事例

コロナ禍でも止まらない支援で、子育て支援のクラウド活用を牽引

子育て支援-最もIT化から遠いと思われる業態ですが、なんと2003年からクラウド化に取り組んでいる団体があります。埼玉県のNPO法人新座子育てネットワークです。Gmailの利用から始まり、システムに詳しい人がいない中、地道に勉強して業務システムをほぼすべて内製化しました。しかも年間システム予算はなんと8,160円!オンライン会議も2012年から開始し、コロナ禍ではいち早くテレワークに移行。スムーズな在宅業務で事業を継続し、ポテンシャル強化を実現できています。「お母さんはいつでもマルチタスク」からのクラウド利活用は、現場の工夫によって必要なシステム化を着実に実践してきました。中小企業のDXにおいて非常に参考になるモデル事例だと高く評価され、関東総合通信局長賞を受賞。その歩みをぜひご覧ください。

NPO法人新座子育てネットワーク

所在地:埼玉県新座市菅沢 1-4-5-2F
発足:1999年(平成11年)9月9日
事業内容:子育て・家庭教育支援事業、行政・関係機関への支援事業、子育て情報事業、委託事業、人材育成・教育研修事業、調査・研究・開発事業ほか
従業員数: 43名
https://www.ccn.niiza-ksdt.com/

20年のNPO活動を支えるクラウドシステム

1999年に発足した「NPO法人新座子育てネットワーク」ですが、2019年に20周年を迎えました。「ハタチになった子育てネットワーク」をkindle出版しております。これまで、この年表にあるように、さまざまな取組を行ってきました。

現在、当NPOには47名の職員が在籍し、事業所は5箇所、50を超えるプロジェクトが常に動いています。個人組織100を超える取引先をかかえ、事業規模としては約1億円の業務を行っている状況です。

この、我々のNPO活動を支えているのがクラウド活用。
私たちはGoogleWorkspaceを活用しています。

クラウドの年間運用費用は8,160円

クラウド活用の始まりは2003年から。現在で18年となります。
導入の初期コストとしては、Googleの無料メールアドレスから始めたので無料です。
2003年当時のクラウドは、今のような状況ではありませんでしたが、私たちにとってはそれでも非常に使い勝手の良いものでした。

さらに、現在の年間運用費用は8,160円。大変安価です。
これにはポイントがありまして、私たちのシステムはほぼスタッフが内製化していることです。
スタッフたちが日々クラウドの活用方法を勉強して自分たちで身につけ、ほぼ全てを内製化していることが、コストの低さの要因となっています。このシステムは全てのスタッフが活用しており、現在47名のスタッフが常時使用しています。

なぜクラウドに着目したか

私たちがクラウドに着目したのは、「お母さんだから」と言えます。
当NPOは、お母さんたちのボランティア活動から始まった子育て支援です。
お母さん達の日常は、子育てや家事。その中でも、この様々な種類のことをこなしています。つまり24 時間マルチタスクです。頭の中では常に効率化のことを考えています。

私たちお母さんがクラウドを見逃すはずがありません。無償非営利のボランティア活動において、お母さんスタッフの時間資源やマンパワーは限られています。

情報共有、活用して効率化を図ってパフォーマンスを向上させていくために、クラウドに着目しました。「これを使わない手はない」と思ってクラウドを導入。クラウドの進化と共に私達の業務が拡大してきたといっても良いでしょう。

2003年に始まったクラウド導入ですが、2010年には基幹システムとして本格的な運用を開始。
勤怠管理、業務日誌・報告書といったものはクラウドで作成・共有していました。それから、
契約書や予算管理、経費精算、給料計算なども順次クラウドの利用を開始しています。

多くのスタッフ、そしてボランティアの皆さん、特に子育て中のパートさんのスタッフが多い当NPOでは、スケジュール調整は本当に複雑です。そのような状況では、皆の仕事のスケジュールが見える化されるクラウドが、大変使い勝手が良く馴染みました。

