事例

株式会社ペンシル「クラウド型社内報の活用で組織の一体感が生まれコロナ禍でも従業員エンゲージメント向上を実現」

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

 2020年11月27日に行われた福岡大会より、株式会社ペンシルの事例をご紹介します。全国+海外にも拠点があるというペンシルは、業績は順調ながらも従業員満足度の評価が低いという状況でした。コロナ禍で在宅勤務になる中、どうやって会社の理念を浸透し、社内の一体感を醸成したのか。DXのコモディティー化を目指した取組みをご覧ください。

株式会社ペンシルの概要

■法人名:株式会社ペンシル

事業内容 

ウェブコンサルティング

ウェブプロモーション

ウェブマーケティング

アクセス解析

■設⽴:1995年2月10日

従業員数:140人

■公式WEBサイト:https://www.pencil.co.jp/

ペンシルは、ウェブコンサルティング事業を行う企業です。現在創立25周年を迎え、15期連続黒字を達成。本社のある福岡に限らず全国にある様々なクライアント企業のウェブ戦略のお手伝いをしています。

スタッフから、わたしに届いた声

こちらは、クラウド化を行った後にスタッフから寄せられた声の抜粋です。

「メッセージ、涙が出ました」

「会社に貢献したい」

「社内の情報がクリアになってきて信頼ができる」

「漠然とした不安が薄まってきた」

他にも

「答えにくい内容にも真摯に向き合って回答しているのがよくわかる」

「自分自身の考え方が変わりつつある」

「風通しが明らかに良くなっている」

「誠実さを感じる」

このような声が、クラウド化によって集まりました。

現在はコロナ禍のため、会社で集まって朝礼をしたり会議をしたりなどが難しくなっています。

そのような状況の中で、どうやってスタッフとの一体感をつくっていけばいいのかと悩む企業や経営者は多いですが、スタッフからのこのような声には私自身が勇気づけられました。

このような結果をもたらした取組みを紹介します。

直面した困難

ペンシルは、業績的には非常に順調なようにみえていましたが、社内には困難を抱えていました。

従業員満足度

従業員の働きやすさやモチベーション、また仕事や会社へのエンゲージメントを定量的に測るために実施する従業員満足度調査の数値は決して高いものとはいえず、会社の業績としては非常に順調ではありながら、従業員の満足度は非常に低いという状態でした。

企業理念と行動規範

 そこでまず取り組んだのは、企業理念浸透です。

「インターネットの力で世界のビジネスを革新する」というのがペンシルの理念ですが、この理念が社員に伝わっていないということが、エンゲージメントが低い原因なのではと考えました。

企業理念の浸透を一番に掲げ、様々な取組みを行いました。

全体の朝礼や全体会議などで、企業理念について話し、

・どのような思いでやっているか

・なぜその理念になったのかなど、説明を繰り返し行ったのです。

しかし、スタッフには本当に伝わり、共感されているのかどうか、反応が非常にみえづらかったので、結果がどうであったかというPDCAも回しにくいという状態が続いていました。

現在、東京や長崎(壱岐)、海外にも台湾など国内外に7拠点を構えています。

各拠点にいるスタッフが、同じ情報を同じ温度感で共有したいと考えても、一堂に全員が

集まることは実際には難しい状況でした。

そこで「どうやったらスタッフにこの全体の温度感を伝えられるのか」を念頭に取組みを行うことにしたのです。

困難を乗り越えるために

取組みの方向性

取組みの方向性については、

・縦横斜めにコミュニケーションを活性化させたい

・組織やチームの一体感を醸成したい

・ノウハウや仕組み化のプラットフォームを作りたい

この3つのポイントを満たすものは何かと考えました。 

取組み

そこで導入したのが、クラウド型コミュニケーションプラットフォーム「ペン知るん。」です。2019年の12月に運用を開始しました。

社内報をクラウド化したものというだけではなく、国内外の拠点で同じ情報をスピーディーに発信ができるということ、そして「いいね!」やコメントでリアクションを収集できること、さらに閲覧率で社内のモチベーションの把握ができる機能があります。 

