事例

型屋がクラウド活用で実践!先読みして考える働き方改革!

株式会社IBUKIは、創業90年の企業です。多様分野の金型制作実績のほか、最近は超薄手のプラスチックグラスなど、BtoCにも進出。ものづくり大賞も受賞されています。しかし、FAXなどの紙データでのアナログな業務処理や、必要な情報が点在していて確認ができない。工場や機械の使用状況が解らずに業務の無駄が生じているという問題点がありました。そこでシステムのクラウド化を始めることになるのですが、PCに不慣れなベテラン社員にも使ってもらうため、インターフェースはExcelを活用。なるべく見える部分は業務を変えずに徐々に推進を図りました。現在では、工程が「見える化」されたことにより業務の見通しをある程度予測することができるまでになりました。工場の稼働率や変動費の抑制についてお悩みの方にはぜひ見ていただきたい事例です。

株式会社IBUKI

所在地:山形県西村山郡河北町谷地字真木160-2
設立:昭和31年8月
事業内容:
1. 射出成形用金型の設計・製造
2. 各種プラスチック成形品の試作及び量産
3. 微細な特殊加工の研究開発
4. 設計者/製造者向け金型・成形に関するノウハウの伝授及び指導
5. 海外サプライヤー監査及び指導
6.ハイサイクル支援
7.業務改善/技術伝承システムの開発及び支援

従業員数:62名(2021年4月現在)
http://ibki-inc.com/

抱える課題

こちらはクラウド化に至るまでの当社の課題を図解したものです。
IoT 推進や、そのあたりのデータの格納を含め、業務効率化など。
特に大きかったのは「見える化」です。

システム紹介

概要

これらの課題を解決したいと、システムを製作いたしました。システム概要がこちらです。
構築には、中央にあるAWS やLIMGRAPHなどグラフデータベースを用いました。

当社の業務である、金型の受注管理から、金型の仕様管理、工場の工程管理、不良品の管理、
そして購買管理など製造にまつわる業務だけでなく、財務や総務、勤怠管理や社内の申請管理なども全て同じデータベースで行えるようにしました。

全てのデータを一元管理してそれらをクラウドにアップして、確認できるようにしています。

グラフデータベースについて少し説明します。
検索ワードだけで検索するのではなく、このように関連した内容についても検索できるような仕組みです。例えば、ある資料を探す際に、AだけじゃなくBもCも必要ではないかとレコメンドできるような機能を持っています。

変化する働き方

システムを入れたことで、我々の業務がどう変わったかを一部ご紹介しましょう。
こちらがExcelのインターフェースです。いろいろな業務に対応できるように、リボンのところにカスタマイズした機能を搭載しています。

今回はクラウドの中にグラフデータベースを軸にした仕組みがありますが、そこで新しく UI を作ってしまうと、メンバーたちが違和感を感じたり慣れなくて使ってもらえなかったりします。

そこで、Excelをインターフェースに使うことで、今までと変わらないやり方で対応できるようにしました。Excelのまま保存することで、クラウドにデータが格納されます。データを入力する時に検索することも可能です。クラウドをExcelを使うように操作ができます。

IT率

クラウド化によって実現したことを、当社では「 IT 率」と表現しています。
デジタル化や自動化を考え、紙への手書きからExcelやデータ入力へのシフト、
自動化は入力情報などについてシステムによって自動処理される割合です。

現状と、目標まであとどのくらいなのかをグラフであらわしています。
効果については、ROIに対してどのくらいの効果が上がったのかを指標化しました。

当社の工場における、 5S管理(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)と、勤怠管理や在庫などの仕組み化により、これだけの効果を実現しました。一番大事なのは、若手からベテランまで簡単に使えるものを目指すなかで、クラウド化したことです。

今回の仕組みの概要を、最後に改めて解説します。
最初はいろいろな入力情報があり、Excel作業を行っていた記載情報や認証、加工ログ、
こういった情報をクラウドにアップロードするイメージです。
そこでは AWSやグラフデータベースを使い、分析して見える化するという流れですね。

Output

こちらの画面は、今回の仕組みから得られるアウトプットのデータです。
いわゆるデータの「見える化」の具体例です。さまざまなグラフデータのほかに、
フロアレイアウトから工程管理が一目でわかる仕組みもあります。

多能工の推進

青は正常、そこから緑は「対応検討」、黄色は「要対応」赤は「警告」と色が変わります。
どこがどれだけ忙しいかなどが可視化できれば、別の部門からサポートに行き多能工(一人が複数の技術や技能を身につけて、複数業務を行えるようにすること)化することが可能です。
さらに、データをもとにいつが繁忙期になるかを予測し、前もって他部署から業務サポートを検討できるようになりました。

変動費の抑制

また、受注計画においても「その案件が社内加工でできるかどうか」について、
社内の工場の稼働を可視化することで把握できるようになりました。

「現在は、これぐらい費用を使っている」ことが瞬時にグラフ化されるので、あとどれくらい費用が使えるのかも確認できます。加工の進捗・納期・外注加工費を評価することで変動費の抑制にもつながりました。

最後に

クラウドにより生まれる効果としては、外出先からの情報確認やデータアップロード、
そしてDBからの必要な情報取得などです。さらに、先読みで生まれる効果としては、
今の計画についてどうなるのかという予測を、クラウド化によって可能にしています。
繁忙期、閑散期を乗り切りながら、これからも上手に活用していきたいと思います。

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