そしてオンライン会議、これも 2012年 頃から多くのスタッフが使っています。

このようにクラウド化を推進していった結果、新型コロナウイルスの感染拡大の際も、
2020年の春にはスムーズにテレワーク体制に移行することができました。

さらに、オンラインを活用した子育て支援の情報発信にも、いち早く取り組んでいます。
支援を必要としている人たちに、支援を止めない止まらない支援を実現することが、
クラウドによって可能になっているのです。

クラウド化のあゆみ

2003〜2019年ごろまでは、 ICT に関心がある職員で、大方のことはカバーできていました。
先ほどのローコストの要因の 1 つでもあります。スタッフの中には、特に ICT の専門経験がある人はいませんが、皆でインターネットで検索したり、ヘルプ機能を使ったりして、ユーザーとしてスキルを高め、クラウド活用を推進してきました。

2010年以降、事業所が多拠点化する中で、このクラウドの本領発揮です。
データ共有やスケジュール管理、オンライン会議と、着実にクラウド活用を広げていきました。

2018年にはChromebookを本格導入し、文書・表計算・スライド・サイト作成についてもGoogleクラウドのアプリを社内デフォルトにしています。 

2018年当時は、Chromebookが国内市場にあまり出回っていませんでしたので、ここで初めてベンダーに依頼して調達しました。このように、専門家や外部業者の支援は、本当につい最近のことです。

クラウドのアプリを社内デフォルト化することで、アプリケーションの購入コストを大幅に削減できました。PCを順次Chromebookに置き換えていくことで、ハードの調達コストも削減できています。

さらに、Google for Nonprofit という非営利団体向けのプログラムも利用しています。
NPO 法人向けに Google が提供している無償で利用できるプラットフォームです。
対象団体には条件があり、審査もあるため、どんな団体でも利用できるものではありませんが、当NPOは幸い合格しまして活用しております。これもローコストの要因の1つです。

クラウドにChromebookが加わったことで、2020年からのコロナ禍では、早急にテレワーク利用が始められたので、業務の空白を最小限に抑えられました。

導入当初の2003年頃から考えると、クラウドは大変使いやすい技術になっております。特に ICT の知識がなくても、ヘルプセンターも動画での説明なども大変わかりやすくなってきているため、誰でも活用できると思います。

緊急事態宣言発令によって、私たちが運営する児童センター、子育て支援センターは休館を余儀なくされました。しかし、クラウドを基幹に業務してきた経緯がありましたので、急遽テレワーク体制を取り、スムーズな在宅業務移行で事業を継続し、ポテンシャルの強化も実現できました。

ステイホームが続くことで、子育て家庭の家庭の孤立による親のうつや虐待のリスクが社会的に問題になっていたのは、ニュースなので皆様もご存知かと思います。

オンラインによる子育て支援の出番でした。当NPOが参画する全国組織と共に調査を行い、
オンライン活用の研修プログラムを開発提供し、子育て支援分野でのICT活用の推進の旗振り役も担いました。

これまでのクラウド活用の実績を活かし、取引先である行政や企業団体、他NPOなどにオンライン会議を提案。 事業の継続をサポートしました。

子ども子育て支援の NPO の多くが ICT 活用に大きく遅れを取っています。
いじめや不登校、子どもの貧困、児童虐待など、子育てが難しい時代です。当NPOは、次世代を育む活動分野に、クラウド化の風を吹かせる存在となることを目指していきたいと思います。

応募受付中

日本DX大賞

DX推進の取り組みを共有しませんか?

日本DX大賞 2025 エントリー募集中

あなたの組織DX推進事例をぜひ日本DX大賞にご応募ください。他社の参考となる貴重な取り組みを共有することで、日本のDX推進に貢献。また、受賞企業は事例集への掲載やイベントでの登壇機会など、さまざまな形で企業価値向上につながります。