事例

有限会社フジクラ「売上↑経費↓×全員参加型経営×意識改革~「売上最大・経費縮小」を目標とし、クラウドサービスに取り組む~」

全国中小企業クラウド実践大賞は、クラウドサービス利活用を実践し収益力向上・経営効率化したモデル事例のなかから、コンテストにより優れた取り組みに対して総務大臣賞、日本商工会議所会頭賞等を贈るコンテストです。

 2020年11月27日に行われた福岡大会より、有限会社フジクラの事例をご紹介します。情報共有と人事労務管理にクラウド化を実行し、業務効率化だけでなく、社員の経費と勤務時間に対する「見える化」を図りました。クラウド化による成功報酬へのシフトチェンジで年収が大幅にアップした社員も。結果的に経費を抑え、売上のアップに成功されています。

有限会社フジクラの概要 

■法人名:有限会社フジクラ

事業内容 :プラント総合設備工事業

■設⽴:1964年(昭和39年)

従業員数:9名

■公式WEBサイト:https://yu-fujikura.co.jp/

有限会社フジクラは、ボイラや付帯する関連機器の整備・保守等の総合的なメンテナンス会社として1964年に設立。

社内には3つの部門があります。配管工事や溶接を主体とした「設備工事事業部」

ポンプや送風機などの産業機器を扱う「風水力事業部」

フロンガス機器の点検や工事を扱う「冷熱機器事業部」です。

業務としては、他にも電気工事や機械・器具の設置工事など幅広く扱っています。

実は、プラント総合設備工事業において、このように 多種多様に作業や施工ができる会社は多くありません。

そのため、有限会社フジクラは、ブルーオーシャンに近いポジション。一見すると順風満帆に見えます。

なぜクラウドを積極的に取り組んでいったのでしょうか。

クラウドサービス導入の経緯

現社長である牟田 晋之輔氏が、大手産業機器メーカー勤務を経て8年前に事業承継者として着任したときに、社内の暗い閉鎖的な雰囲気に衝撃を受けたと言います。

情報が並列展開されていないだけでなく、経費がかさみ、売上は減少傾向。さらに、ヘッドハンティングを受けて辞める社員が出始めたのです。

この状況を打破するために一人で奔走しても、流れを止めることができず、トップダウンでの限界を感じ、らボトムアップ的経営にシフトチェンジすることに。

理想の会社とするため、社員の心の声を聞いたところ、2つの問題点がわかりました。

1つは原価管理に関する問題です。社員の多くが携わった工事の粗利や、工事現場の経過を知ることなく作業を完了させていたため「会社の会計の不透明さ」に問題があると思われていたのです。例えて言うならば、テストばっかり受けさせられて自分が何点取っているかわからないような状況です。

2つは労務管理に関する問題。会社が管理するのではなく自分で残業時間や労働時間を把握し、仕事とプライベートを充実させたいという要望が強くありました。

経営課題とその解決

それでは、2つの問題点をどのように解決していったかを見ていきましょう。

①原価管理

1つ目の原価管理に対する問題です。

視野を広げて捉え、いかに売上最大・経費最小という理想に近づけるかが焦点でした。

これまでは、個人のPCで管理していた全ての見積案件・情報・工事利益そして工事写真・他部署情報については、必要な時にどんな場所でも閲覧できるようにすること、つまりクラウド化をすべきという結論に至ったのです。

Microsoft OneDrive

 

見積もりの精度と提出スピードを向上させ、客先でも情報が水平展開できるクラウドを探したところ Microsoft OneDrive に出会い導入。

Microsoft OneDriveを活用した結果、他多数情報の共有・活用が可能に。現場や出張先でもパソコンやスマートフォンから

・過去の見積り履歴
・ FAX
・ 技術資料

などの閲覧が手軽にできるようになったため、現場作業で空いた時間に事務処理をおこなえるようになりました。

この結果、見積もり件数は飛躍的に向上、それに伴って売上は増加傾向に転じただけでなく、社員全体のレベルもアップしたのです。

②労務管理

2つ目の問題点の労務管理についてです。

そもそも手書きの日誌から、事務と経理がそれぞれのデータを入力していくという無駄な事務作業も問題となっていました。

人事労務freeeの導入

そこで出会ったのが人事労務 freee というクラウドでした。

様々なクラウドシステムを調べましたが、自社に一番最適なシステムだと感じています。

人事労務freeeであれば、スマートフォンからでも勤怠・日報の入力・管理・閲覧が可能になり、月単位や年単位で有給休暇・労務時間が把握できます。

多くの社員は現場業務をしているため、朝早く出て帰りは遅いという勤務体系で「どのくらい自分が働いているのか」というのがわかりづらくなっていたため、勤務時間を「見える化」させるために最適なツールでした。

こうして、人事労務会社が強制管理することなく、自己管理での徹底が可能となったのです。

勤怠管理がスムーズに行われるようになると、ライフとワークのバランスが充実した社員が増え、社員満足度向上につながりました。

また社員と事務と経理が三位一体となり、業務全体の効率化と経営の見える化によって、無駄な手間なく自動で集計ができるようになりました。

情報の一括管理により共有化・効率化

人事労務freeeの最大の利点は、会計freeeを導入することで、人事労務・請求書・経費精算など全てのバックオフィスを連動させて効率化を実現している点です。

クラウドを導入した結果

クラウドサービスを導入したことにより、問題であった

・原価管理

・労務管理

が解消され、 コストカットに成功。お客様にもより適正な価格でサービスが提供できるようになりました。

さらに、経営目標であった「売上最大・経費最小」が実現。現在は、売上高20%アップ、工事利益20%から30%をキープしています。

そして、紙媒体で処理していたものをデジタル化することは、ペーパレスによるSDGs・働き方改革など、想定していたよりも企業として大きな取り組みに繋がることに。

突然発生したコロナ禍での業務の変化にも柔軟に対応できたのです。

コスト削減分を給与へ一部還元

クラウドを導入してもう一つ大きなメリットが生まれました。

それは、年功序列から成功報酬型へのシフトチェンジです。

全社員が公示ごとの最終利益が確認でき、その利益を賞与という形で反映されるようにしたことで、モチベーションと仕事に対する考え方に劇的な変化が生まれました。

例で言うと年収400万円だった社員が700万超になったのです。

クラウド導入にあたって、当然年配の社員には動揺がありました。しかし、若手社員が操作方法をレクチャーすることにより、新たなコミュニケーションが生まれたのは、驚くとともに嬉しい効果の一つでした。

クラウド費用

 クラウドシステムの採用にあたっては、いろいろなシステムを検討しましたが、リーズナブルでコストパフォーマンスに優れていたところが、導入の決め手でした。

 freee は人事労務を先に導入し、社員満足度が高かったため、近く会計 freeeも導入予定です。

常に社員がイキイキと働ける職場作りを目指しクラウド化を進めました。

経営方針として掲げる「全員参加型経営」を実現させるためにも、努力が成果が形となって現れるシステムを取り入れて行くことで、これからも社員のため、社会のため、地域のために時代に合った技術を採用し共存共栄の理念に基づいて、神明愛機の会社づくりに取り組んでいきたいと考えています。

クラウド化を行ったことで、「すごく会社が変わって働きやすくなった」と言われるようになりました。年配の社員からは戸惑いの声もありましたが、慣れてみたら「こちらの方が良かった」と言われるように。

やはり、強い信念を持ってやる時はやるということを継続して訴えることで社員は応えてくれるのです。

これからも、有能な人材から選ばれるような、魅力ある会社を作っていけたらと考えています。

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