全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。2022年10月14日に行われた「東海・北陸大会」より、ひとり経営でフルDXに挑み、売上300%を達成した株式会社ジェイ・バンの事例をご紹介します。
株式会社ジェイ・バンの概要
■法人名:株式会社ジェイ・バン
■事業内容:研修・コンサルティング
■設立:1999年1月
■公式Webサイト:https://j-ban.com/
他には無い独自のコンテンツで勝負
ジェイ・バンは 、「性格統計学」をもとに円満な人間関係を築く「伝え方・受け止め方」のメソッドを広める富山の会社です。
「性格統計学」とは私が16年間 、12万人の統計データを元に体系化したコミュニケーションメソッドです。ジェイ・バンはこの「性格統計学」をもとに2つの事業を行っています。
1つ目は資格認定事業です。性格統計学を学びたい方に向けたセミナーを開催したり、教材販売を行っています。この学びをさらに活かしたい方向けに、カウンセラー・講師の育成も行っています。

2つ目は、ソフトウェアの開発販売です。2種類あり「伝え方ラボ」という相手に合った伝え方・受け止め方を指南するコミュニケーション支援アプリ、それから「AI見守り会話アプリ」です。これは「MaMo」というロボットに連携して自動でコミュニケーションできる会話アプリです。


DX駆使によって3年で売上300%に
株式会社ジェイ・バンは DXを駆使して3年で売り上げ300%に成長しました。
さらに来期は、今期の倍を目指しています。

現在私はこれらの事業をひとりで切り盛りしています。
なぜ一人でできているのか、これまでの経緯を交えながらお話ししていきます。
クラウド化すれば「一人経営」も可能
先ほど3年で売上300%に成長したとお伝えしましたが、それまでの3年間はどん底で悲惨でした。
まず、2017年、開発していたアプリの完成が遅れて経営の危機に陥りました。4人の従業員を泣く泣く解雇、そして事務所を退去せざるを得ず、さらに2ヶ月後の支払いの目途が立たないという、もう究極の状態でした。
そんな時、「会社は一人で経営しなさい」という、1冊の本と出会いました。「社員がいなくても業務を外注すればいいんだよ」「そのためにクラウドシステムを活用すればいいんだよ」といったことが書かれていて、そこで私は「一人経営」を決意しました。
ジリ貧から抜け出すためのクラウド導入
その後2018年、開発途中だったアプリ「伝え方ラボ」がようやく完成しました。
完成しても、そうそうすぐに売り上げが立つわけでもなく、苦しい日々が続きました。
そして2019年、「このままだったらもう、ジリ貧になっちゃうな」「何とか抜け出したい」と考え、本格的にクラウドシステムを使ってDXをスタートすることにしました。
その時「会社の強み・課題」をコンサルタントの方に分析していただきました。
課題は「人がいない」「お金がない」「営業力がない」という点でした。一方、強みは「他にはない独自のコンテンツを持っている」 そして「私(経営者)の発想力・行動力が素晴らしい」ということで 褒めていただきました。
苦境から復活できた3つの理由
さて、苦境に陥っていた会社が、どうやって立ち直ることができたのか?理由は3つあります。
1つ目は「ビジネスモデルのDX化」です。リアル中心の研修を、オンラインに転換しました。全国どこからでも参加できるようになって、さらにセミナーを動画教材としてパッケージ化しました。これにより24時間365日、自動で販売できるようになりました。
2つ目は、社内業務と受付業務をクラウドシステムで一元化しました。これにより 事務作業を外注できるようになりました。現在は、千葉県の子育てママさんに事務を依頼しています。

3つ目は、カウンセラーや講師がオンラインで働ける仕組み作りです。
性格統計学を学んで資格を取得した方々が自宅で起業・副業できる仕組みを構築しました。人生100年時代、社会貢献しながら 働きたいと思ってる人は数多くいます。
日本中どこに住んでいても、共に活動していける基盤を作ることができました。
さらには、海を越えてインドネシアにお住まいの方にもご協力いただいています。
DX実践の5ステップ
DX実践に向けて、具体的に5つのステップで進めていきました。
まず1つ目は、一通りの業務を全部自分でやってみました。セミナー申し込みの受付から、入金などの経理、合格証の発行など、以前は人に任せていた業務を全部自分で経験していくことで、無駄や改善点が見えてきました。
2つ目は、見えてきた無駄や改善点を踏まえ、AIクラウドシステムを導入、業務フローに合わせてカスタマイズしていきました。
3つ目は、手動でやっていた業務を自動化し、集客に成功しました。2020年、テレビで紹介され、放送後たった7日間でメルマガ登録が約5000件、LINEの登録が2000人を超えました。自動化によって想像を上回る成果を実感できました。
4つ目は、動画教材を作って販売することです。テレビを見て性格統計学に興味を持ったお客様がメルマガやLINE登録していただいても、売るための商品がありませんでした。私1馬力では限界があったのです。そこで、動画教材を作ってパッケージ化しました。
そして5つ目は、1馬力からの脱出です。「一人経営」には、 やはり限界があります。
そこで、資格取得をした講師・カウンセラーが自宅で起業できるクラウドと仕組みを作りました。「ミエルカ」という顧客管理システムを活用し、専用Webサイトから集客・受付・決済ができるようになっています。
講師が入力するスケジュールの管理画面と、Webサイトの予約画面が連動してリアルタイムで反映できます。講師は自分の生活スタイルに合わせて自由にスケジュール設定ができます。この仕組みによって仕事をしたい主婦や、副業したい人と共に事業を展開できるようになりました。
今後について
最後に、ジェイ・バンの今後について、主要な2つの取り組みをご紹介します。
1つ目は他企業とのコラボです。イオンやららぽーとなど全国58拠点を持つカルチャースクールJEUJIA様と提携することができました。2022年12月から都内のららぽーとを皮切りに初級検定講座を開催します。今後は各地の講師を要請して全国のJEUJIAカルチャースクールに展開し、資格取得した方々が起業・副業できる活躍の場を今後も増やしていきたいと思っています。
2つ目は、今後さらに加速する高齢化社会に向けて、 高齢の親を持つ見守り世代を対象に、新規サービスを開始しました。ロボットとの連携で会話ができるアプリが完成しました。お年寄りの認知症予防に貢献する新規事業を展開していきたいと思っています。

今後も株式会社ジェイ・バンはDXを駆使して、社会に役立つ事業を展開していきたいと思っています。
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