株式会社太陽都市クリーナーは、私たちが生活する上で必ず出る廃棄物の回収事業を営む企業です。2018年7月の西日本豪雨による市内の惨状を目の当たりにし「我々の事業はどんな時でも止めてはいけない」と、予期せぬ自然災害などへの備えでとしてBCP対策を行うことを決意。一番初めに業務のクラウド化に取りかかりました。社員からのネガティブな反応を払拭するために、皆で遊びながらクラウドツールに親しんでいくなどのアイディアが功を奏し、現在では、業務に合わせて10以上のツールを社員全員で使いこなしています。社会公共性の高い事業を維持するために、クラウド化に取り組んだことが評価され、中国総合通信局長賞を受賞しました。
株式会社太陽都市クリーナー
所在地:広島県府中市中須町1515
創業:昭和39年4月6日
事業内容:一般廃棄物収集運搬(固形・液状)、産業廃棄物収集運搬、資源回収リサイクル業務(エコステーション)など
従業員数:28名
https://www.fuchu-ttc.co.jp/
クラウド化に取り組んだきっかけ

当社は、一般/産業廃棄物の収集・運搬(固形・液状)、資源回収リサイクル業務などを手掛けています。非常に多くの箇所を巡回し、業務を行っている状況です。
2018年7月の西日本豪雨

当社の目の前には、一級河川である芦田川が流れており、会社からは美しい風景が眺められました。
しかし、2018年の7月西日本豪雨で芦田川は氾濫危険水位まで増水。会社に被害は出なかったものの、市内では多くの家屋が浸水し、災害廃棄物が発生しました。それだけでなく、多数の道路が土砂崩れ・崩落などで通行止めになったのです。
この時考えました。
「もし目の前の川が氾濫していたら……」
「もし、会社のサーバーが水没していたら……?」
仕事が続けられなくなってしまいます。
人が生活する上で必ず出る廃棄物を回収する私たちの仕事は、どんな時でも止めることのできない業務です。
だからこそ、BCP(事業継続計画策定)が必要だと考えました。BCP の中で一番初めにクラウド化することが重要だと考え、推進することにしたのです。
導入したクラウドツール

それから3年がたち、当社ではこのように多くのクラウドツールを導入しました。
テレワークや直行直帰がやりやすいようにクラウド勤怠管理のKING OF TIME 。会社に電話に出るためだけに出社していたスタッフもいましたので、クラウド PBX「モッテル」 を導入し、どこにいても会社にかかってきた電話が受けられ転送できるようにしました。
Chatworkの活用

業務の性質上、現場スタッフは朝会社を出発して夕方まで戻らないことが多くあります。
その状況で一番大切なのは、オフィスと現場スタッフの情報共有です。
そこで、Chatworkを導入。お客様からいただいた連絡を現場に伝えるときは、これまで電話を使っていたのですが、Chatworkで確実に情報が共有できるようになり「とりあえず共有」という文化が浸透しました。
「これって言っておいた方がいいのかな」「この情報はどうなんだろう?」というようなことでも、何でも共有することでみんなと情報を確実に共有することができるようになったのです。
おかげで顧客対応のスピードが上がり、無駄なやり取りも減りましたし、タスク機能を使って作業のを忘れや漏れを防げるようになりました。
雑談チャットをつくってコミュニケーションも取っています。
Googleマイマップ

次に紹介したいのはGoogle のマイマップという機能です。
市内に700か所あるごみステーションには、番地も住所もありません。そこで緯度経度で地図上にプロットしたものです
マイマップをオフィスの‘PCや現場のスマホで確認することで「今日はどのごみステーションを回収に行けばいいのか」いうのが一目でわかります。
クラウドツールを導入した効果
これまでの「電話連絡」や「伝言メモ」「ホワイトボードのスケジュール」では連絡ミスや確認漏れ、またベテランや特定の人間に業務が集中してしまうなど、業務の偏りがありました。Chatwork、Googleマイマップの活用で、確実な情報共有ができたり、ベテランに頼らずいつでも誰でも作業ができるようになりました。
さらに、Googleフォームも活用。日報が簡単にできるようになり、アンケートなども活発に意見が出てくるようになりました。
クラウドツールを導入までのハードル

クラウドツール導入まではハードルがありました。ネガティブな意識からなかなか抜け出せなかったのです。

そこで、本格導入の前にはとにかく「遊び」を取り入れました。
例えばChatworkでは雑談チャットを作って趣味の話をしたり、朝礼や部門会議をオンラインでやってみたり。さらに、オフィスにはアレクサを取り入れ、好きな音楽をかけられるようにしています。

こちらは、会社の倉庫の隣に作った「テレワークを試してみる部屋」です。
スマートロックやスマート家電、スマートスピーカーなどを置き、空調から照明、音楽まで全てスマホで操作する体験ができます。
いきなり自宅でテレワークをするのはハードルが高いと思い、ここでテレワークを体験してイメージをつかんでもらおうと考えました。
こうした遊びの体験を通じ、社員にとってクラウドツールが身近なものとして感じられるようになってきたと思います。
クラウドツール使用の副産物

クラウドツールは、もともと情報共有をするために導入をしたのですが、副産物としてスタッフの意識に大きな変化が出てきました。
特定のスタッフだけでなくグループで連絡をするため「僕も行きます」「私もやってみていいですか」という自発的な声が発生するようになってきたのです。
そして、現場での課題・問題点を共有し解決する力がつきました。
情報共有をしているので、「いつでも」「誰でも」「どこでも」作業ができるようになり、顧客への対応スピードが格段に上がってクレームが減少。顧客満足度が上がりました
そして、何よりもスタッフがイキイキとしてたのです。

チャットツールなどでの交流が増え、部門の垣根を越えた交流が活発になったことも
影響し離職率が大幅に低下しました。
さらに、求人応募数が大きく増加しました。2017年に募集した時と比べ、昨年の募集ではなんと6倍の応募があったのです。
先ほどの「遊び」の取り組みなどSNSで継続発信し、ネーミングライツパートナーや寄付活動、メディア掲載などで親近感を感じていただけた結果だと思います。

もともと情報をつなげることを目的としたクラウドツールでしたが、クラウドツールを通じて心の繋がりが生まれました。
昔は顔を見て、膝を突き合わせて話をしないと本心がわからない心が伝わらない、Face to Face と言われていましたが、今ではクラウドツールを使うことで心と心を繋ぐこと。、
Mind to Mind ができるようになりました。
これからもクラウドツールを使って新しい働き方・新しい未来に向かってトライし続けようと思います。
DX推進の取り組みを共有しませんか?
日本DX大賞 2025 エントリー募集中