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【3月8日奈良イベントレポート】コミュニティでパイを広げろ!インバウンドビジネスで地域と企業が成長する秘訣とは?

3月8日奈良で開催された独立行政法人中小企業基盤整備と一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会による共催のイベントをレポートいたします。

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今回はプレスタートアップセンター「nara egg」さんの会場をお借りしました。
ゲスト、参加者ともに「ここはアクセスが良く、使い勝手のよいところですね」という声が聞かれました。奈良から面白いスタートアップが生まれることを今後に期待です。

さて、イベントはオープニングセッションとパネルディスカッションの2部構成で行われました。今回は第二部のパネルディスカッションの様子の一部をお届けいたします。
ゲストは株式会社やまとごころ 代表取締役 村山 慶輔 さんと、Groo Inc. CEO寺村 英雄さんです。

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村山さんが経営するやまとごころは、インバウンドビジネスに関する情報を提供するメディア事業、インバウンド関連の職種のための求人サイト運営のような人材マッチング事業、セミナー事業やコンサルタント事業の4つの事業を行っています。
このビジネスをはじめたきっかけはインドでのインターン。日本がどこにあるのか知らない、日本のことで知っていることは「ホンダ、スズキ、トヨタ、カワサキ」と現地の子供にいわれて衝撃をうけたことが原体験となったとのこと。より日本のことを知ってほしいという想いから2006年にインバウンドビジネスをはじめることに。
ちなみに、3月2日にインバウンドビジネスに関する書籍をだされているのであわせて確認しておきたいところです。

インバウンドビジネス入門講座 第2版 訪日外国人観光攻略ガイド

寺村さんは、浅草でインバウンドの料理店「おと」を経営。日本人も外国人も別け隔てなく受け入れるということでスタッフもお客さんも日本人も外国人もいるとのこと。
また、中国の会社が日本の技術を手に入れたいときのM&Aのコンサルティングから、技術調査、資金注入、交渉などを手がけています。
寺村さんの考える地方創生のポイントは、「中の人がみえないニーズを、そとのひとが持っているということを意識すること」日本人にとって興味がないことを、外国の方が実は面白いと思っていることもことあります。この隠れたニーズは異なるもの同士が触れ合うことで気づくということですね。

自己紹介終了後は、パネルディスカッションへ。
事前にこちらで用意した質問ではなく、参加者同士で話し合って「これはみんなでシェアしたほうがいい」という質問を作成。ファシリテーターはJASISA代表理事の森戸が務めます。

コミュニティは想い主導?それともビジネス主導でつくるのがよい?

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寺村さん:
想いや志からはいっても、ビジネスを切り口にしてもどちらでもよいですが、
想いと経済性どちらもバランスをとることが関係者がみんな幸せになる方法だと思います。
想いと経済性どちらかが欠けたらうまくいかずに不幸になります。
想いだけだと「善意」でひとを巻き込んで活動してくことになると思います。
ただ、ひとの善意は相対的なものなのです。
絶対的でないものでつながった場合は、どこかで自己犠牲が発生してしまいます。
感情的なしこりがのこってしまうのが、個人的にはあまり好きではないです。

ここで上手くいくコミュニティとそうじゃないコミュニティのあり方というのを考える上で、中国と日本の合弁企業での事例が参考になります。
日本人は想いがあって、中国をよくしたいという想いがあるんですが、
任期があって帰るときにはうまくいっていないことが多い。
なぜなら、ここに戦術がないからです。
たとえばどうやったら100万円を稼ぐことができるのか?どのような指標をつくってパフォーマンスをモニタリングをするのか?など100万円を稼ぐための戦術を組みたてることが大切です。
善意のマネジメントで中国人の方に動いてもらおうとしてもうまくいかないのです。
中国人の方は基本的に損得が判断基準にあるため、A案とB案どちらが意味があるのか?数値化して提案することが不可欠です。
どうしても想いを語るとお互いに期待が大きくなります。
期待が大きくなると失敗したときに疲れてしまい、「次」がなくなってしまいます。
日本人は比較的想いを語ることが得意なので、コミュニティ運営においても、極力数値化して管理する、ビジネスに落とし込んでいくことで、想いと経済性のバランスをとることが大切です。

奈良に人を呼ぶためにはどうしたらいいのでしょうか?

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村山さん:
まず団体旅行客と個人旅行客でわけて考える必要があります。
団体の場合は現地の旅行会社を抑えるのかが勝負が決まるため、現地の旅行会社や案内をするガイドとのパイプが重要。
個人旅行客については現地メディアへの露出、アルファブロガーなどのインフルエンサーを活用したプロモーション、旅行客との接点のあるプラットフォームへの掲載、ソーシャルメディアの活用などなどターゲット層に応じて組み立ていく必要があります。

ちなみに「リアル体験」は非常に人気があり、
千葉のドラゴンファームや大阪の黒門市場などが例としてあげられます。
この人気スポットの共通しているのが「わかりやすさ」、「ライブさ」です。

また発想の転換で一つ新しいビジネスチャンスとしてあるのは労働をサービス化するということです。
つまり、果物狩り、古民家の改修などを一つの体験として再定義することです。
実際にこのような「労働のサービス化」で収入確保まではいきませんが、集客でうまくいっている事例もでてきています。

エリアへ人を呼ぶ取り組みとしては「新宿ショッピングキャンペーン」が参考になります。
国内向けでは一緒の媒体に乗らないような企業が協力して行っています。
なぜかというと訪日外国人観光客をターゲットとした場合に、百貨店や商業施設が目的地となることは難しくエリア自体を目的地にすることが重要だからです。
リアル体験×情報発信や、エリアでの取り組みを参考に考えてみてはいかがでしょうか?

まとめ

インバウンドビジネスはまだまだ新しいマーケットです。来ていただくお客様が求めるものを知った上で1社だけでなく「コミュニティ」で取り組んでパイを広げていくことが大切。そしてそのコミュニティには「想い」と「そろばん」どちらも必要ということでした。

お知らせ

JASISAではインバウンドや越境ビジネスなど新しいビジネス領域へのチャレンジ支援、地方創生における人づくりや地域プロデュース、地域間連携による新マーケット創造に取り組んでいます。まずはご相談ください。

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執筆者:櫻木 諒太 JASISA ビジネスプロデューサー
中小企業支援の現場で公的支援の限界と成長企業の支援機関が必要だと痛感し、2015年「ベンチャー社団 JASISA」にジョイン。 意欲のある企業や街の魅力を最大限に活かすための、新しい働き方や新規事業立ち上げ支援、クラウド活用した地域間連携などに取り組んでいます。

JASISA :http://www.biz-solution.org/