山形市が直面していた救急医療の課題

山形市では高齢化に伴い年間約13,000件の救急出動が発生していました。令和5年の救急搬送困難事案は657件に達し、村山地域全体の97%を占めるまでに。医師不足や医療スタッフの高齢化、そして脆弱な救急体制という構造的な課題を抱えていました。
救急隊と医療機関の情報共有は紙と電話のみ。搬送先の選定に時間がかかり、患者の命に関わる深刻な問題となっていたのです。
解決策:クラウド型救急医療情報連携システム「NSER mobile」

TXP Medical株式会社が開発した「NSER mobile」は、救急隊員がタブレット端末を通じて患者情報を病院とリアルタイムで共有できるクラウドベースのシステムです。
主な機能:
- AI音声入力による自動フォーム入力
- AI-OCRによる保険証やバイタルモニター情報の自動テキスト化
- リアルタイムでの病院への情報共有
導入成果:数字で見る救急DXの効果

2024年7月の運用開始から半年で、目覚ましい成果を上げています。
- **システム利用率91.7%**を達成
- 7消防本部・16病院に展開
- 搬送困難事案が令和6年度421件に減少(前年度比1.85%減)
- 年間1,950時間の事務業務時間を短縮
- 年間約3,562件の電話対応が不要に
成功の鍵:「一枚のパンフレット」から始まった連携
この取り組みは、山形市消防本部の職員がTXP Medicalのパンフレットを目にしたことがきっかけでした。「救急の現場を本気で変えたい」という熱意とTXP Medicalの技術力が共鳴し、プロジェクトが始動。
成功の要因は、「できるところから一緒に」という姿勢にありました。各自治体のペースに合わせた柔軟な参入体制を構築し、トライ・アンド・エラーを恐れないアプローチで信頼関係を築いていったのです。
「山形モデル」から全国へ
この「山形モデル」は現在、全国への展開が進んでいます。新潟市、北九州市、那覇市などでの導入が進行中であり、総務省消防庁の救急デジタル化技術カタログにも掲載されました。
山形市から始まった救急DXの取り組みは、日本全国の救急医療の未来を変える可能性を秘めています。