2015年9月、Facebookが「良くないね」ボタンを導入する、というニュースが流れました。これまでの「良いね!」(Like) ボタン以外に、「良くないね」(Dislike)というボタンを設置するのではないか、というものです。
最終的には「良くないね」のボタン導入は見送られ、感情を表現する絵文字、「Reactions」の導入で落ち着きそうな様子です。2015年10月現在、この機能は一部の国でテスト的に先行導入が行われています。
今回、Facebookが導入を検討した経緯をまとめると
- Facebook上ではポジティブな反応以外の感情表現が必要になってきた
- しかし、明確な否定を示す「良くないね」は、メッセージとして強すぎる
- このため、絵文字で感情表現をアシストする
となります。この経緯から分かることは
「SNS上で何かを否定する、非難するということは、とても難しく、注意が必要な行為である」
ということです。
システム的には、「良くないね」という否定ボタンを実装することはそれほど難しくないはずです。しかし、Facebookが「良くないね」ボタンの実装を見送った、という事実は、SNS上で「否定」を形にすることがいかに難しく、影響範囲が大きいか、という証左でもあります。
実際の社会でも、「会話の相手を否定する、拒否する」ということは、とても注意が必要です。言い方によっては、相手の感情を傷つけ、人間関係が壊れてしまうことがあることは、言うまでもありません。
しかし、実生活では大変気を使っているにもかかわらず、SNS上ではつい荒い言葉使いになり、簡単に否定の言葉、拒否の言葉を使う人が意外に多く散見されます。
ネット上では、自分の感情や意見が自分の意図と反して受け取られてしまうあります。このため、軽い気持ちで発した一言が、間違った解釈をされて、さらなる反発意見を生みだし、それに対する応酬が始まり…ということが少なくありません。否定が否定を呼び、炎上してしまうのです。
「駟も舌に及ばず」という、中国の古いことわざがあります。一度口に出した言葉は4頭立ての馬車で追いかけても間に合わないのだから、口に気をつけたほうが良い、という意味合いの言葉です。SNS上では、馬車どころか、ジェット機でも間に合わないぐらいの勢いで情報がシェアされていくので、十分注意を払ったほうが良いでしょう。
Facebookの投稿設定を見直すことでリスクを軽減する
それでは、このようなトラブルを防ぐためにできることは何でしょうか。
一番良いのは「ネットリテラシーを上げる」ことです。SNSのメリットを理解したうえで、うまく使いこなすことができれば、これに越したことはありません。
それとは別に、システム側の設定で対応可能な方法もいくつかあります。ここでは、知っておくと便利なFacebookの使い方をいくつかご紹介します。
公開範囲を設定する
Facebookでは、自分の投稿を誰に対して表示するかをコントロールすることができます。初期状態では、記事や写真の公開範囲が「公開」となり、Facebookのすべてのユーザーはもちろん、Googleなどの検索エンジンからも検索可能な状態となっています。
状況に応じて、投稿の内容を友達限定にするなど、調整すると良いでしょう。
投稿時の初期設定を行う
投稿時の共有範囲は、初期設定で変更することができます。Facebookの管理画面から[設定]=>[プライバシー]を選び、初期設定を行うと、投稿時に無意識に公開されることがなくなり、安心です。
タグ付けを許可制にする
Facebookでは、写真や記事に対して「タグ」をつけることができます。タグをつけると、写真に写っているのは誰か、写真や記事に関係があるのは誰か、を設定して、自動的にリンクが貼られます。
タグ付けを利用されると、意図しない形で自分の情報をシェアされることがあります。気になる方は、自分に関するタグ付けを許可制にすると良いでしょう。Facebookの管理画面から [設定] => [タイムラインとタグ付け] で設定を変更することができます。
何か書きたくなったら、まずは一息入れてみよう
ネット上、特にSNS上には、さまざまな情報や意見、そして主張が流れてきます。時には、あまり聞きたくないような話や、モラル的にどうしても許しがたい話も耳に入ってくることでしょう。
そんなときにすぐに反応せず、まずは一息入れ、自分の感情をコントロールすることで、無用のトラブルに巻き込まれることが少なくなります。
SNSはあくまでツールの一つ。必要以上に影響を受けず、上手に使いこなしていきましょう。