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今期国会で成立する「DX税制」とは?企業のDX改革を後押しする税制優遇措置

ウィズコロナ時代と言われる昨今の社会において、「非対面化」「デジタル化」はかつてないほど急速なスピードで進行しています。

私たちの生活に身近な行政サービス、飲食店、物流業、教育業など、DX改革への取り組みを加速させている業種が数多く見られるようになりました。

菅政権も「デジタル」を今後の経済成長の柱に据えており、政権の肝いり政策と位置づけています。

そんな中、全社的なDX推進に取り組む企業に向けて税制を優遇する「DX税制」という新たな制度が今期国会で成立しようとしています。

これは2年間の時限措置ではありますが、これからDX推進に取り組もうとする企業にとっては大きな後押しになるものだと言えます。

そこで今回の記事では、今まさにDX推進に関心を抱いている企業に向けて、「DX税制」の適用を受けることでにどんなメリットを受けられるのか、そのあらましを解説いたします。

1.DX税制とは?全社的なDX実現で税制優遇

「デジタル」と「グリーン」は菅政権の肝いり政策だと言われており、菅首相は国会の施政方針演説や記者会見などで繰り返し「デジタルとグリーンを次の成長の原動力としていく」といった主旨の発言をしています。

また、2021年9月の「デジタル庁」発足に向け、平井IT改革担当大臣の下で目下、準備が進んでいます。

このように我が国の「デジタル化」加速への取り組みが日々進んでいることは、当メディアでも継続的にお伝えしています。

そのような流れの中、令和3年税制改正の中で、企業を対象とした「DX税制」の新規創設が発表されました。

「DX税制」は、正式には「DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制」と言い、所得税・法人税・法人住民税・事業税を対象とするものです。

その背景には、ウィズ・ポストコロナ時代において企業がDXを推進するためには、経営戦略・デジタル戦略の一体的な実施が不可欠、という考えがあります。

今後、企業がこの「DX税制」の適用を受けるためには、部門・拠点ごとではなく全社レベルのDXに向けた計画を策定する必要があります。その計画を主務大臣が認定した上で、

DX実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(5%/3%)または特別償却30%を措置する、という制度です。

つまり、全社的なDX改革を実現させることで、税制上の優遇を受けられる、ということなのです。

参考:
・令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について|経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/pdf/zeisei.pdf

・「グリーン」と「デジタル」 菅首相が施政方針演説で語った内容は?|Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/5fd7b019d7b9bd91a1b5760fc56fc4c07a607b8f

2.DX税制の適用を受けるためには?

それでは、「DX税制」の適用を受けるためにはどのような手続きが必要なのでしょうか?

まずは、青色申告書を提出する法人であることが前提条件となります。

そして、現在(2021年1月18日〜2021年6月16日)開催されている第204回通常国会において、「産業競争力強化法」が改正され、「DX税制」が正式に成立する見込みとなっています。

この「産業競争力強化法」の下、国が企業からの「事業適応計画(※仮称)」を受け付けることとなり、提出した計画について主務大臣から認定を受けることが「DX税制」適用の条件となります。

税制適用は、令和4年度末までの時限措置です。

「DX税制」の適用を受けるためには、今期国会で改正される「産業競争力強化法」がキーポイントとなりますが、その詳細については、今後、経済産業省ホームページにおいて何らかのアナウンスが掲載されると見られます。

参考:令和3年度税制改正の大綱(3/9)|財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/03taikou_03.htm

3.DX税制の認定要件

以下に掲げる(1)、(2)の両方を満たす計画を策定し、国に対して提出する必要があります。

(1)デジタル(D)要件

 ●データ連携・共有

…他の法人などが有するデータ、または、事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと、既存内部データを合わせて連携すること  

●クラウド技術を活用すること

●情報処理推進機構が審査する 「DX認定」の取得

…(レガシー回避・サイ バーセキュリティ等の確保)

(2)企業変革(X)要件

ビジネスモデルの変革、アウトプット、全社戦略

●商品の製造原価を8.8%以上削減する

●生産性向上や売上高の上昇の目標を定める  

 ・計画期間内で、ROAが2014年~2018年平均を基準値として1.5%ポイント向上   

 ・計画期間内で、売上高伸び率≧過去5年度の業種売上高伸び率+5%ポイント 

●投資総額が売上高比0.1%以上

●全社の意思決定に基づくものであること(取締役会等の決議文書添付など)

「DX税制」は、ただ「クラウド型ソフトウェアを導入し、データ連携・共有し業務のデジタル化を図る」というだけでは適用されません。

新たなITソリューション導入により、全社をあげて生産性向上や売上高向上について具体的な数値目標を策定し、さらには取締役会の決議も必要になります。

つまり、「DX税制」の適用を受けるためには、ただ部門ごとに部分的・表層的な業務をデジタル移行する、といった取り組みだけでは認められず、全社的にデジタル改革を図るための計画策定が必要、がポイントです。

参考:令和3年度税制改正(案)のポイント|財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian21/zeiseian03_all.pdf

4.税制措置の内容

出典:令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について|経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/pdf/zeisei.pdf

全社的な「DX改革」の計画を策定し、ソフトウエア・機械設備・器具備品の新設または増設、あるいは利用費用(※繰延資産となるものに限る)を支出した場合、以下の税制措置が講じられることになります。ただし、国内事業に供するためだけに限ります。

●特別償却30%か、もしくは、税額控除3%

 (※グループ外法人とデータ連携をする場合:税額控除5%)を選べる

設備投資総額の上限は、「300億円」です。

また、税額控除の控除上限は、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制と合わせて当期の法人税額の20%を上限とします。

5.2年間の時限措置 まさに今が「DX改革」絶好のタイミング

日本国内事業に供するためのDX関連設備投資により、法人税・所得税・法人住民税・事業税について税制優遇を受けられる「DX税制」。

2年間の時限措置とされていますから、DX改革を図ろうとしているならば、まさに今が取り組むべき絶好のタイミングだと言えます。

国の制度を上手く活用して、自社のDX改革の成功に繋げていってください。

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