事例

【学校法人アルコット学園】残業ゼロ!Chatworkで快速DX 人が集まるライフ・ワーク・バランス経営 

全国中小企業クラウド実践大賞とは、クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、広めていくためのプロジェクトです。2022年10月12日に行われた「関東・信越大会」より、幼稚園経営のDXで経営課題を解決した、学校法人アルコット学園の取り組みと成果をご紹介します。

学校法人アルコット学園の概要
■法人名:学校法人アルコット学園
■事業内容:幼稚園経営
■設立:1960年
■公式Webサイト:http://www.arcott.ac.jp/

幼稚園業界が抱える3つの課題

学校法人アルコット学園は「しみずがおか幼稚園」を運営しており、1960年創立、神奈川県横浜市旭区にございます。「明るく素直でわんぱくに」をモットーとして、これまでに数千名を送り出してきました。職員数31名、園児数192名で毎日楽しく過ごしております。

まずは、幼稚園業界の現状についてご説明します。

①勤続年数が短い

まず、「勤続年数の短さ」が挙げられます。全産業の平均勤続年数は12.4年ですが、幼稚園の常勤教諭平均勤続年数は7.8年で、私立幼稚園全体の課題となっています。当園でも仕事と家庭の両立が難しいことを理由に結婚後、退職する人が多く、長年悩んでいました。

②園児数の減少

2つ目の課題は、「急激な少子化による園児数の減少」です。急激な少子化により、2016年から2021年の6年間で約17%も出生数が低下しました。園児数も減少傾向にあり、将来の不安から転職する職員もおりました。

③コロナ対策で教諭の負担増

3つ目の課題は「新型コロナウイルス対策による負担増加」です。消毒や検温、園児のマスク管理など、毎日の業務が増大し、負担を理由に辞める職員もおりました。当園はクラス担任制のため、辞めた場合の園児に対する影響が大きく、最優先で解決する必要がありました。

ライフ・ワーク・バランスを改善したい

問題解決のため、経営者と職員で議論を重ねた結果、仕事以外の時間を多く作れるよう、仕事の質を維持しつつ効率化し、ライフ・ワーク・バランスを改善する必要があるという結論に至りました。

現状把握

まずは、経営者と職員で業務の洗い出しを実施しました。8時〜15時は保育中心、15時以降は打ち合わせやメール 対応が中心でした。洗い出しをした結果、打ち合わせやメールに多くの時間を使っている ことがわかりました。

目標設定

そこで、打ち合わせやメールにかかる時間を効率化できるクラウドサービスを活用して「DXを推進し、安心して働き続けられる魅力的な職場を作ること」を新たな目標としました。

経営戦略

目標達成に向けて、経営戦略を改めて策定しました。

・クラウドサービスを活用し、業務を効率化、残業を減らす
・業務効率化でコスト削減、その分、給与の改善を行う
・ 職員を増やし、休みやすい環境を作る。 体力と気力を充実させ、保育の質の向上につなげる  
・保育の質の向上により保護者の信頼を得て、入園者数の増加につなげる
・コロナ対策業務の負担と、心理負担を減らすために、IoTクラウドサービスを活用し換気を適切に行う

これらの対応は、前述した課題3点を解決する内容になっております。

Chatworkを導入

協議を重ねた結果、国産クラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の導入を決定し ました。Chatworkを中心にGoogle workspace、 uHoo(IoTクラウドサービス)を掛け合わせ、DXを推進していきました。

Chatwork導入で工夫したこと

メール・対面の打ち合わせを減らすことに不安を抱く職員もいると考え、導入意図と期待する効果について時間をかけて伝えました。新型コロナウイルス感染拡大により全国一斉休校が実施された際には、Chatworkを活用して在宅勤務を実現しました。Chatworkに慣れた後は取引先にもChatworkの導入を勧めて、できるだけメールを使わないようにしました。

Chatworkの効果

導入前はメール作成・打ち合わせに年間1,356時間かかっておりましたが、導入後は86時間となり、なんと年間1,270時間の削減ができました。

独自に開発した仕組み

独自開発1:保護者からの各種申込みをChatworkに集約 

保護者からの各種申し込みをChatworkに集約しました。Google Formsで受付を行い、フォーム画面内の送信ボタンをトリガーとしてChatworkにAPI連携します。全職員が申し込み内容を閲覧でき、集計ミス・確認漏れがなくなりました。

独自開発2:保護者からのメールをChatworkに集約

保護者からのメール受付には複数のメールを使っておりましたが管理が難しく、確認漏れが発生していました。そこですべてのメールをGmailに集約し、API連携でChatworkに送信するようにしました。確認漏れや、メールを確認できないといった問題がなくなりました。 

独自開発3:園舎の換気状況を職員・保護者と共有(見える化)

 新型コロナウイルスの感染予防には、換気が効果的です。換気作業の負担を軽減するため、 IoTクラウドサービス「uHoo」を活用しCO2濃度上昇を検知、システム連携によって検知結果をスプレッドシートに書き込み、Chatworkにアラートを飛ばすようにしました。職員は、アラートが届いた時だけ換気すれば良い、という体制を整えました。

さらに、スプレッドシートに蓄積したデータは保護者がホームページから閲覧できるよう にGoogleデータポータル(2022年10月12日から Looker Studioに名称変更)で表示しております。

残業ゼロ、給与も改善、入園者数も大幅増加

取り組みの成果は以下の通りです。

・労働時間:残業ゼロを達成 
・給与の改善:2年目で業界平均よりも高水準に改善
・ 休みやすい環境づくり:業界平均の1.1倍以上を達成 
・保育の質の向上:例年の1.4倍の入園数を達成 
・換気の見える化:職員の負担を軽減 、近隣小学校にも同じ仕組みを導入

結婚後も長く働く職員が増え、新規求人も職員の紹介で採用できるようになり、求人広告費も削減できました。保育と事務の質が向上し、優位性を確立できたことで、入園者数は大幅に増加しました。

また、適切に換気作業が行えるようになり、業務負担・心理負担を軽減、保護者からも「安心・安全」と評価していただくことができました。

まとめ

経営者主導でDXを推進した結果、様々な成果を得ることができました。

今回の経験からDXを推進するためには経営者が主導して戦略やビジョンを共有し、スモールスタートしながら現場やシステム担当の目線を取り入れていくことが重要だとわかりました。

「全国中小企業クラウド実践大賞」に出場したことで、経営方針や取り組みを整理することができ、DX推進の上で重要な進め方・取り組み方・DXのサイクルを再確認できました 。
今後も、外部環境が変わっても安心して働き続けられる魅力的な職場を作ってまいります。

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