全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。
2020年11月13日に行われた郡山大会より、株式会社ビックリマークの事例をご紹介します。遠足などの学校行事にカメラマンが撮影する写真。その販売におけるアナログな手作業をクラウド化することで、工程ごとの「困りごと」をなくしただけでなく、写真単価を引き下げたのに売上アップという仕組みを作り上げました。雲を掴むような(CLOUD)状況から革新的な(INNOVATIVE)業務改革を行った事例です。
運営会社:株式会社グッドパル/開発会社:株式会社 ビックリマークの概要
運営と開発それぞれの法人について紹介します。
■法人名:株式会社グッドパル
■事業内容 :
1.デジタル写真に関するデータ処理及びそれに付帯するサービス
2.各種データの情報処理及びそれに付帯するサービス
3.広告、宣伝に関する企画ならびに製作
4.カラーフイルム及び各種フイルムの現像
5.カラー写真及び各種写真の製作販売
■従業員数: 2名
■公式WEBサイト:https://www.goodpal.co.jp/

まず、運営会社の株式会社グッドパルです。
こちらはいわゆる「まちの写真屋さん」。証明写真や記念写真、フジカラー写真プリントなどを手がけています。社員2名の会社です。

■法人名:株式会社 ビックリマーク
■事業内容 :Web製作
■設⽴:1999年
■従業員数: 7名
■公式WEBサイト:https://www.vickly.com/

次に、開発を手がけた株式会社ビックリマークです。株式会社ビックリマークはWeb製作会社であり、非公開サイトや企業向けのECサイトなどを作っています。
ITを使うことで仕事のやり方をもっと良くすることを目的としている企業です。
今回は、保護者も先生も嬉しくなる遠足写真のネット販売のクラウド化に取り組みました。
遠足の写真販売の現状・問題点
それではまず、遠足写真販売の現状と問題点について解説します。
写真販売の流れ

子供の頃、こんなことをしていませんでしたか?
遠足が終わると、学校の壁に写真が張り出されます。
そして、封筒に「この写真がほしい」と記入し、お金を入れて提出。
実は遠足など学校行事にまつわる写真販売は、今でもこの方式で行われています。
この方式、実は結構大変です。

まず、写真を先生が張り出す形式で準備するのが大変です。
さらに、保護者の方もお子さんにお金を渡すので、万が一のトラブルが心配。
そして写真店では、どの写真が売れたのかという注文を、封筒を1つずつ見て確認してプリントします。
売れなかった見本写真は廃棄という流れです。

学校行事の写真は、できれば親子で一緒に見て選びたいものです。
しかし、今は防犯の関係で保護者でも簡単に学校に入ることはできません。
さらに、現在はコロナ禍です。学校に親御さんが来るというのはとんでもないという話になっています。
これどうしようかと考えると……
写真のネットショップは実は大変
思いつくのは「ネットショップにすればいいじゃない」ということです。
今では皆さんスマホを持っていますから。
しかし、写真のネットショップは実は大変なのです。

クラウドでネットショップが簡単に作れますというサービスは多いですが、商品がすぐに入れ替わるものには向いていません。
先生に何百枚もの写真をショップ登録してくださいとはとても依頼できません。
仮に写真のネットショップができたとしても、写真店も注文がメールで来てひとつずつ処理することはとても手間が大きいのです。

つまり、先生と写真店の手間が、既存の方法では解決できないのです。
クラウドを使って、革新的にしようじゃないか!と新たなサービスの作成に至りました。
写真展示販売に特化した「PictPal」(ピクトパル)を開発


そこで、写真展示販売をするためのネットショップが自動で作れるクラウドサービス「PictPal」(ピクトパル)を開発しました。
これにより、先生や写真店の手間はラクになり、写真がたくさん売れて喜んでもらえ、結果的に儲かりましたという良いことの連鎖が起こったのです。
「PictPal」(ピクトパル)のしくみ

「PictPal」(ピクトパル)は自動で写真販売のネットショップを作ることができるクラウドサービスです。
カメラからデータを読み込んで写真のデータをアップロード終了後、10分くらいでネットショップができます。
スマホからも注文可能です。

掲載された写真には自動で「すかし」が入るため、データをダウンロードして自分のプリンターで出すことはできません。
家族で一緒に写真をセレクト
お子さんの写真を勝手に見られるのは嫌だという方も多いため、ショップには、QR コードとパスワードでアクセスできる仕様です。
遠足の写真販売のお知らせにQRコードをつけた案内を学校で配布します。
アプリではないので、パソコンでも古いスマホでもアクセス可能です。
家族で一緒に写真を見て、遠足のことを語り合ったりしながら、楽しく写真を選ぶことができます。
普通のネットショップと同じ要領で購入可能

アマゾンや楽天などのネット通販と同じように購入できます。
あえて変わったことはしていません。
送付先をおじいちゃんやおばあちゃんの家にすることもできます。
購入後の流れ

注文を受け取った後の流れです。写真のプリントについては、銀塩写真用プリンターのデータに、注文した写真のデータが自動的に変換されます。
作成されたデータを読み込み、自動的に写真および宛名ラベルがプリントされる仕組みです。
後は、梱包して宛名ラベルを貼り送付するだけです。

さらに、売上枚数の集計も全自動で行います。
学校への売上報告と、写真の売り上げに応じたカメラマンへの手数料支払についても、自動計算されます。
「PictPal」(ピクトパル)導入効果

先生の作業もなくなり、親子で写真を見ることができ、写真店も作業が減って楽に、さらにいっぱい販売できれば、カメラマンも収入がアップ、
クラウドで革新して、みんながハッピーになりました!
サービス利用料について

システムが良いのはわかったけれど、サービス導入や利用に料金がかかるのかという質問をいただきます。
実は利用料をいただいておりません。
なぜかというと、写真が売れればちゃんと利益が出るからです。

アプリではなくクラウドサービスにした理由

実は他社で同じようなことをアプリでやっている会社があります。
しかし、アプリの場合は古いスマホだと利用できない場合もあります。
その点クラウドサービスであれば、ネットにアクセス可能であればPCからでもスマホからでも利用可能なので、使う方のデバイス環境を選ばない点がメリットです。
またお店の処理も楽です。
クラウドであれば、ショップを作るときもアプリ・ソフトはいりません。
クラウドだから、注文後の処理もアプリ・ソフトはいりません。
パソコン1台あればできます。
さらに、クラウドだからバックアップも気にせず、端末が仮に故障しても平気です。
パソコンにデータが残らないからセキュリティが万全というメリットもあります。
クラウドだけで全部完結する「ALL IN CLOUD」!
クラウドだから、スマホ・パソコンがあればどこからでも使えます。
もし「PictPal」(ピクトパル)導入がなかったら……
従来の写真販売方法だった場合、学校でも「もう面倒だから」と販売を取りやめることになったかもしれません。
写真店さんも、時間も手間もかかって売っても利益が得られないから、その分写真を値上げしたり、そうなるとさらに売れなくなるという悪循環の繰り返しだったかもしれません。
しかし、遠足をはじめとした学校行事の写真には「子供たちの笑顔を残す」という役割があります。
カメラを向けるだけで笑顔になるお子さんの姿を、思い出として形に残したい。
時代の変遷に伴って、「アナログのあたたかさ」に換わる、デジタルだからこそのあたたかさを大事にしていきたいと思います。
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