勤怠管理システムを使用しています。

 さらに、他社でも同様の悩みがあると考え、ジョブカン勤怠管理」として外販を開始。規模・業種を問わず50,000社以上の企業様にご利用いただいています。

クライアントの方にニーズを聞きながら開発を進めており、様々なお客様のパターンに対応できるオプションメニューも搭載していることで、幅広い支持をいただくことにつながりました。 

課題②:事業拡⼤に伴い膨⼤になった稟議や承認業務

 次に手をつけたのが「稟議・承認」のワークフローです。

ジョブカン勤怠管理の外販が軌道に乗ったことも手伝って業務拡大に成功した一方、稟議や承認の数が膨大になっていきました。

すでに従業員は100名程度の在籍していましたが、稟議書は紙ベースの申請でした。すると、承認がどこまで進んでいるか分からないという状況だったり、決裁者の手元にはたくさんの書類が届いているため、稟議書が他の書類と混じってしまったりすることも多かったのです。 

そこで他社のクラウドサービスを導入し、全て一元管理し、クラウドで稟議を申請して承認をすることで、業務効率は以前より改善されました。

しかし、実際そのシステムを使用していたところ、表示スピードや、稟議のタイトルでしか検索できないなど、システム自体の改善点がいくつか見えてきたのです。

課題②▶解決策:⾃分たちで開発しよう

そこで、また自社で作ろうということに。

稟議の中身まで検索ができて、スピード速く表示ができ、さらに加えてスマホでもその機能を追加しました。

結果的に、出張が多かったり、外回りの多い決裁者でも、決裁がスピーディーに行えるようになったのです。

一元化されているため、どこで承認が止まっているかなどもわかるようになります。

「ジョブカンワークフロー」の誕生です。

課題②解決の効果

 ジョブカンワークフローの導入によって、承認・管理の業務については3分の1に時間を削減することができました。

そして、やはり同じ悩みをもつ会社は多いだろうと考え、ジョブカンワークフロー」としても外販を開始。1万社以上の導入をいただいています。

UI(ユーザーインターフェース)にこだわったり、スマホ対応など自社での使い勝手の良さを追求したことも、他社との差別化に役立っている点です。

「ジョブカン」シリーズ累計10万社突破

ジョブカンシリーズはその後も「経費精算」「採用管理」「労務管理」「給与計算」とシリーズ化し、導入はどんどん広がっています。2020年には、累計実績が10万社を突破しました。

日本社会のために

 現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化や生産性向上ということが盛んにいわれています。

業務の中では、たくさんの繰り返される仕事による無駄がありますが、それを省くことができれば、より重要な仕事に時間が振り向けられるようになります。そうなれば、日本の生産性というのは変わるのではないでしょうか。

株式会社Donutとしては、まず自社を第一のクライアントと考え、自社業務を徹底的に客観的に分析しながら、業務を効率化するためのシステムを作ってきました。

企業活動を通し、社会全体の効率化に繋げていくことを今後も目指します。

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