スピーディな情報発信/収集

情報発信については、各部門や拠点に発信担当を設置して記事投稿を推進し、様々なところで点在していた情報を一箇所に集めたことによって、「このサイトをみれば様々な情報がわかる」環境をつくりました。

国内外の拠点間で同じ情報を共有

また、本社からの一方的な発信だけでなく、壱岐やベトナムのオフィスなどからそれぞれのスタッフが発信をすることで、双方向のコミュニケーションを行う仕組みとなっています。

いいね!やコメントでリアクション促進

また、「いいね!」で共感や支持などの意思表示もできます。

例えば「◯◯さんがこんなことを頑張った」といった投稿に対して、みんなが気軽に「いいね!」を押したり、おめでとう!といったコメントをするなど、お互いを応援したり共感するような雰囲気作りに取り組みました。

閲覧率で社員のモチベーション把握

一番大事なのは、社員の反応をきちんと分析をするということです。

そこで、部門や年次や役職などのカテゴリでアクション率や閲覧率などをデータとして分析をしました。

得られた情報をもとにPDCAを回しながら社員のモチベーションを測ります。

例えば、閲覧率などから「A部門のモチベーションが低いんじゃないか?」となれば、そのスタッフたちに読んでもらうにはどうしたらいいかなど、情報発信を修正していくということも行いました。 

思いの発信と対話

理念浸透を目的として、トップメッセージの発信を必要なタイミングで行うだけではなく、私自身も社員からのコメントに対して返信をしたり、社員の投稿に対しても積極的にコメントをしたり、双方向の意見交換も活発に行いました。

コロナ禍の取組み

コロナ禍では、在宅勤務をしていました。その時にもトップメッセージや会社の取組みをスピーディーに発信。

それだけではなく、リモートワーク同士でミーティングする際は、同じお菓子を食べながら

行ったり、社員の在宅勤務の様子や工夫の仕方なども発信することで、孤独感や不安感を軽減しながら、スタッフ同士のつながりの維持強化を行いました。

取組みのポイント

クラウドサービスを活用することで、紙にはないスピード感で情報共有ができました。

トップや経営層が自らカテゴリの設計に加わったことで「社内報」の目的を理念浸透に絞ったことも本取組みのポイントです。

また、発信して終わりでなくて、閲覧状況も把握しながら「なぜ社内報を読んでほしいか」ということをスタッフ一人ひとりに向けて、ケアしています。

取組みの効果

ペン知るん。の活用状況

実際に「ペン知るん。」がどのように活用されているかですが、月間のアクティブユーザー率は96%、記事の月間投稿数は平均51件となり全部署から発信されている状況です。

運用委員によるコンテンツ改善のためのアイディアは直近4ヶ月だけでも57件出されています。

どういうことをすれば、みんながみてくれるんだろう?という観点で改善を行いました。

また、コロナの影響もありますが、そんな中でも非常にポジティブにお客様に新しい提案をしたり、逆にクライアントが業績的に困っているため、自分たちができることを模索したりと、社員が企業理念に沿った行動をとるようになり、今後の数値にはこれらが生きてくるのではないかと感じています。

理念浸透度アップ

このような取組みを続けた結果、従業員満足度調査の理念浸透に関する項目は122%アップ。会社や仕事に対する総合的な満足度もこれまでにはなかったレベルで飛躍的に改善しました。

ペンシルが大事にしているのは、DXそのもののコモディティー化。

「1社でも多くの企業が取り入れられるDX」を念頭に、多くの企業が取り入れられるような取組みを自社がまず実践しました。

 コミュニケーションあり方の新しい形というのを実現したことにより、個人の力を組織の力に変えられたのではないかと考えています。

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