事例

IT経験ゼロから始めた Salesforce導入奮闘記

業務に必要な情報が散らばっていると、非効率な業務が生じるばかりでなく、業務引継ぎができなかったり、営業活動がままならないなど、多くの問題を引き起こします。株式会社Fabric Arts 管理統括本部の前島さんは、未経験ながらSalesforceの導入を経営に提案。IT経験ゼロでしたが、Salesforceのサポートを受けながら社内に散らばっていた情報を一元管理して環境構築を行いました。まずは情報を集約化するところから始め、ルーティン業務の自動化や業務の可視化、スタッフへのツール移行を促し、導入から3ヶ月で本格運用を始動。スタッフのフィードバックを受けながら改良を行い、1年たった現在では全社員が使用するまでになりました。できることから一歩ずつ、着実に問題解決に取り組まれた事例です。

株式会社Fabric Arts

所在地:広島県広島市中区紙屋町2-1-22 広島興銀ビル9F
設立:2007年11月
事業内容:Web制作、アプリ・システム開発、グラフィック、ブランディング、など
従業員数:39名
https://www.fabric-arts.co.jp/

導入のきっかけ

Salesforce導入当時、社員の勤続年数は3年未満。定着しているとは言い難い状態でした。

業務引継ぎも十分に行われなかった為、一部はスタッフの記憶に頼って業務を進めるような状況。営業スタッフは次第にそれぞれが異なるツールを使うようになっていました。もちろん、会社の取引先の情報も集約されていません。

このような状態を改善するべく、会社は人材の定着化、情報の一元管理、営業活動の見直しを図るため、Salesforceを活用することを決定しました。

導入のポイント

Salesforceの環境構築については、 IT 経験ゼロの管理部の私が担当することになりました。

そこで、まずは情報を集約することに注力。初期の運用はメンバーを絞って行うことにしました。2020年8月に経営層・管理部として欲しい数値を抽出し、情報を集め整理。

翌月には仮運用を行い、スタッフからフィードバックをもらいながらブラッシュアップを繰り返しました。3か月後の2020年10月から本格稼働を開始し、現在に至っています。

どのようにSalesforceを活用しているか?

活用の一例目は取引先の一元化です。
取引先ページを作成し、今まで使っていたツールの情報をすべて集約。
取引先に関する情報をまとめています。項目別にタブやアイコンで分けて、必要な情報を入手しやすいレイアウトにしました。

次に行ったのは、クライアント担当者の一元化です。
これまで、取引先の担当者連絡先は営業スタッフによる個別管理でしたが、一元管理することで、会社からアナウンスしたい内容などをスムーズに伝えることができるようになりました。

続いて、ルーティン作業の自動化です。
業務を整理し、単純なルーティン業務については自動化も進めました。
自動化により、単純作業の効率化やミスなどの軽減に繋がっています。

ルーティン作業の一例として挙げられるのは、更新メールです。
年間契約をしているお客様には、契約終了の2ヶ月前に更新の連絡をしていました。
このメールに会社名や担当者更新時の費用を記載していたため、更新メールの内容確認には、毎月の半分を費やしていたのです。

取引先の契約情報を一元管理したことから、契約終了の2カ月前に必要項目をリスト化することができるようになりました。リスト内容に問題が無ければ更新メールを送信するまでの流れを自動化することで、業務効率化に繋がっています。

続いて、未完了業務の自動化です。
取引先からの問い合わせ窓口を一本化。Salesforceを使ってタスクの振り分けを行い、
期日までに完了していない業務は、定期的にアラートを鳴らすことで対応漏れを防止しています。
それと同時に、スタッフに割り当てている業務の状況についても可視化できるようになりました。

最後にデータの可視化です。
情報を一元管理することで、必要な数値を抽出しやすくなり、グラフなどで図解することで視覚的に意識しやすくなりました。

さまざまなデータを扱うことで「次に何をしたらよいのか」を、グラフやレポートを見ながら行動することができるようになっています。

苦労した点と克服方法


IT 経験のない私が構築担当になったため、導入当初はわからないことが多かったのですが、Salesforce の担当者の方のレクチャーを毎週受講し、サポートもフル活用することで、現在の状態まで構築することができました。私だけでは思いつかない効率化や自動化などもアドバイスいただくことで、より使いやすいものになったと思います。

本格稼働を始めた当初、スタッフは使い慣れたツールから離れ難いところがありましたが、ブラッシュアップを繰り返し、定期的に使用状況をチェックすることで徐々に定着していきました。

定着化のポイント

システム構築期には、当時使用していたツールを分かる限り全て集約・整理、ツールで使用していた表現や項目を引き継ぐことで、スタッフが馴染みやすい環境を目指しました。

仮運用期には、スタッフに実際に使ってもらいながら、フィードバックを元にブラッシュアップを重ねました。本格稼働期には、定期的な使用状況のチェックと、間違いやすいポイントなどについては項目を精査するなど改善を重ねていきました。

本格稼働から今月で1年間経過しましたが、現在は全員が毎日Salesforceを使用しています。

Salesforceを活用して得た効果と影響

Salesforceを使うようになって得た効果は大きく3つあります。

まず業務量の可視化です。
業務依頼をタスクにすることで内容が可視化され、スケジュールが組みやすくなりました。

次に、使用ツールへの興味。
最初に使用するスタッフを絞ることで使用状況を把握できたので、改善のレスポンスを密にとれました。同時にスタッフ自身がSalesforceに対する興味を持つようになりました。

最後に、勤続年数度と離職率の改善です。
稼働してまだ1年ですが、今では全員が毎日Salesforce を使っています。勤続年数は3年を終え、離職率も1.36%と前年より2%改善することができました。これは、Salesforceを活用しているすべてのスタッフが同じツールを使い、業務の共有をできることが一因になったのではないかと考えています。


今月で本格稼働は1年ですが、効果が見え始めてきたので一部のスタッフのみが使用していたものを、今月から全員が使用することになりました。さらに業務効率化を図っていきたいと思います。

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